骨折アルバイト1
「絶対に嫌だね」
戸松郁男はスマホを耳にあて、電話をしていた。
『まぁ、待て郁男。話を聞け。うまい話なんだよ、本当だ。これを聞いたらお前も詳しく話を聞きたくなる筈だ』
電話越しに怪しい話を続ける花村太一は郁男の大学時代の友人であり、いつもトラブルをエコバッグに入れて持ち歩く程のトラブルメーカーである。
二十四歳になり、フリーター、否、ニートとして日々を怠惰に多大に時間を費やしてきた郁男ではあったが、太一の持ってくる話の報酬でなんとか日々を送っているのだった。
太一がこうなると、もう郁男の話を聞かないのであった。郁男は一つ嘆息を吐き、仕方なく太一の話を聞いた。
『ん、ははっ! そう、そう! その素直さ。実に嘆かわしい程の優しさ。俺は郁男のそーいうところが好きだ』
「男に告白されてもねぇ……」
郁男は手元にある煙草を手に取り、口に咥えた。火はまだ、つけないでいた。
「で? どんな危険なアルバイトなんだ?」
夏休み。ニートの郁男にはそのような長期休暇は全く意味をなさない。しかし、世間は夏休みということもあり外は子供たちの騒がしい声が公共電波のように飛び交っていた。
「もう生活費もギリギリだったしな……」
郁男はそう呟きながら、紫煙をくゆらせた。煙が郁男の頭上で様々に形を変えて踊る。
郁男は太一に訊いた電話番号にスマホから掛けた。三回目のコールが終わるか否かというところで、相手からの反応があった。
『お待たせいたしました。こちら総合医療研究センター、スタッフの高屋がお受けします』
電話対応をしたのは女性の声だった。透き通るような声に、郁男の全身が硬直してしまう。
「あ、あの、しょ、紹介があって電話したんですけれど」
緊張により、郁男の言葉が詰まってしまう。向こう側はそんなこと歯牙にも掛けないといった様子で話を進める。
『紹介者様のお名前、頂いてもよろしいでしょうか』
「ああ、花村太一です」
『花村様。はい、ありがとうございます。次にあなた様のお名前を、お願い致します』
「戸松郁男です」
電話の向こうで、キーボードでなにがしか打ち込む音がしてから、オペレーターは話し始めた。
『トマツ様、この度は総合医療研究センターへのお電話、誠にありがとうございます。丁度一枠の有余がございました。本日お越しいただけるならそのままアルバイトということになりますが、どういたしましょうか?』
「ああ、今から……で」
会話に詰まりながらも、郁男は受話器に向かい相手の言葉を待った。
『左様ですか。誠にありがとうございます。場所の方はご存知ですか?』
「ええ、家から近いので、十五分後にはそちらへ伺います」
郁男は服を着替えようと立ち上がり、電話越しのオペレーターに訊いた。
「ああ、服装の指定はありますか?」
『特にはございません。着替えを用意してありますので』
「そうですか、ありがとうございます」
『それでは、お待ちしています。トマツ様』
それを聞いて郁男はスマホの電話を切った。使い古した紺色のジャージを履き、上着には紺色のパーカーを着て




