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観参業授  作者: 葉加多錬一朗


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1/1

前編

 起立、気をつけ、礼


 

 今日は待ちに待った授業参観の日。子どもたちは親が自分たちの学舎へ来てくれると数日前から胸をドキドキさせていた。

「私は海原小学校1年3組の担任をしている吉塚です、本日は皆さんへどうとくの授業をさせていただきます。皆さんよろしくお願いします」

 教室には30人程の大人が小さい椅子に窮屈そうに座っている。そしてその後ろに普段授業をしている子どもたちが教室後ろの荷物棚のスペースを歩き回ったり座り込んだりしている。

「今日はお子さん方の立場に立ってみようということで、学校全体でこうした保護者の皆様への授業をいたします」

 参加してた保護者の1人が手を挙げた。

「その、本当に私たちに授業をされるんですか?こういうのって()()は私たちが授業観るべきじゃないんですか?」

 他の保護者もそうだそうだと言うように首を縦に振る。

「まあまあそうおっしゃらず時間も限りがございますので。早速授業に移りましょう、子どもたちも観てますし」

 私は座席からの少し冷たい視線をよそに黒板へ淡々と今日の授業のテーマと目標を書いた。

「じゃあ今日は17日なので17番の人、今日のめあてを読み上げてください」

当てられた人は少し動揺しながらも、辺り見回しゆっくり立ち上がった。

「え、えっと“ともだちのきもちをかんがえてみよう”です……」

「はいよく言えました!みんな拍手」

 少し気まずい空気が漂っていたがまばらに拍手が聞こえた。発言した人は苦笑いをしつつ座席に座った。

「今日は皆さんで友だちとおしゃべりをするときに、ちょっと気をつけないといけないことを考えようと思います、じゃあ教科書の5ページを開いてください」

 パラパラと教科書をめくる音が聞こえる。

「皆さんは言われて傷つく言葉と、うれしい言葉、それはどういった言葉でどんな時に言われたいですか?」

数秒シーンとなった後、奥から子どもの声が聞こえた。

「はーい先生!おれはかっこいいねって言われたときにうれしいって思いまーす!」

「こらこら須藤くん、今日はお父さんやお母さんたちに授業を受けてもらってるの、だからちょっと今は___」

「だってお母さんたち全然手も上げないし何も言わないじゃん!」

 保護者たちは様々な表情を見せ、皆下を向いて黙り込んだ。

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