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第6章
約束の日(晩夏の平日)は、太陽の光がすべてを慈しむような快晴だった。 ──ワタシはママのような存在の太陽が見守ってくれていると感じた──
待ち合わせ場所に指定した、定禅寺通りの遊歩道に設置されている黒く光る「オデュッセウス」のブロンズ像のすぐ傍の木製ベンチに腰かけて、ワタシは豊潤な葉叢に覆われた深緑のケヤキたちを見あげていた ──濃密な葉叢は夏の日差しを遮ってくれた──
──はたしてヒカリは、ほんとうに来てくれるだろうか?
『ヒカリ様の結婚を知らせるママ宛の手紙を読み、姉妹でありながら会うことが許されなかったアナタに、ぜひお会いしたいと心から願っております』という、突然かつ一方的な手紙であったから、双子の姉妹のヒカリが来てくれる自信はまったくなかった。
それでもワタシは、ママ宛のヒカリからの手紙を読んだあの日も、同じこの場所で深緑のケヤキたちを長い時間見あげたことを思い出していた。
──なぜだろう? 理由なんてわからないけれど、あの日から、ワタシは双子の姉妹のヒカリと一緒に、この深緑のケヤキたちの囁きを聴きたいと切に願ったのだ。




