戦国転生したメンタルワーカー、兵が壊れすぎて成り上がれない
やあ、私はメンタルワーカーだった者。
転生モノに夢を抱き続け、早うん十年。
夜中、足元が光り、気がついたらナーロッパ戦国時代っぽい場所に、貴族として転生していた!
うおおおー!
やるぞ!
ロマンだ!
大将軍までの成り上がりだー!!
……と思ったら。
家から戦争に人足を出さなきゃいけないらしく、百人将の副官として派遣されることになった。
ラッキー! これで成り上がり!
……えっ?
家族が、私をドナドナされる家畜を見るような目で見てるんだけど?
戦場
百人将に会った。
何あのイケイケドンドンな若者は。
いや、私も若返って若いんだけどさ。
「爺、百人将ってあんなやつばっかなのか」
「フォッフォッフォッ。多いですのう。ああいうタイプは武功に焦って兵を使い潰す。若も気をつけなされ」
決戦の部隊まで、百人の農民兵を率いて、えっちらおっちら移動する。
……?
中に、手が震えていたり、目線があっちに行ってるやつがいるな……メンタル落ちてる。
いや、待て。かなりいるぞ……!?
二十人くらい、そんなやついねーか!?
「爺、すでに負けそうな兵が多くないか……?(汗)」
「そんなもんですじゃ。死ぬかもしれない場所に、強制的に連れてこられるんですからなぁ。フォッフォッフォッ」
やべえな……戦場……(汗)
そして始まる戦闘。
……見えん!
全体の把握なんて、これっぽっちもできん!
しかも、そこら中で悲鳴と怒号。
うるさすぎる……!
そして血の匂いがヤバすぎる…!
混乱して敵味方関係なく襲ってる奴がいる…!?
家族にドナドナ目線送られた意味分かったよ!
死にそう、怪我しそう、生還しても悪夢でうなされそうだからですね〜(泣)!
こんなん、憧れていた戦国成り上がりと、別物すぎる〜!!!
数年後
私は、なんとか部隊のメンタル維持をがんばっている。
……天下の大将軍?
いや、まず自分がメンタルやられず生き残らないと話にならないんですよ。
それに…メンタル患者多すぎぃ〜!
なんなら、百人将とか千人将とかにもいるもん、メンタル患者〜(泣)
戦いって、PTSD生みまくりだもんね……理想の成り上がりとは……?
メンタル維持の腕前は、だいぶ上がったと思う。
例えば。
ぼーっと立ち尽くしたり、急に泣いたり怒ったり、
独り言を言っていたりするやつは、配置換えをしてチョイチョイ対応する。
「これから戦が始まるが、お前たちは補給部隊の任にあたってもらおうか」
「えっ!? た、戦えます!」
「これは命令だ」
「あ、はい!!!」
「お前らは前に出るな。ここだけ守れ」
不安は「不確実性」から来るって習った。
任務が限定されるだけで、人は折れにくくなる。たぶん。
百人将への報告も、建前が必要だ。
例えば、独断で後退させたときでも、
「地形不利のため、位置調整しました!」と言えば納得してくれる。
怪我人や病人を後方へ回すのも、
「前線の密度を保つためです」と言えば、だいたい通る。
百人将は結果さえ出ていれば、細かいことは気にしないタイプだった。
五〜十人単位で、常に同じ仲間を組ませる。
上下関係も固定。
これでPTSD率が下がる……たしか、現代ではそう言われていた気がする。
意味づけを「勝敗」から切り離すのも大切だ。
というわけで、毎回兵に伝えている。
「勝つか負けるかは天次第。
だが、自分の価値は、隣の仲間を守れたかどうかだ」
今日も、私の成り上がり道は見えない(泣)
そして今日も、死人はけっこう出た。
だが、私の活動のおかげで、メンタルをやられるやつは、かなり減ったと思う。
まあ、今日はそれで良しとするか。
「あいつが関わった部隊、崩壊しないらしいぞ」
「なんだそれ。あいつ、こっちの部隊にもらおうかな」
「いや、なんでも、百人将があいつを手放さないとか」
そんな噂が流れていることを、主人公はまだ知らない。
本作は、医療分野・歴史分野ともに素人の作者が、
AIとの対話をきっかけに「これは面白いかもしれない」と思い、
勢いで書いてみた短編です。
事実関係や解釈には誤りがあるかもしれませんが、
一つの物語として楽しんでいただけたら幸いです。




