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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第一章 一番島《黎明王国アウロラ》

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第7話「教師でいるか、逃げるか」

 光戒師団が校舎から撤退していく足音が完全に消えても——

教室の空気は硬直したままだった。

さっきまで泣いていた生徒たちは、

まだ机の下や教壇の影から出てこられない。


「……みんな、もう大丈夫だ。

落ち着いたらゆっくり出てこい」

そう言うと、ミナが一番に顔を上げた。

「せ、先生……もう安全……?」

「ああ。少なくとも今はな」

ミナは俺の背中をぎゅっと掴んだまま離れない。

(……あの子にも、不安を抱かせたか)

教師として、それは少し胸に刺さる。


「リオ先生……」

しばらくして、校長が教室に到着した。

驚きと不安を隠しきれない表情で、俺にだけ目で合図を送る。

「……少し、お時間を」

校長室に入ると、机の上には王国騎士団からの緊急文が置かれていた。

封蝋に刻まれた“光戒の紋章”。

——さっきの光戒師団と同じ紋章だ。

(……これは嫌な予感しかしない)


校長が静かに文を手渡す。

「読みなさい。あなたに関わる内容です」

深呼吸して封を切る。

そして文を見た瞬間、全身が冷えた。


『教師リオ・ヴェルナーについて

以下の理由から王都への召喚を命ずる。

・怪しき力の発露

・王直属機関への異常反応

・国民を惑わす危険性

出頭時期は近日中とする。』


「……は?」

(怪しき力?

惑わす危険性?

ふざけんな……ただの教師だぞ俺は)

校長は重く言った。

「……王国は、あなたを“異端”と見ているようです」

「……俺は何もしていない」

「ですが……今日の“光断術式を相殺した動き”は……

教師の域を超えています」

(……あれは、生徒を守るために必要だっただけだ)


「光戒師団の証言では……

“あなたは常人の反応速度を超えている”と」

「そんなもの、師団長時代に鍛えただけだろ」

「……元とはいえ、師団長クラスを学校に置いていること自体、

王国には不都合なのです」

校長は深いため息をついた。


「リオ先生……覚悟しておいてください。

王国は、あなたを“排除対象”にする可能性があります」

胸が痛んだ。

(……俺がここにいるせいで、生徒が巻き込まれる?

まさか……本当にそんな日が来るとは)


「……リオ、聞いたか」

背後の窓から声がした。

ガルスだ。

窓から入ってくるあたり、昔の癖が抜けてない。

「お前を召喚するって話、騎士団にも回ってる。

……正直に言おう。

“出頭したら終わり”だ」


「……やっぱりか」

「ああ。

陛下の命は、もはや“疑いの確認”じゃない。

“危険なら排除”の段階だ」

「……俺は何もしていないんだがな」

「そう思えるのは、お前だけだ」

ガルスは重い声音で続けた。


「お前は……あまりに“分からなすぎる”。

元師団長で、未だに戦闘力は現役級。

王の光にも反応。

謎の魔獣(黒影獣)を瞬殺。

そして——陛下が“危険”と断じた」

「……陛下は俺の何を見ているんだ?」

「知らん。

だが……“普通の人間”の目には映らない“何か”を見ている」

(……俺の中に、何がある?

なんで王は俺を……)

胸がじん、と痛む。

塔の方向が、また鼓動した。

(まただ……なんなんだよ……)


「リオ先生」

校長が口を開く。

「……教師として、あなたに残ってほしいです。

あなたは生徒を救いました。

本当に教師であるべき人です」

その言葉が、胸に刺さった。

「だが——

あなたがここにいる限り、王国の刺客は来続ける」

静寂。


「……つまり、俺がいなきゃ安全ってわけか」

自分の声が少し震えた。

(そうか……

俺の存在が、生徒を危険に晒してるんだ)

ミナの顔が浮かんだ。

涙を浮かべて「先生を守る」と言った、あの姿。

(あの子を……これ以上怯えさせるわけにはいかない)

校長は言う。

「出頭するか——

この学校を離れるか。

どちらかを選ばねばなりません」


ガルスが言う。

「出頭は死だ。

だから……苦渋だが“逃げろ”と、俺は言う」

「……逃げるってのは……

教師として、生徒を見捨てるってことだぞ」

「お前が死んだら、生徒は守れない」

「……それは……」

言い返せない。

胸の奥で、また“塔の脈動”が強くなる。

(なんなんだ……俺は……どこへ行けって言うんだ……?)


一度教室に戻ると、ミナが待っていた。

「あ、あの……先生……」

「どうした?」

「先生、どこか行っちゃう……?」

「…………」

答えられなかった。

「やだ……

先生がいない学校なんてやだよ……!」

ミナが泣きそうになる。

俺はそっとしゃがみ、目線を合わせた。


「ミナ。

もし……先生がここを離れるとしても。

お前のことは絶対に忘れない」

「……先生……」

「お前は勇気がある子だ。

俺が守ってやらなきゃと思うくらいにな」

ミナは唇をかんだ後、小さく言った。


「……じゃあ……私も行きます」

「は?」

「だって……先生がいなくなるの、いやだもん……!」

俺は頭を抱えた。

(マジか……

だが、この子の決断力と直感は……無視できない)

塔の脈動が、さらに強くなる。

“外へ出ろ”と言わんばかりに。

(……このままじゃ、王国が本気で来る……

戦場は学校になる……)

選ばなければならない。

教師としての安寧か、

生徒を守るための逃走か。


(……くそ……

どっちも選べねぇよ)

リオは胸に手を当て、静かに息を吸った。

(でも……もう決断しなきゃならねぇ)

——リオは、この夜、“学校を離れる”方向に大きく傾いた。

そしてミナもまた、彼と共に歩く未来を選び始めていた。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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