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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第一章 一番島《黎明王国アウロラ》

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第6話「教師の盾、元師団長の刃」

光戒師団

王アーサー・フォン・アウロラ直属の特務師団。

王国軍の枠組みには属さず、

王の命令のみで動く“光の戒律執行機関”。

表向きは

「王家の光を守る精鋭師団」

とされているが、実態は

光に適合しない者の排除・監視・矯正を行う“光の秘密警察”。

「——教師リオ・ヴェルナー。

王命により拘束する。抵抗は許されない」

光戒師団の隊長が、凍りついた視線を向けてきた。

その背後には、白銀の紋章を刻んだ兵士たちが数名。

ただの“連行”ではない。

完全武装。

一瞬で殺せる布陣。

(……冗談じゃない。ここは学校だぞ)

ミナが俺の袖を握り、震えているのが分かった。


「先生……逃げて……」

「馬鹿言え。俺は教師だ。生徒置いて逃げる教師がどこにいる」

「……でも……!」

俺はミナの頭に手を置き、そっと押しやる。

「大丈夫だ。絶対に離れるなよ。俺の背中から動くな」

ミナは涙をこらえながら、ぎゅっと頷いた。


光戒師団が、教室へ侵入を開始する。

「突入する。子どもは無視しろ。

対象は——“教師”リオ」

「了解」

兵士たちが足並みを揃え、前へ出る。

あの冷たい目——

かつて同じ王国軍にいた俺には分かる。

(……こいつら、本気で“排除”する気だ)

罪状も証拠もない。

ただ王の視線ひとつで、こうして真っ先に動く。

だからこそ、危険だ。


「ミナ……目、閉じとけ」

「先生……こわい——」

「大丈夫だ。

お前らの教室を“戦場”になんてさせない」

俺はゆっくり深呼吸した。

(……やるしかねぇ)


光戒師団兵の一人が無言で剣を抜いた瞬間——

「——危ないから、それ仕舞え」

俺の身体は、もう動いていた。

兵士が剣を抜き終える前に、

俺は懐へ飛び込み、柄を掴んで真横に弾いた。

金属音すら鳴らない速さ。


「なっ……!」

驚く兵士の胸当てへ片手をそっと当て、

押すでも殴るでもない“ただの一歩”で後退させる。

兵士は3メートル吹っ飛び、机に激突した。

「こいつ……ただの教師じゃ……ない……!」

「後退するな! 陛下が警戒した男だ、包囲を——!」

(陛下が……?

やっぱり俺に何か感じてるのか?

……知らねぇよ、俺だって分かんねぇんだよ)

気づかぬうちに歯を噛み締めていた。


「生徒の前で剣向けるなよ。

教育に悪いだろ」

「黙れ、第四師団の亡霊が……!」

「……亡霊、ね。

退職届はちゃんと出したんだがなぁ」

冗談めかして言うが、視線は真剣だ。

(やっぱり……こいつら、命令で動いてるだけじゃない)

隊長の目の奥には、

“恐怖”があった。

俺を見ての恐怖ではない。

(……王を……畏れてる?)


「後方は押さえた。射線クリア」

遠距離班が白銀の紋章に手をかざす。

高密度の光弾——“簡易断滅術式(かんいだんめつじゅつしき)”。

(あれを教室内で撃つ気か!?

ふざけるな……!)

俺はミナを背に隠し、教室の中心に立つ。


「全員、机の下か教壇の影に隠れろ!

顔を上げるな!」

生徒たちは必死に動いた。

その中、ミナだけが俺の背中にしがみついた。

光弾が放たれる——

「っ……!」

俺は教室の棚を引きちぎり、その板を構えた。

光弾が触れた瞬間、板は“音もなく消えた”。


(やっぱり……あれ、“治癒の光”と同じ力だ。

痛みを消すんじゃない。

存在を……消す光)

次の弾が来る。


「ミナ、目閉じろ」

俺は床を蹴った。

板の破片をわざと飛ばし、

光弾の軌道に割り込ませて“相殺”する。

存在を消す光には、

消せるものをぶつければ防げる——。

ただし、俺の身体に当たれば終わりだ。


「その“光”……子どもに向けて撃つなって言ってんだよ」

教室全体を見渡し、俺は叫ぶ。

「——ここは、俺の教室だ。

入ってくんな」


「包囲しろッ! 近接班、突入——!」

三人が同時に走ってくる。

俺は足を一歩だけ引いた。

たったそれだけの動作。

だが戦場で命を預けた身体は、

すべてを理解している。


一息。

二息目で、すでに間合い。

三息目で——

「遅い」

拳が、鞘ごと叩き込まれる。

殺しはしない。

でも二度と戦いたくなくなる程度には効かせる。

兵士たちが次々と吹き飛ぶ。


「バ……バケモンか……!」

(……俺だって怖ぇよ。

なんで俺はこんな動きができるんだ……?

何を思い出そうとしてんだ、俺は……?)

胸が再び痛んだ。

痛みとともに、

脳裏に一瞬だけ“黒い玉座”の影が浮かんだ。

(……なんだ……今の……?

また……これか……)

理解できない。

でも、どこか懐かしい。

それが何より怖かった。


「馬鹿な……!

第四師団時代より……強く……?」

「撤退だ! 任務変更!

これは“予想外の存在”だ!」

隊長が叫ぶと、光戒師団は一斉に後退を始めた。

(予想外……ね。

そりゃあ、俺自身が一番予想外だよ)


隊長は最後に俺へ視線を向けた。

「リオ・ヴェルナー……

貴様が何者かは分からん。

だが陛下は、こう仰っていた」

隊長は震える声で続けた。


「——“あれ(リオ)は光に近すぎる。

近すぎる者は、闇かもしれない”と」

(……なんだよ、それ)

隊長は逃げるように去っていった。


「先生……!」

ミナが泣きながら抱きついた。

「こわかった……

でも……でも……

先生が守ってくれた……!」

「当たり前だろ。

お前らを守るために、俺はここにいるんだ」

「……先生……

本当に……何者なんですか……?」

「……俺も知りたいよ」

ミナは涙を拭いて言った。


「でも……でもね……

今の先生、すっごく……すっごく……

かっこよかった!」

教室全員が、泣きながら頷いていた。

(……俺は……

本当に、教師でいていいのか?)


胸が、塔の方向へ引かれる。

塔が呼んでいる。

王が動き始めた。

俺の知らない“何か”が俺を見ている。


(……このままだと、

生徒たちを危険に巻き込む)

リオは拳を握った。

(正体は分からなくても、

守るべきものは分かってる。

逃げるんじゃなくて……動かなきゃいけない)

この瞬間、

リオの心が“旅立ち”へと一歩進んだ。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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