第4話「校庭に鳴く黒影」
基本プロフィール
名前:ミナ・ルミエール
年齢:16歳
所属:王立勇者育成学校・1年生
属性:光(適合率:極めて高い)/感応体質
◆ 外見
小柄で華奢
柔らかい金色の髪
透き通るような瞳(光に反応すると淡く輝く)
表情が豊かで、感情がすぐ顔に出る
だが“恐怖”より“優しさ”が勝つタイプ
◆ 性格
素直でまっすぐ
誰かの痛みに敏感
しかし自分の痛みには鈍い
恐怖よりも“守りたい”が先に来る
リオに対しては強い信頼と尊敬
子どもらしい無邪気さの奥に、異常なほどの“感応力”を持つ
式典から数時間が経ち、学校は普段の静けさを取り戻していた。
だが、俺の胸騒ぎだけは収まらない。
(王の光……ミナの反応……ガルスの警告……
全部繋がってるのか?
いや、考えすぎ……ではないな)
授業準備室で教材をまとめながら、
胸の奥に微かに残った“痛み”を擦る。
(なんだ……この胸のざわつきは。
俺の中の“何か”が、反応してる……?)
そこへ、教室からミナが顔を出した。
「先生! 外で変な音しました!」
「変な音?」
「うん……校庭の方から、“カサッ”って……
あ、あと……なんか冷たい空気も」
ミナは小さく震えていた。
(冷たい空気……?
この学校の周辺で、そんな現象が?)
「……念のため、全員教室にいてくれ。
先生、ちょっと見てくる」
「わ、私も——」
「ダメだ。ミナは班長だろ。生徒を頼む」
「……うん」
ミナは不安そうな目で俺を見つめ、それから頷いた。
その素直さに、少しだけ心が軽くなる。
(大丈夫。俺は、今は教師だ)
そう自分に言い聞かせ、校庭へ向かった。
風は止まり、空気がひんやりと冷たかった。
放課後の明るい空が、どこか青白く見える。
(……嫌な予感しかしない)
そのとき。
カサッ。
聞こえた。
あの乾いた音。
生き物の気配……ではない。
「……出てこい。そこにいるんだろ」
声をかけると——
校庭の陰から“何か”が滲み出すように浮き上がってきた。
四足の影。
犬のようで、犬ではない。
毛並みはなく、黒い霧のように輪郭が揺れている。
目にあたる部分だけが赤く点滅していた。
「……黒影獣か。なんで学校に……?」
黒影獣——
王都で最近出始めた、正体不明の魔獣。
魔法反応がない。
獣でもない。
“王の光”が生み出した影だと噂されている。
(……やっぱり王か?
式典の時に気づかれた……?
いや、考えすぎか?)
黒影獣がこちらを見つめる。
怒りでも警戒でもない。
ただ、命令に従うような無機質さ。
(まるで“捜索”している……そんな目だ)
胸がざわりと震える。
黒影獣が低く唸った。
そして——
ミナたちの教室の方向へ走り出した。
「っ……!」
考えるより先に身体が動いた。
「おい、待てッ!」
俺は駆け出し、黒影獣の前に飛び込む。
その一瞬で、教師の顔は剥がれ落ち、
戦場で鍛えられた本能が蘇る。
「——通さない」
黒影獣が跳びかかろうとした瞬間。
俺は左腕で軌道をずらし、右手の平で顎を打ち上げた。
鈍い衝撃。
黒影獣が地面に叩きつけられる。
(……軽い。強さは、あの頃の魔物には到底届かない)
黒影獣が霧みたいに揺らぎながら立ち上がる。
「近づくな。ここは学校だ。
お前なんかが踏み込んでいい場所じゃない」
黒影獣は反応しない。
それどころか——
霧が一瞬、白銀の光に変わった。
「っ……!」
胸が痛む。
心臓を鷲掴みにされたような感覚。
白銀の光は、影を押し返すように揺れ、
空気がわずかに歪んだ。
(なんだ、これ……白銀……王の……?)
光はすぐに黒に戻ったが、
確かに“王の光の残滓”があった。
(やっぱり、王の影……なのか?
……俺を探して来た?
なんでだ?
俺はただの教師だろ……?)
黒影獣が再び構えた。
視線の先は——教室。
「させるかッ!」
俺は駆け出し、黒影獣とぶつかった。
影が弾け、黒い霧が散る。
「……っは……!」
黒影獣は形を保てず、霧のまま溶けるように消えた。
しかし、その瞬間——
風もないのに、胸の奥で“塔の鼓動”が響いた。
(塔が……反応した?
影を倒しただけなのに……
いや、違う。
鼓動のリズムが……胸の痛みと同じだ)
わからない。
でも、ひとつだけ確かなことがある。
あの影は、生徒を狙っていた。
「先生!!」
校舎からミナが駆け寄ってきた。
血の気が引いた顔をして。
「だ、大丈夫!?
さっき……黒いのが見えて……!」
「落ち着け。もういない」
「でも……でも……先生が……!」
「大丈夫だ。
俺は意外と、こういうの慣れてるからな」
「……慣れてるって……何者なんですか……?」
ミナの声は震えていた。
怖かったのだろう。
俺は膝を折り、目線を合わせた。
「ミナ。
守れなかったら、教師なんて名乗れないさ」
「……先生……」
「怖いなら大声で泣け。
でも、泣いたら前を向け。
勇気ってのは、怖くないことじゃない。
それでも進む力のことだ」
ミナは涙を浮かべながら、何度も頷いた。
「先生……今日、なんか……変ですよ」
「変ってなんだ」
「……いつもより怖い顔してました」
「ああ……それは……」
俺は頭を掻いた。
「生徒を守る時だけは、ちょっと本気が出ちゃうんだよ」
「っ……」
ミナは胸に手を当てて、ぽつりと言った。
「……そんな先生、すごくかっこよかったです」
その言葉に、
胸の奥の痛みが、少しだけ和らいだ。
ふと空を見上げると、
黒影獣が消えた方向とは逆側で“光”が揺れているのが見えた。
(……誰かが見ている)
風に紛れるような小さな気配。
王の気配ではない。
もっと深く、古く、重い——
そんな“視線”。
影が揺れたわけでもないのに、空気が沈んだ。
俺の身体が、わずかにビリッと震えた。
(……なんだ今の。
誰だ。
あの気配……どこか、懐かしい?)
その答えはまだ分からない。
だけど、確かな予感だけはあった。
——俺の平穏は終わった。
——そして、生徒たちを守るための戦いが始まってしまった。
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※本作の執筆にあたっては、
一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。
物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、
すべて作者自身の手で仕上げています。




