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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第一章 一番島《黎明王国アウロラ》

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第3話「式典の裏で、動き出す影」

■ 基本プロフィール

名前:アーサー・フォン・アウロラ

年齢:23

肩書き:黎明王国アウロラ国王

称号:白銀王/光の勇者


■ 外見

白銀の鎧を纏う若き王

金の髪は光を反射し、常に淡く輝く

蒼い瞳は“揺らぎのない光”を宿す

歩くたびに光が揺れ、影が薄くなる

生徒や民衆からは「絵本の勇者そのもの」と言われる


■ 性格

優しい

誠実

民を愛する

清廉潔白

理想の王

言葉に嘘がなく、誰もが信じてしまう“説得力”を持つ

 式典が終わると、講堂はゆっくりとざわめきを取り戻した。

生徒たちは興奮冷めやらぬ様子で、王の言葉を口々に語り合っている。

「王様、かっこよかったね!」

「光の加護って本当にあるんだね!」

「あの治し方……すごすぎた……!」

教師たちも同じように盛り上がっていた。

「さすがはアーサー陛下……まさに光の英雄ですな」

「子どもたちへの言葉も素晴らしい……」

「これからの王国はますます繁栄するでしょうな」


——誰一人として、気づいていなかった。

王の“光”が、祝福ではなく

痛覚だけを切り離す歪な力であること。

木片が音もなく“消えた”こと。

ただ一人、俺を除いて。


(……気のせいならいいんだが。

でも……あの光、絶対におかしい)

「先生?」

ミナが小走りで近づいてきた。

「先生、王様……どうでしたか?

すごかったですよね?」

「ああ。……すごかったな」

俺はゆるく笑って返す。

だがミナの表情はいつもと違った。


「……なんか、先生だけ笑ってない気がした」

「そんなことないさ。ほら、いつもどおりだろ?」

「うーん……そういう顔もしてますけど……」

ミナは俺をじっと見たあと、ぽつりと呟いた。

「……あの光、きれいだったけど。

なんか……ちょっと怖かった、かも」

心臓が跳ねた。


(ミナ……お前も何かを感じたのか?

生徒なのに……?)

「どうしてそう思った?」

「うまく言えないんです……でも……

なんか、あったかいのに、冷たいみたいで……」

ミナは自分の胸を押さえた。

「痛みが消えるのって、いいことなのに……

なんか、違う気がしました」

俺は思わず言葉を失った。

(この子……感受性が異常に高いのか?

それとも……何か“適性”がある?

まさか——塔との……?)

いやいや、考えすぎだ。

ただの偶然かもしれない。


「……気のせいだよ。

式典って緊張するし、色々重なるとそう見えるだけだ」

「……そうですかね」

ミナは納得していなかったが、

これ以上不安を煽るわけにはいかない。

「さ、教室に戻るぞ。点呼取らなきゃな」

「はーい!」

ミナは元気よく返事をして駆けていった。

だが俺の胸には、ざらついた違和感が残り続けていた。

(……あれは、なんだったんだ)

そのときだ。


背後の空気が、わずかに重くなった。

「リオ」

低い声が、静かに背中へ落ちてきた。

「ひさしぶりだな、“元”第四師団長」

振り返ると、

黒の外套を着た屈強な男が立っていた。


「……ガルス隊長」

かつて俺が所属していた第四師団の副隊長。

俺が辞めた後、隊を預かった男だ。

無骨で、誠実で、そしてなにより信頼できる男。


「まさか、こんなところで会うとはな。

お前が教師になったって噂は聞いていたが……」

ガルスは一歩近づき、声を潜めた。

「——王が、お前を“危険視している”。」


背骨を殴られたような衝撃が走った。

「……俺が? なんでだ」

「知らないのか?

さっきの式典——陛下はお前の名前を出していた」

「俺の名前?」

「『教師リオ・ヴェルナー。

彼の視線は、鋭すぎる』——そう仰っていた」


背筋がぞわりと冷えた。

(……見ていたのは俺だけじゃない。

王もまた、俺のことを見ていた……?)


ガルスはさらに声を落とす。

「陛下は言っていた。

『危険な“力”を隠している男は、国にとって毒だ』と」


俺は息を呑む。

危険な力?

俺には騎士団長としての腕はあっても、それだけだ。

普通なら、そんな言葉が出てくるはずがない。


「……俺が何を隠してるってんだよ」

「そこが分からん。

だが、王の光が変質しているのは確かだ。

お前は……何か、心当たりないか?」

(……心当たり?

そんなもの……あるわけが——)

そう思った瞬間、

胸の奥が“ぐっ”と痛んだ。


塔が鳴いたときと、同じリズムで。

(……なんだ、今の……)

「……リオ?」

「いや……なんでもない」

胸の痛みはすぐ消えたが、逆に不気味だった。


「ガルス。

……ありがとう。忠告、受け取っておく」

「ああ……だが気を付けろ。

陛下がお前を敵と見なせば……この国は全軍で動く」

そう言い残し、ガルスは人混みに消えた。


俺はしばらく立ち尽くした。

(……俺は何に巻き込まれてる?

なんで王は俺を見るだけで“何か”を感じる?

なんで胸の奥が……こんなに疼く?)

騎士としての勘が警告していた。


——この国で何かが起き始めている。

そして俺は、無関係ではいられない。

講堂の前で、ミナが手を振っていた。

「先生ー! 早くー!」

「ああ、今行く」

ゆるい笑顔を作る。

教師としての顔を、生徒には見せなきゃいけない。

(だが……裏ではもう、始まってしまった)


王の光。

胸の疼き。

塔の鼓動。

それぞれは無関係のはずなのに——

どれも俺に向かって繋がっていく気がしてならなかった。

——この日を境に、俺の“静かな教師生活”は終わりを告げた。

世界の歯車は、静かに、しかし確実に狂い始めていた。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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