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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第三章 三番島《豊穣デメトリア》

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第38話「黒影と白銀の裁断者」

神殿地下は白銀の霧に包まれ、

床も壁も天井も“意味”を失い、砂のように崩れていた。

残っているのは——

リオの影だけ。

その影から立ち上がった“黒い人影”は、

ゆらりと揺れながらアーク・ジャッジを見据えていた。

ミナは震えながらリオの腕を掴む。

「せ、先生……影さん……

完全に“人の形”になってます……!」

リオは息を呑む。

(影……お前……本当に“人格”だったのか……

俺の中に……こんなものが……)


アーク・ジャッジは白銀の外套を揺らし、

静かに手を掲げた。

「魔王系統の残滓……

人格を保ち、器を守る意思を持つとは。

王が恐れた理由が分かる」

影はゆっくりと首を傾けた。

——恐れたのは王ではない。

“王の光の奥にいるもの”だ。

アーク・ジャッジの目が細くなる。

「……ほう。

そこまで知っているか」

(影……お前は何を知ってる……?

王の光の奥……?)


アーク・ジャッジが指を振る。

「《裁断:存在》」

白銀の線が影へ向かって走る。

リオは叫ぶ。

「影!! 避けろ!!」

——避ける必要はない。

影はその場から動かず、

白銀の裁断光を“素手で掴んだ”。

ミナが悲鳴を上げる。

「せ、先生!!

影さん……裁断光を……止めてる……!!

そんなの……普通じゃ……!」

裁断光は“存在理由”を切り離す光。

触れれば、物も人も“意味”を失う。

だが影は——

黒い手でそれを握り潰した。

——くだらん光だ。

白銀の線が砕け散る。

アーク・ジャッジの表情が初めて揺れた。

「……裁断光を……無効化……?

魔王系統……いや、それ以上……!」


影が一歩踏み出す。

その瞬間、

白銀の裁断領域が“後退”した。

まるで影の存在そのものが、

世界の理を押し返しているようだった。

ミナが震えながら言う。

「先生……影さん……

“世界の外側”に立ってます……

裁断も断絶も……届かない……!」

(影……

お前は……何者なんだ……!?)

影はリオの方を向かず、

ただアーク・ジャッジだけを見ていた。

——器よ。

お前は下がっていろ。

「勝手に決めんな!!

俺は——」

——黙れ。

今のお前では“裁断”に触れた瞬間に消える。

影の声は冷たく、

しかしどこか“守る意志”があった。


「魔王系統……

ならば、王の光の“本質”を見せてやろう」

アーク・ジャッジが両腕を広げる。

「《王光式:断罪ジャッジメント・ゼロ》」

白銀の光が一点に収束し、

空間そのものが震えた。

ミナが叫ぶ。

「先生!!

あれ……!

“世界の意味”を丸ごと切り離す光です!!

影さんでも……!」

影は静かに言った。

——器よ。

私が前に出る。

黒い人影が、

リオの前に立った。


白銀の断罪光が放たれる。

世界が白く染まり、

空気が裂け、

存在が震える。

影は——

その光を“胸で受けた”。

黒と白がぶつかり合い、

空間が悲鳴を上げる。

——……弱い。

影の声が響いた。

白銀の光が押し返される。

アーク・ジャッジが歯を食いしばる。

「……馬鹿な……!

断罪光が……押し負けている……!

魔王系統……どころではない……!」

——王の光は“模造品”だ。

本物の外側には届かぬ。

(模造品……?

王の光は……偽物……?

じゃあ……影は……本物……!?)


影が手を伸ばす。

黒い指先が、

白銀の裁断領域に触れた瞬間——

白銀が“溶けた”。

まるで、

影の存在そのものが

王の光を否定しているようだった。

アーク・ジャッジが後退する。

「……貴様……!

何者だ……!」

影は答えない。

ただ、

リオの前に立ち続ける。

——器よ。

お前を奪わせはしない。

その言葉に、

リオの胸が熱くなる。

(影……

お前……俺を……守って……)


アーク・ジャッジが震える声で言う。

「……名を……名乗れ……

魔王系統……いや……

“外界の王”……!」

影は静かに答えた。

——名はまだ言わぬ。

器が耐えられぬ。

リオは影を睨む。

「耐えられねぇって……どういう意味だよ……!」

——名を知れば、お前の魂が揺らぐ。

今はまだ早い。

(魂が……揺らぐ……?

影の名前って……そんなに……!?)

影はアーク・ジャッジへ向き直る。

——白銀の裁断者。

ここで退け。

器を狙うなら……次は“私”が殺す。

アーク・ジャッジは息を呑む。

「……撤退する。

だが覚えておけ、元師団長。

王はお前の影を必ず奪う」

白銀の光が霧となり、

アーク・ジャッジは姿を消した。


影はゆっくりとリオの足元へ戻り、

黒い液体のように“影の形”へ沈んでいく。

——器よ。

まだ終わりではない。

最後にそう言い残し、

影は完全に沈んだ。

ミナがリオの腕にしがみつき、震えながら言う。

「せんせい……

影さん……

本当に……人でした……

しかも……すごく……強い……!」

リオは影を見下ろし、

拳を握った。

(影……

お前はいったい……何者なんだ……

そして……

俺は……何の“器”なんだ……?)

第三島の戦いは終わった。

だが、影の謎は深まるばかりだった。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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