第33話「断滅完全体、覚醒」
神殿地下の空間が、
白銀の“断絶の光”で歪み始めていた。
砕いたはずの断滅の司は、
胸の奥に存在する“白銀の穴”を中心に再構築されていく。
ピシ……パキィ……バキィィ……
空間そのものが悲鳴を上げるような音。
光の輪が膨張し、世界の縫い目が引き裂かれていく。
「先生……あれ……!」
ミナはリオの腕を掴み、震えながら見つめた。
断滅の司の身体は、
もはや“人”の形ではなかった。
腕は光の筋となり、
脚は地面に沈むようにぼやけ、
胸の“白銀の穴”だけが異様にくっきりと開いている。
穴は……まるで“口”。
『……断……滅……完……全……体……
《パーフェクト・デス》……起動……』
(そうか……
“喰う”んじゃない……
存在と存在の“結びつき”を切り離して、
世界の“外”へ落とす穴……!)
ミナが青ざめる。
「先生……先の“空っぽの声”……
全部……あの穴に吸われてます……!
食べられてるんじゃなくて……
“世界から消されてる”……!」
(ミナの感知が、完全に“外側”を掴んでいる……
こいつはただの魔物じゃない。
王の光の……“別の根源”……!)
「……面白いな」
階段の上。
アーク・ジャッジは断滅完全体の誕生を冷静に見下ろしていた。
「これこそ《断絶の真形》。
存在の連鎖を切り、
因果を断ち、
世界から分離させる光だ」
「なんのためにそんなことを……!!」
「十二環界の“編成”は乱れている。
本来の理とも異なる。
塔の存在も、
お前のような“系列外”も、
想定されていない」
ミナが息を呑む。
「先生……“系列外”……?」
(やっぱり……
俺の影は塔と繋がっている……
そして王の光も塔の一部……
つまり……)
「王は“理の修正”を行うおつもりだ。
その第一歩が、この《豊穣島の断絶》。
次は——」
視線がミナへ向く。
「“塔系列の感応者”の解析だ」
「させるか!!」
リオが前へ出た瞬間——
『アアアアアアアアアアアアアアア——ッ!!』
断滅完全体の胸穴が広がり、
空間が真っ白に染まりかける。
「くっ……やばい……!!」
「先生!!
あれ……世界の“縫い目”が切れてます……!!
踏んじゃダメです!!」
床に走る白銀の“裂け目”。
落ちれば二度と戻れない“外側”。
(マジか……
本当に世界の外……!?)
ミナの手が震えながらも、確かに示す。
「先生……!
右じゃなくて……“影の上”なら行けます!!
先生の影は……断絶と繋がってない……!!」
「嘘だろお前……!」
(でも……ミナが言うなら!!)
「行くぞ——ッ!!」
リオは“自分の影”だけを踏みながら駆けた。
白銀の裂け目が両側で弾け、
床が存在しなくなっていく中——
影だけが、“現実”として残っていた。
(影……
お前はいったい……何者……!?)
「ミナ!!
核の位置!!」
「胸の穴の横!!
“断滅光の流れが渦巻いてる”ところです!!
そこが一番薄い!!」
「よし!!」
リオは床が崩れる前に跳躍し、
断滅完全体の胸部“横”へ拳を叩き込む。
——ドガァッッ!!!
白銀の光が散り、
完全体が一瞬だけ揺れる。
『……因果……破損……?』
「いける……!!」
しかし——
断滅完全体が両腕を広げた。
「先生!!
ぜったい動かないで!!
“断絶領域”が展開されます!!」
『断絶裁:全域』
白銀の輪が広がり、
地下空間全てを覆った。
(くそ……ここまでか……!?)
ミナが叫ぶ。
「先生!!
影に……影に入って!!
影だけが……断絶を“拒絶”してます!!
先生の影は……断絶より外にいる……!!!」
(影が……
断絶光の“外側”……!?
俺は……何に繋がってる……!)
リオは迷わず“自身の影”へ踏み込んだ。
次の瞬間——
断絶光が世界を飲み込んだ。
だが、リオとミナだけは消えなかった。
影が“存在の拠り所”として残っていた。
(影……助かった……
まるで……世界の外に根を持ってるみたいに……)
完全体がよろめく。
『……断絶が……届かぬ……?
影……何者……』
「俺だって知りたいよ。
だが一つだけ分かってる」
リオは拳を握りしめた。
「“影”でも“塔”でもねぇ。
俺は教師だ。
ミナを守るためなら——何度でも立つ!!」
ミナが涙を浮かべて叫ぶ。
「先生……!!
一緒に……倒しましょう……!!
この島の飢えも……苦しみも……全部!!」
断滅完全体が再び構える。
アーク・ジャッジが静かに言った。
「……では、試練は続く」
その瞬間、リオの影が揺れ、
“誰かの声”が微かに重なった。
——……器よ、まだ倒れるな。
(……まただ……
影の奥の“誰か”が……!)
第三島の地獄は、まだ終わらない。
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※本作の執筆にあたっては、
一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。
物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、
すべて作者自身の手で仕上げています。




