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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第一章 一番島《黎明王国アウロラ》

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第2話「白銀の王、講堂に現る」

■ 基本プロフィール

名前:リオ・ヴェルナー

年齢:27歳

職業:王立勇者育成学校の教師

前職:王国騎士団第四師団長(影部隊の指揮官)


■ 外見

黒髪に近い深い茶色

落ち着いた灰色の瞳(時折、黒の奥に“赤”が揺れる)

眠そうな目元、柔らかい雰囲気

騎士団時代の名残で、姿勢や歩き方に無駄がない


■ 性格

ゆるい

生徒に優しい

眠そう

無害そう

ちょっと抜けてる

生徒からは「話しやすい先生」

 講堂に入った瞬間、空気がひやりと引き締まった。

さっきまでうるさかった生徒たちが、全員、息を呑んでいる。

壇上には王国旗。

太陽光を受けて輝くステンドグラス。

そして、中央にはまだ誰も座っていない特設席。

だが——来る。

それだけは分かった。


「ねえ先生、本当に王様来るよね……?」

「来るって言ってたじゃん! 光の勇者だよ?」

「うわ、緊張してきた!」

生徒たちの声が震え始めた頃——

講堂の大扉が、ゆっくりと開いた。

静寂。

その扉の隙間から差し込んだ光は、窓の光でも炎でもない。

まるで“王が連れてきた光”だった。


「王、アーサー・フォン・アウロラ陛下——ご入場!」

宣言とともに、白銀の鎧を纏った青年が姿を現した。

金の髪は柔らかく光を反射し、

蒼い瞳は迷いなく前を向き、

歩くたびに鎧の光がほのかに揺れる。

——完璧。

誰が見ても“理想の勇者”だ。


「本物……すごい……」

「かっこいい……」

「光ってる……!」

生徒たちは息をするのも忘れていた。

一方の俺はというと——

理由もなく、胸がざわついていた。

(なんだ……この感じ。

圧が……強い?)

王の発する光に近づくほど、

身体の奥がざわりと逆立つような、不思議な拒絶反応。

痛くはない。

だが、どこか“本能が身構える”ような感覚。

(いや、違う……嫌悪じゃない。

これは……警戒だ)


そんなことを考えている間に、王は壇上へと上がった。

「皆さん、今日はようこそ集まってくれました」

その声音は透き通るほど澄んでいて、

誰が聞いても思わず信じてしまう優しさを持っていた。

「私は、あなた方の未来を見るのが楽しみです。

勇気とは恐れぬことではありません。

大切なもののために、恐れながらも一歩踏み出す力です」


美しい言葉だ。

言葉だけなら、完璧に正しい。

だが俺は知らない。

なぜか胸の奥が妙にざわざわして仕方ない。

(……言葉は良い。

なのに……声の奥に、別の音が混じってる気がする)


「先生……?」

隣のミナが心配そうに見上げる。

「ん、大丈夫。聞いてるよ」

しかし心はまったく落ち着かない。

王が振り返り、会場を見渡した瞬間——


王の蒼い瞳が、俺に向けられた。

(っ……!)

胸の奥が一瞬だけ“掴まれた”ように強く跳ねた。

空気が止まり、周囲の音が遠のく。

まるで、視線そのものが刃のように触れてきた感覚。

王はすぐに視線を逸らした。

ただそれだけなのに、喉がひりつくほど乾いた。

(なんだ今の……知らないはずなのに……

俺はどうして、あいつに反応してる?)


理由は分からない。

だが確かな“警告”だけが身体の中で鳴っていた。

「——未来の勇者たちへ、私は心から期待しています」

王がそう締めくくった瞬間、

講堂に割れんばかりの拍手が響いた。


その拍手の中、事件は起きた。

「きゃっ……!」

後方でひとりの少女が転び、足を強く捻ったようだった。

「大丈夫か!?」

教師が動くよりも早く、

王がすっと歩き出す。

「あまり無理をしてはいけませんよ」

王が少女の足に触れ、光が溢れた。

「痛く……ない……?」

少女が驚くと同時に、

周囲には感動の声が広がる。


だが俺は——

その光の中に、微かな“違和感”を見た。

(……治ってない?)


少女の足は確かに痛みが消えていた。

だが傷自体は治っていない。

——痛みだけが“切り離された”。


そこに気づいた瞬間、

王の足元に転がった木片が光に触れ——

影も残さず、音もなく“消えた”。

(今の……消えた……?

砕けたんじゃなくて……存在ごと?

まるで“光に否定された”みたいに……)


息が止まる。

周りの教師も生徒も、誰も気づいていない。

光の中で目が眩んでいるのだ。

(まさか……あれが……)

言葉にならない“恐怖”が背を走る。


王は微笑んで少女の頭を撫でる。

「すぐに医務室で診てもらいなさい。

もう痛みは出ないはずです」

そして会場の中央へ戻ってくる途中で——

王が俺の横を通り過ぎる。


「……やはり気づくのですね、あなたは」

低い声が、俺だけに聞こえるような距離と音量で。

(……気づく?

俺が何に?)

問い返す前に王は微笑みを浮かべた。

「その——“光”の奥にあるものに」

ぞくり、と背中が凍った。

本能が警鐘を鳴らす。

だが、なぜなのか分からない。

ただ確かに、王の光には“何か”がある。

俺が見てはいけないものが。


「教師殿。あなたとは、ゆっくり話してみたいですね」

そう言い残し、王は退出していった。

残された俺は、生徒たちの歓声の中で

一人だけ冷たい汗を流していた。

(……なんだ。

なんなんだよ……今の光は……)


胸騒ぎは、もはや誤魔化せないほど大きくなっていた。

式典の終わりを告げる鐘が鳴る。

だが俺の中の“何か”は静かに確信していた。

——今日、世界は確かに軋み始めた。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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