表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第二章 二番島《工環ペリカンテ》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/24

第23話「契約炉の番人」

中心炉コントラクト・フォージの内部へ足を踏み入れた瞬間、

リオの肌を焦がすような熱波が叩きつけてきた。

鉄を溶かすような赤熱の光。

煙でも蒸気でもない、“恐怖の気配”が霧状に漂っている。

「先生……こっち……すごく……苦しい……」

ミナは胸元を押さえ、眉を歪めた。

ただの熱気じゃない。

この霧は“人の負の感情”そのものだ。

(ペリカンテ全体の恐怖……怒り……怨嗟……

全部がここに吸われてる……!)

中心には巨大な炉心があった。

心臓のように脈動し、禍々しい光を放っている。

——ゴウン、ゴウン。

(この脈動……塔と完全に同期している……

塔の鼓動が……ここにも流れてる……?)

その時だった。

炉心の影が、ゆっくりと“形”を持ち始めた。

「……来たか」

鉄をすり潰すような低い声。

炉心から抜け出るように、ひとつの“巨躯”が姿を現した。


高さ三メートル。

全身が古びた契約札の集合体で出来ている。

身体の表面には恐怖の契約印が幾重にも刻まれ、

焦げた契約書の断片が顔の代わりに貼り付いていた。

「こ、これ……人……?」

ミナが震えた声で呟く。

リオは半歩前に出て、庇うように手を伸ばした。

「大丈夫だ、ミナ。俺の後ろにいろ」

番人はゆっくりとリオたちを見下ろし、

重々しい声で名乗った。

『——契約炉の番人。

恐怖と破棄の契約、統合体コンソリデイテッド

(番人……

この島の契約歪みの“具現”か……

いや、違う……これは“材料”の臭いがする……)

ミナが泣きそうな声で言った。

「先生……

この人……“契約された魂”がいっぱい混ざってます……

助けてって……何十人もの声が……!」

(やっぱり……!

こいつは契約で“作られた存在”じゃねぇ。

人の恐怖を無理やりまとめて、形にして……

“化け物”にされた……!)

炉心の熱が一段と強くなる。


『——契約に抗う者よ』

空気が震える。

『お前の“黒いオーラ”は……この釜を拒絶した』

(黒いオーラ……

マルクも言ってた……

俺の中の“何か”が契約を拒絶する……?)

ミナが不安そうに覗き上げる。

「先生……

また……黒いのが……動いてます……

先生の後ろで……揺れてる……」

(……やめろ。

今は戦うだけだ……!

黒いオーラでも何でも、俺は俺だ。

教師として、生徒を守る。それだけだ)

リオは拳を握りしめた。

「番人とやら。

俺は契約そのものと戦うつもりはない。

ただ——」

「ミナや、この島の子どもを傷つけるなら、俺は戦う」

番人の“顔らしき部分”が、ぐにりと歪む。

『——人を守る契約……か。

初めてだ……この炉に来た者で……

その言葉を言ったのは』

番人の腕が、黒金の契約札をまとって伸びてきた。


番人の腕が地面に触れた瞬間、

床一面に契約陣が走った。

【契約:圧殺クラッシュ・オース

【対象:侵入者】

重圧が空間そのものを潰すように襲う。

「っ……!」

リオは腕でミナを庇う。

重さが一気に十倍にも増したような圧力。

「せ、先生……!」

「大丈夫だ……まだ……耐えられる……!」

だが番人はさらに契約を重ねた。

【契約:因果削り《カース・ストレイン》】

(まずい……!

これは直接“存在”を削る契約……!)

床がひび割れ、空間が軋む。

『抗えるか、人間よ』

「上等だ……

教師舐めんな」

リオが跳ぶ。

だが跳んだ先の空中にも契印が浮かび上がる。

【契約:落下罰】

(空間そのものが罠だらけか!!)

「先生! 右上はダメです!」

「分かってる!」

リオは空中で強引に身体を捻り、

契印をギリギリで避けて番人の腕へ拳を叩き込む。

——ガァンッ!!

火花が散り、鉄が砕ける音が響く。

だが番人は微動だにしない。


その時だった。

炉心が大きく脈動し、

黒金の光がリオに向かって走った。

——ゴウンッ!

(また……!

塔と同じ脈動……!)

ミナが叫ぶ。

「先生!!

中心炉が……先生の中の“黒いオーラ”を見つけてます!!

呼んでる……!」

(黒いオーラを……呼んでる……だと……?)

『……現れよ、異物……

理の外側から来たもの……』

(理の外……?

俺が……何なんだよ……)

思考が深く潜りかけたその瞬間——

「先生!!

黒いオーラなんてどうでもいい!

今は……私がいます!!

先生は……先生なんです!!」

(ミナ……!)

黒いオーラがふっと収束し、

リオの身体から圧が抜けた。

(ミナの声が……黒いオーラを引き戻した……?)

番人が一瞬だけ硬直する。

『……契約の恐怖を拒絶し……

黒いオーラを制御する“声”……だと……?』

(ミナ……お前の声が……)

番人は片手を上げた。

「来るぞ、ミナ離れろ!」


番人の身体が軋み、

契約札が次々と剥ぎ取られていく。

内部から黒金の核が露出し、

炉心の奥で巨大な契約陣が立ち上がった。

【契約:複合恐怖創魂オールフィア・ソウルフォージ

【契約:複写魂集合体ソウル・コンソリデイト

「なんだこれ……契約印が……全部重なって……!」

ミナが震える。

「先生……この人、もう……人じゃない……

“島の悲鳴”で出来たもの……!」

(こいつ……

本当に島の恐怖そのものか……!)

番人の身体が膨張し、

契約の光を纏った巨人へと変貌した。

『——契約炉の番人、第二段階。

侵入者、消去開始。』

(第二段階……!

これは……本気だ!)

炉心の脈動が戦場を震わせる。

——ゴウンッ!!

——ゴウンッ!!!

(塔の脈動と……完全に一致してる……

塔が……この島の契約に……何を……)

リオは拳を握った。

「ミナ。

絶対に離れるな。

ここからが……本当の地獄だ」

「……はい!」


少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ