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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第二章 二番島《工環ペリカンテ》

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第20話「恐怖陣の中心で、何かが目覚める」

契約工場の天井まで広がった黒い魔方陣が、

鉄塔全体を覆うように回転し始めた。

【契約:恐怖陣フィア・ドミニオン】

——恐怖を集め、倍加し、形に変える。

黒霧は歯車のように噛み合い、

巨大な“恐怖の形”へと変質していく。

鉄の匂い。

焦げた匂い。

そして“未知の恐怖”が空気を染めた。

「ミナ、後ろに!」

「はいっ!」

ミナは後ろへ下がりながらも、

拳を握りしめて恐怖陣を凝視していた。

「先生……あれ……怖いだけじゃない……

“怒り”とか……“悲しみ”とか……

いっぱい混ざってて……色が……濁ってます……」

(恐怖だけじゃない?

契約が……“負の感情すべて”を糧にしている……?)

リオが眉をひそめると、

マルクは嗤うように息を漏らした。

「そうだ……そうだ……!

恐怖陣は“人間の負の感情”を力に変える!

恐れただけでもう……逃れられない……!」

ミナが震える。

「先生……いや……怖い……怖いです……!」

「ミナ、大丈夫だ。

絶対に、俺の後ろから離れるな」

恐怖陣の中心に、黒い塊が降り立つ。

人の形をしているが、

その表情は空っぽで、

ただ恐怖と怒りの“残滓”だけが浮かんでいた。

「これが……恐怖陣の具現……!」

「契約は形にできる。

恐れは武器になる!

これこそ契約術師の究極!」

(なんだよそれ……

そんな理、認められるか……!)

リオは拳を握りしめた。


「先生!? 危ないです!!」

「分かってる……

でもここで逃げたら、

お前がまた狙われる」

「……!」

ミナは唇を噛んだ。

リオは恐怖陣の境界線に足を踏み出す。

――バチィッ!!

「っ……!」

膝から崩れそうになるほどの圧。

心臓を直接掴まれたような感覚。

(なんだこれ……!

ただの恐怖じゃない……

“俺自身の恐怖”が引きずり出されて……!)

脳裏に浮かんだのは——

守れなかった子どもの顔。

救えなかった部下。

教師としてまだ救えなかった誰か。

(やめろ……!

そんなものは……!)

マルクの声が重く響く。

「恐怖から逃げるな。

恐怖は契約の根。

お前の恐怖は……“守れないこと”。

なら守れずに終われ!」

「……誰が……ッ!」

リオは殴りかかる——が、

【契約:恐怖反転フィア・リバース】

黒い塊が受け止め、

逆にリオの胸へ“恐怖そのもの”を叩き返してくる。

「ぐっ……!」

息が止まる。

膝が落ちる。

「先生!!」

ミナの声だけが、

リオの意識を繋ぎ止めた。


——契約共感覚コントラクト・エンパス

ミナは両手で胸を押さえ、

恐怖陣そのものを直視した。

「怖い……怖いけど……見える……!」

ミナの瞳が、はっきりと金色に輝く。

「“恐怖陣の核”が……

感情で渦巻いてる……!

怒りは赤い稲妻みたいで……

悲しみは青い霧みたいで……

全部が先生にぶつかってるんです!」

「核……?」

「先生の恐怖じゃない……

この島の人の……苦しさ……悲しさ……怒り……

それ全部が集まって……

先生を押し潰そうとしてる……!」

(恐怖陣が……

個人攻撃じゃない……?

“島全体の感情”……!?)

マルクが嘲笑う。

「そうだ……!

ペリカンテは恐怖と不満が集まった島!

その全てが契約術師の武器となる!

契約の恐怖には、何人たりとも抗えない!」

「抗えない……?」

その言葉に、

リオの中で、何かが静かに“線を越えた”。


(塔……

お前は……俺に教えてるのか……?)

リオの胸が、

強烈な痛みとともに脈動を返した。

——ゴウンッ!!!

恐怖陣が一瞬“押し返された”。

「なっ……!?

恐怖陣が……下がっただと……!?」

ミナが叫ぶ。

「先生……先生から……

黒い光が……!」

(黒い光……?

いや、違う。

これは……力じゃない。

“拒絶”だ……)

リオが恐怖陣に向けて低く言う。

「……俺は……

恐怖に屈するつもりはねぇ」

その瞬間——

リオの背後に、

“黒いオーラ”がふわりと立ち上がった。

影ではない。

煙でもない。

形を持たない“人格の圧力”。

巨大な何かのようで、

人影のようで、

しかしどれでもない“黒”。

ミナだけが、その色を見た。

「せ、先生……

後ろに……“色のない黒”が……!」

リオ本人は気づいていない。

だがその黒いオーラだけが、

恐怖陣の力を踏み潰していた。

「な、なんだ……この拒絶の気配は……!!

契約の恐怖が……効かない……!?」

(恐怖が効かない……?

俺が……?

なんで……?

俺はただの教師で……)

塔の脈動が再び胸を叩く。

——ゴウン。

“お前は恐怖に飲まれない者”

そう告げるように。


「先生……恐怖陣が……下がってます……!」

「よし——!」

リオは恐怖陣の中心へ走る。

「ふざけるなぁぁぁぁ!!」

マルクが札を連打する。

【契約:痛罰】

【契約:拘束】

【契約:精神圧縮】

【契約:恐怖増幅】

黒い刃が四方から迫る。

「先生!!

右! 左! 上! 下!!」

ミナの叫びと同時にリオは弾丸のように動く。

刃を避け、恐怖を押し返し、

契約の罠を踏み抜くように走る。

(行ける……!

ミナの声がある限り……!)

そして——

リオの拳は恐怖陣の“核”へ届いた。

——バキィッ!!!

黒い核が砕け、

恐怖陣が崩壊していく。

「ば……ばかな……

恐怖陣が……恐怖が……

契約の“理”がぁぁぁぁ……!」

マルクは膝をつき、

震えて後退した。


恐怖陣が消え、静寂が訪れた。

ミナはリオに抱きつき、泣きながら叫ぶ。

「先生……!!

本当に……無事でよかった……!」

「ミナ……

お前が導いてくれた。

ありがとう」

だがその時、

工場の奥で“白金の光”が揺れた。

光戒師団とも違う。

契約術師とも違う。

冷たく、無機質で、

まるで“生き物のように”こちらを観察する光。

『……やはり興味深いな』

誰かの声が響く。

ミナが震える。

「せ、先生……

あれ……王様の光……!」

(アーサー王……?

ここまで干渉してきたのか……!)

『その教師……

光の理に近すぎる。

——調べる価値があるな』

声だけ残して、光は消えた。

(……王国の“本命”が……

動き出した……!)

リオは拳を握った。

(逃げるだけじゃ終わらねぇ。

この島の“真実”を暴く。

そして——ミナを守るために、

俺は前へ進むしかない)

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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