表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第二章 二番島《工環ペリカンテ》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/26

第16話「鉄環連合本部——“契約術師(ジャッジマン)”の間」

 大ギルド《鉄環連合》の本部は、

ペリカンテの中心部に鎮座する巨大な鉄塔だった。

まるで塔そのものが“契約の牢獄”であるかのように、

無数のパイプが絡み、黒煙が噴き上がっている。

「これが……あの大ギルド……」

ミナが震えた声で呟く。

「ああ。

契約も権力も、この島の“心臓”は全部ここにある」

リオは塔を見上げながら、胸の奥がざわつくのを感じた。

(塔の脈動が……ここにも反応してる。

第二島の中心と、なぜ響き合う?)

その答えはまだ分からない。

だが、この鉄塔には“決定的な異常”がある。

「よし、行くか」

ベルモンドが前に出て鉄扉を叩こうとしたとき——

「……先生。

この建物……“生きてる”みたいです」

ミナが小声で言った。

「生きてる?」

「うん……呼吸してるような、うめいてるような……

昨日の契約札と同じ匂いがします……」

(ミナの感覚……また当たってる)

リオはミナの頭に軽く手を置いた。

「大丈夫だ。危険は俺が先に嗅ぎとる」

「……はい」


鉄扉を開けた瞬間、

鉄と油の重い匂いがのしかかった。

中には巨大な装置が並び、

職人たちが膨大な契約札を量産している。

紙ではない。

札は金属板に刻印され、

魔法陣のような光が脈打っていた。

「これ……まさか全部契約札!?」

「そうだよ嬢ちゃん」

ベルモンドがうんざりした声で言う。

「ここが“契約の工場”だ。

契約を作り、売り、縛り、搾取する装置……

ペリカンテの闇そのものだ」

(まるで……魂を削る儀式のようだ。

魔力じゃない、“恐れの力”を集めている……?)

リオの胸がざわつき、心臓が一拍早く脈打つ。

(塔の脈動と同じリズム……?

なぜ契約工場が、塔と同じ鼓動で動くんだ……?)


「で? 何の用件だ?」

奥の部屋から、

腐食した鉄扉を押し開けて現れたのは——

長身で痩せた男。

顔の半分を鉄仮面で覆い、

残った片目には“金色の契約紋様”が埋め込まれている。

手には、黒と金の札。

「俺が《契約術師ジャッジマン》の一人、

“マルク・ヴォルダン”だ」

(コイツ……ただのギルド長じゃない。

“魔術師”でも“騎士”でもない……

契約そのものを制御している……?)

胸の奥がズキリと痛む。

「リオ・ヴェルナー。

お前の行動が、この島の秩序を乱した」

「秩序だぁ?

子どもを恐怖で縛るのが秩序か?」

「恐怖こそ契約の根。

恐れのない人間は、契約を守らない」

「だったら——お前の理は間違ってる」

リオが一歩踏み込むと、

マルクは鼻で笑った。

「元師団長ともあろう者が、ずいぶん甘いことを言う。

だが……その甘さが“国から異端扱いされた理由”だろう?」

(……!

やっぱりコイツ、“王国”から情報をもらっている……!)

「教師として子どもを守る。それの何が悪い」

「全部だ。

王国が定めた“光の理”に逆らうことになる」

(出た……“光の理”……)

ミナが不安そうに袖を握る。

「先生……あいつ……こわい……」

「大丈夫だ。

お前には指一本触れさせない」

マルクの片目が、ぎらりと光る。

「そのガキ……昨日の“契約破損干渉”はお前の仕業か?」

「……!」

ミナの肩がビクッと震えた。

「興味深いな。

契約の“恐怖側”だけを無効化するなど、

本来は“神官級の契約神術師”にしかできない芸当だ。

まさか……塔の“残響”でも宿しているのか?」

(塔……!?

こいつ……塔のことを知ってるのか……?)

胸の痛みが強くなる。

(塔の脈動が……

コイツに強く反応している……!)


「ミナ、目を閉じ——」

「先生……違う……」

「?」

ミナは震える声で言った。

「この人……

契約の怖さじゃなくて……

“心の中が……空っぽの穴みたいで”怖い……」

(ミナ……お前の感覚……そこまで……?)

マルクが一瞬、目を見開いた。

「ほう……

ガキにしては鋭いな」

ミナが怯えて下がる。

リオはミナの前に立った。

「相手が誰だろうと、お前を見させない。

その目を合わせる必要はない」

「…………」

マルクの笑みが消えた。

「やはり……お前は邪魔だ、リオ・ヴェルナー。

契約の根を乱す存在……

“光の理”の最大の障害だ」

(王国と契約術師……

完全に繋がってるじゃないか……!)


「ベルモンド。

ここまで案内したこと、後悔するぞ」

「へっ……冗談じゃねぇ。

リオは俺の客だ。

文句あるなら、俺が相手してやる!」

「愚かだな。

もうこの塔は——閉じた」

ゴウン……!

鉄塔全体が震えた。

外の出口が“自動で”閉じていく。

「な……!?」

「契約工場は“恐れによって動く”と言ったろう。

今のこの場は、

“子どもの恐怖を素材にした契約陣”で満ちている」

「どういう意味だ」

「つまり——」

マルクの手元に、黒い契約札が浮かび上がる。

「脱出も、戦闘も、拒否すれば、

“札が燃え、お前たちの存在は消える”」

(くっ……!

完全に罠じゃねぇか!!)

「ミナ……後ろに下がれ!」

「……はい!」

塔が鳴り、契約陣が脈打つ。

塔の方向もまた響く。

——ッ、トン。

(塔の脈動が……

俺の胸と、契約術師の札……

両方に反応している!?)

マルクが宣告する。

「さぁ、元師団長。

教師の甘さで、この塔から逃げられるか?」

リオはゆっくり拳を握った。

胸の奥で、影の環刻が低く脈打つ。

「甘さで……充分だ」

「……ほう?」

リオはゆるく笑った。

「俺は教師だ。

怖がる子どもを庇って、

迷って、悩んで、甘くて……

それでも守るためなら、何度だって立ち向かう」

ミナの瞳が揺れる。

「先生……!」

マルクが札を掲げた。

「なら——契約の恐怖で、消えろ」

「断る」

リオは一歩前へ。

鉄塔が唸り、契約陣が光り——

第二島ペリカンテ、

“契約術師マルク”との戦いが幕を開ける。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ