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十二環界と天塔の魔王  作者: ぷやっさん
第二章 二番島《工環ペリカンテ》

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16/25

第15話「ミナ誘拐——契約を壊す影」

 小ギルド長ドフォスを倒し、

少年の契約を“守る側”へと引き戻したその翌日。

ペリカンテの空気は、一気にざわつき始めていた。

「先生……なんだか、昨日より……変な視線があります」

「……俺にも感じる」

町を歩くたび、

鉄工所の影から、蒸気機関の合間から、

人ならざる“ひやりとした気配”が追ってくる。

(光戒師団の潜伏部隊……

完全に俺を狙ってるな)

だがそれだけではない。

大ギルド《鉄環連合》——

ドフォスが従属していた巨大組織が、

昨日の一件を“嗅ぎ取った”らしい。

町の掲示板にも、新たな紙が貼られていた。

【小ギルドの契約破り発生

関係者の身柄確保を命ずる】

(……そんな大々的に広めるとはな。

騒ぎに乗じて俺たちを追い詰める気か)

ベルモンドは渋い顔で言った。

「やべぇぞリオ。

ドフォスの件で“小ギルド保護派”が勢いづき、

大ギルドがキレてる。

“契約魔法の歪み”とか完全にほっかむりだ」

「……お前のギルドは大丈夫か?」

「まあ、“俺は裏ギルド側”だからな!

正規ギルドの喧嘩は勝手にやってろって感じだ」

そう言いながらも、ベルモンドの顔は険しい。

「だが、問題は——」

ベルモンドが言いかけた瞬間。

「きゃああああッ!!」

遠くで悲鳴があがった。

「ミナッ!?」

リオは反射的に走った。


声のした路地裏へ飛び込むと、

ミナが複数の男に取り囲まれていた。

全員、大ギルド《鉄環連合》の腕章をつけている。

「や、やめて……ください……!」

「うるせぇんだよガキ!

お前を“契約材料”として連れてくだけだ!」

「契約材料……?」

(……この島の契約魔法……

まさか、“人の恐怖”を材料にするのか……)

ミナの腕を掴んだ男が吐き捨てた。

「小ギルドのガキを庇う教師がいると困るんだよ!

契約は秩序!

弱いやつは“燃やす側”に回ってもらわねぇと困る!」

ミナが震える声で叫んだ。

「いや……先生……!」

「ミナァ!!」

リオは地を蹴った。

その瞬間。

「……ッと!」

光弾が足元に飛んだ。

(光戒師団……!

狙いはミナだけじゃない……俺だ!)

白い法衣をまとった影が屋根から飛び降りる。

「元師団長リオ・アークフェルド。

少年の契約を“守る側”に変えた罪……

裁きの時だ」

「くそ……二重で仕掛けてきたか……!」

ミナを奪う大ギルド。

リオを狙う光戒師団。

完全な連携だった。

「連れてけ!」

「やめろおおおお!!」

ミナが引きずられる。

リオの胸が鋭く痛んだ。

(塔の……脈動……!

やめろ……今は来るな……!

“本能”に飲まれたら……ミナを守れねぇ……!)

「ミナぁぁぁぁッ!!」


大ギルドの男が札を取り出した瞬間、

札の片側が燃え始めた。

【契約:ミナ・エルステッド

対象:ドフォス少年の“代償”として拘束

破れば——痛みの罰】

(くそ……!

ミナに“罰契約”押し付ける気か!)

ミナが恐怖で顔を歪める。

「痛いの……いや……先生……!」

「ミナッ!」

リオは光戒師団を避けながら走る。

「邪魔だッ!」

光戒師団の刃がリオを狙う。

リオは拳を開いた。

(戦い方は変える。

“殺し”じゃない……

“教師として、子どもを守る”戦いだ!)

リオは地面の鉄板を拾い、投げた。

鉄板が光弾に触れ——

瞬時に消えた。

(よし、絶対に消える素材で消えさせる……!

相殺だ!)

次弾が来る。

リオは道端のバケツを蹴り上げ、

光戒師団の光を“消させる”。

「……なんだ……この戦い方……」

「俺は教師だ!!」

次の瞬間、

リオは地面を蹴って大ギルドの男へ飛び込んだ。

「ミナを離せ!」

「ひ、ひえっ……!」

男の顔面へ拳が——ではなく、

肩に軽く押すだけ。

だが、戦場帰りのその“押し”だけで

男は肺から息を奪われて倒れる。

「契約を……守らせるのが、教師の仕事だ」


「ミナ、大丈夫か!」

「先生……!」

腕を掴まれたままのミナの手首に、

契約札の赤い光が纏わりついていた。

(まずい……罰の契約が発動寸前……!)

ミナの瞳が震え——

「いや……燃えないで……!」

契約札が。

静かに、音もなく消えた。

「……!」

「おいおい……

このガキ……“契約破損干渉ディスジャッジ”持ちか?

普通のやつにできんぞ、それ」

(……ミナ……

お前は一体……)

「先生……怖かった……でも……

私……守りたかった……!」

「ミナ……よく頑張った」


光戒師団の影がリオへ刃を向ける。

「元師団長。

貴様は“光の理”への反逆者……」

「黙れ。

契約をねじ曲げ、子どもを傷つけ……

それが光だと?」

光戒師団は一瞬だけ怯んだ。

(こいつらも……

“光”に怯えてる。

王に……従うしかないだけだ)

「お前らも……怖いんだろ。

“王の光”が」

「……!」

「その恐怖を、子どもに押し付けるな!」

リオの声が、裏路地に響いた。

光紋隊は舌打ちして退いた。

「……覚えていろ。

この島は……王の光で浄化される」

「浄化……?」

ぞっとした。

(契約魔法の改造……

王国の影……

こいつら、“島を丸ごと宗教化”するつもりか……?)


男が逃げ、生徒を抱えて膝をついたミナの顔は、

涙で濡れていた。

「先生……

私……怖かった……でも……

守りたかった……!」

「よく言った。

ミナは……強い子だ」

「……私……役に立てましたか……?」

「立ってるどころか、欠けてる部分を補ってくれた。

俺にはできないことを、ミナはやってる」

ミナは涙を拭きながら微笑んだ。

「先生の隣に……ずっといたい……」

胸がじんと痛む。

(ミナ……

お前は……なんでそんなに強いんだ)


ベルモンドが険しい顔で言う。

「リオ……

大ギルドが“子どもの契約”を利用し始めた。

動くのは今だ」

「どこへ?」

「大ギルド《鉄環連合》本部。

あいつらの契約術師ジャッジマンが黒幕だ」

(契約を歪める術師……

恐怖だけを残す契約……

塔の脈動も強まってる……

全部繋がってる……!)

リオは深く息を吸った。

「行くぞ、ミナ。

この島の“真実”を暴く」

「はいっ!」

金属の塔が鳴り響く。

第二島編は、ここから“本格的な戦い”へ突入する。

少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク・評価宜しくお願いします!!


※本作の執筆にあたっては、

一部のアイデア整理や設定構築にAIを活用しています。

物語の最終的な構成・文章表現・キャラクター描写は、

すべて作者自身の手で仕上げています。

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