表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/72

第21部「狙撃の静音域 -Silent Range-」

午後11時、港区・国際物流管理センター跡地。


“赤腕”の残党が武器取引のため、夜間の港湾施設を一時占拠しているとの情報を受け、ユズリハと咲に密偵任務が下された。


今回の目的は、敵の構成・武器種・取引相手の確認と妨害。

咲が潜入、ユズリハが狙撃で援護するという新たな連携ミッションだった。


咲はその小柄な体躯を活かし、建材用パレットの隙間や、配線ダクトのトンネルを這い進んでいく。


(狭いほど、落ち着く……)


P90は外付けスリングで背中に固定。

前方にCZ75を携え、足音ひとつ立てずに建物内へ。


施設内部には8名の武装兵。

MP5やグロック17、ショットガンなどが散見される。だが、配置は甘く、通路ごとの連携も薄い。


咲は壁際の陰に伏せ、無線でユズリハに連絡を送った。


「三番通路、ショットガン持ち。視界、良好。排除、お願い」


そのころ、施設から200m離れた港のクレーン上。

ユズリハは**FN SCAR-H(7.62×51mm)**に、

シュミット&ベンダー製の高倍率スコープを装着して狙撃体勢に入っていた。


風速:2.4m/s、湿度と気温を加味し、呼吸を整える。


「位置、捕捉」


パンッ。


消音器越しに重い銃声。

7.62mm弾が通路奥の照明を割り、反射で浮かんだ敵兵の肩を貫く。


咲が即座に移動。

伏せた敵兵を踏み台にして上階へ滑り込む。


第2ポイント。コンテナの隙間から敵が身を乗り出し、無線で増援を呼ぼうとする。


咲はP90を構え、フルオートで手元を狙撃。


パパパパパン!


腕とトランシーバーが同時に砕け、男は絶叫。

が、致命傷ではない。


「話せば助かる。配置、教えて」


咲はナイフを抜き、男の首元にそっと当てた。


「4人、南側のコンテナ……伏せてる」


無線でその情報を送ると、すぐにユズリハがスコープ越しに反応。


「補足完了」


パン! パン! パン! パン!


咲が耳にしたのは、銃声ではなく“順に崩れ落ちる音”だった。


ミッション終了後。


ふたりは施設裏の海岸で合流した。


「咲、完璧だったわ。あんなルート、私じゃ絶対無理」


「でも、撃つのは任せた。私、あれだけ離れると当たらない」


「だから二人いる。ひとりじゃ届かないところ、あなたが入る」


咲は少し照れたように笑った。


「今夜も、守れたね」


「ええ。でも、これからよ」


月明かりの下、ふたりの少女はそれぞれの得意分野で戦場を生き延びていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ