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中身はなんだろ。めっちゃ気になる。
仮に幼女が入っていたとして交番に届けていいのだろうか。
「中身は?」
私が聞くと兎は首を傾げた。
あくまで中身は居ない設定なのね。
「ハンカチ。拾ってくれてありがとうね。お姉さん帰らないとだから。君も早くお家に帰らないと駄目だよ?」
うん。このままバイバイして、この件はなかった事にしよう。
立ち上がり、兎に背を向けて歩き出す。
いやー。中身が居ないのだとしたら動くぬいぐるみとか怖くて関わり合いたくない。
こういうのって連れて帰ったりしたら命を狙われたり、異世界に転生させられたり、不思議な道具を出してきたりするんでしょ?
私は普通でいい。金髪の男の娘にはちょっと会ってみたいけど都市伝説は都市伝説。
ちょっと小耳に挟むくらいが面白くて興味深いのよ。
さぁて、今日は残業で疲れたからコンビニでコーラでも買ってお家で1杯やりますかねえ!
ふふ。コーラじゃ締まらないね。でもお酒は飲めないから仕方ない。
軽い足取りで、コンビニへと足を踏み入れた。
「いらっしゃっせー」
今日もやる気のない声で挨拶をする店員さんだ。
深夜帯専門のバイトさんなのかな。
雑誌コーナーを抜けてジュースの棚から迷わずコーラを手に取りお菓子コーナーへ。
お菓子コーナーでポテトチップスを取って、弁当のコーナーでミートソースパスタを手に取る。
それからレジへと向かうと、店員さんが私の後ろを指さした。
「今日は可愛い子連れてるんすね。お子さんすか?」
「はい?」
「そのピンク色の着ぐるみ着てうちの商品もってるの、お姉さんのお連れさんっすよね」
振り返って見てみると、兎が立っていた。
手にはワンカップとさきイカを持って、ルンルン気分で左右に揺れている。
そして手に持っている商品を私に差し出してきた。
「君。小さいのにお姉さんの好きな物分かるんだね。つーか、お姉さんいつもコーラだったっすけど飲めたんすね」
兎?はふん!と得意げに胸を張った。
いやいやいやいや。お連れ様違う。なんで着いてきてるのよ。
これもう関係ないって言えないやつ……どうしよう。買うしかない?
一つ。確認しよう。こっちの言葉は通じるんだ。
商品を受け取るふりをして兎?の前にしゃがみ込んだ。
「ねえ。これの味が分かるって事はあなた成人してるんだよね?」
小さい声で言うと、兎?は目をキラキラさせながら1度大きく頷いた。
仕方ない。合計500円くらいだ。買い与えておさらば出来るならそれがいい。