鬼畜
月曜じゃないけど“真っ黒シリーズ”です。
もし娘の結愛がよからぬ事に巻き込まれて……くだらない男達の欲望のはけ口にされてしまったとしたら、私は嘆き悲しみ、そんな鬼畜どもを生涯呪い続けるだろう。
だから私は……柊真くんが“カテキョ”に来てくれる時は、お茶を淹れるとかなんとか、何かと用事を作って二人を監視し、結愛からはウザがられている。
いくら私のお眼鏡に叶ったコだからと言っても、男はオオカミ!!
何がどうなるか分からない!!
結愛だってカレの事を気になっているみたいだし……
だから、監視の名目で柊真クンを見つめている。
綺麗な横顔
逞しい腕
引き締まったお尻……
パパも昔はああだった!
そう! パパも私の“カテキョ”で……
色んな事を教えてもらった。
思い返すと、胸の奥底がじんわりして
柊真クンを見る目が変わってしまう……
イケナイ感情が走り出しそうになって
私は俯き
お茶を淹れる。
カレの親御さんから見れば、私は“鬼畜”だわね!
「柊真クン! お茶を淹れたわ! キリのいいところで召し上がってね!」
そう声を掛けた私を睨んだ結愛……
“あどけない嫉妬”と思っていたのだけど
そうでは無かった!!
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去年、家族三人で沖縄に行った。
ところが、“季節外れ”の強い日差しを浴びた私は酷い肌トラブルに見舞われた。
そんな私を心配して、パパは“どくだみ健康茶”を買って来てくれて、毎晩私に飲ませてくれた。
「お仕事で大変なのに、毎晩私の為に本当にごめんなさい」
「いいよ! どうせオレは不眠症で……それがこんな風に役に立つんだったら儲けものだ」
そう言って笑ったパパに私は感謝の涙が止められなかった。
“どくだみ健康茶”の味には閉口したけれど……その甲斐あって、徐々に症状は軽くなり、すぐに眠りに落ちる様になった。
『すべてパパの愛情のお陰!!』
そう信じて疑わなかった!!
ついさっきまでは!!
そう! いつもの様に、先にお暇して寝室に来たのだけど……
なんとなくお腹の具合がおかしくて、パパが作ってくれた“どくだみ健康茶”に手を付けずにいた。
案の定、眠れない私は寝室を出てキッチンに入った。
テーブルには病院で処方された睡眠薬の内用液のパッケージがいくつも残されていた。
「パパったら!こんなに飲んで大丈夫なのかしら? ひょっとしてリビングで寝落ちしてる??!!」
胸に不安を抱えながらリビングを覗いてみるが誰も居ない。
トイレもお風呂の電気も消えている。
いったいどこへ??!!
神経を張り詰めて聞き耳を立てると……勉強部屋の僅かに開いたドアの中から微かに漏れ出す光と共に“二つの”息遣いが聞こえて来る。
息を詰めて立膝でドアへにじり寄り、そっと中を覗いてみる……
「!!!!!!!!」
パパがかつての私にしていたのと同じ事を結愛にしている!!!!
吹き出して来る激しい嘔吐と涙を……両手で必死に抑えて
私は廊下を後ずさりする。
“どくだみ健康茶”もパパの心療内科への通院も……
全ての符合が合致する!!
暗い洞窟の様な廊下を戻り
身の内の激情とは裏腹に私は極めて静かにキッチンに入った。
それから私は、包丁スタンドから1本ずつ抜いて灯にかざしながらテーブルに並べて行く。
あの“睡眠薬の抜け殻”の上に最後の1本を置いて
私はこれからと取り掛かる“料理”の内容についての吟味を始めた。
終わり
相変らずどーしよーもない私です。
本当に申し訳ございません<m(__)m>
でも……
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