第36話 モフミミ②(モフミミ視点)
気が付くと魔物はいなくなっていた。
それから私は森の中で隠れながら過ごすことになる。森の中で魔物から逃げながら木の実や角うさぎを捕まえていた。でもそんなのが長く続くわけがない。
すぐに限界が来た。
誰かのいるところに行かなくちゃ。
エルフやドワーフなんかの村があるかもしれない。
そう思っって森の外に向かおうと思ったのだけど、今まで村の中しか知らない私はどこに何があるのかも分からなかった。
そして森の中をさ迷いながら見えたのは……大きな壁に囲まれた建物がたくさんある場所、暗い暗い瘴気に塗れた只人族の街だった。
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その後、私は只人族の街で寝起きすることになった。なぜなら森の中よりは安全だったから。
只人族の街は私を完全に拒絶することはなかったけど、好意的な視線は皆無だった。言葉も少し違ったし、見た目も少し違うからなのかな。
それともお母さんの話していた通り只人族が知恵の実を食べてしまったからなのかな。
只人族の街の汚い街角で寝起きをし、森の中で採取をするという生活が始まった。只人族はとても意地悪でよく私を叩いたり、ものを取ったりしてくる。
その度に私の中の悪い心がやり返してやりたいと叫びそうになるけど我慢する。私はお母さんの言っていたことを今度こそ守りたいから……もう遅いかもしれないけど……。
そんな生活をしていたある日。その日は森で大好きな青い実をたくさん手に入れることが出来た。この実は甘酸っぱくて私の大好物だ。森の中でも食べたけど全部食べずに残しておく。
うん、ポケットの中にもまだまだたくさんある。1回で食べるのはもったいないから4回くらいに分けてちょっとずつ食べようかな。
街に入るために並びながらそんなことを考えていた。街の入場料は以前角うさぎを売った時にもらった銅貨で払った。
これで街に入れる。
「お、良いもの持ってるじゃねえか」
そう思っていたのだけど……今日の門番はいつもより意地悪な人だった。私のポケットから青い実を取って全部食べてしまったのだ。
泣きたくなるけど私は両手を握りしめて我慢する。私の倍以上もありそうな背丈の只人族。絶対に敵わないよね。青い実はまた取りに行けばいいよ……。
「あとこいつも貰っておくか」
門番の人が私の……首飾りを奪った!お母さんが紐を結ってお父さんが作ってくれた首飾り!私が持っているただ一つの両親の想い出の品!。
「返して!」
思わず私は門番に飛びかかっていた。取られたくない!でも小さい私じゃあ全然かなわないし、取り返せないのは分かっているけど……それでも我慢できない!
これまで何があっても二人の思い出が力になって耐えられてきたんだ……だから……ああ……駄目だ……これがないともう駄目かもしれないのに……。
────何もできない自分に絶望しそうになったその時
爆発するような爆音とキラキラと光り輝いて舞い散る白い羽根とともに天……使様が現れた。そして『私』は……モフミミとなったのだった。
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