第34話 モフミミはライブがしたい?
最近モフミミの様子がおかしい。
狩りに出ることが少なくなって自由な時間によく私のパソコンをいじっている。
「なに見てるの?」
何を見ているのかなと確認してみると私が保存していたライブの映像とかを見ているみたいだった。
インターネットにつながっていないから動画サイトとかは見えなんだけどね。Forbidden accessって出ちゃってるから。
あと何やらモフミミの用に建てた実家の部屋で何かを書いているみたい。
今まで私の家の部屋に同居していたのにちょっと寂しい。寝るときは私の部屋に来るのだけれどね。
そんなある日、モフミミが私たちに紙を渡してきた。
「※※※※」
なんて言っているか分からないけれど、紙を見れば一目瞭然だね。それは楽譜だった。
「おおおおー!!モフミミが曲を作ったの!?」
あのお肉にしか興味がなかったモフミミの成長にお姉ちゃん涙が出てくるよ。
私のはピアノの楽譜かな。ギターマンはギター。ダンスメイドがベース。ヒゲナシはドラムのようだ。
そしてまさかのモフミミがボーカル&ギターだった。
「成長したね……あ、歌詞は……読めないや」
曲名はなんて書いてあるんだろう。歌詞も読めない。モフミミのことだから『お肉が美味しい』とかかな。
「練習する?」
モフミミがすぐにでも演奏したそうだったので、私たちはモフミミの曲を練習することにした。
うんうん、なかなかいい曲じゃない。
その後、何日も何日も練習してモフミミも満足したように頷いたのでこれで完成でいいのかな。
まぁ、聞いてくれるのは森の動物たちくらいしかしないんだけどね。
そう思っていたのだけど……。
「らいぶ」
ん?らいぶ?それって日本語のライブのこと?
「らいぶ。いく」
お、おお!?モフミミが挨拶以外の日本語をしゃべった!?
「モフミミ日本語覚えたの!?」
「らいぶ、いく」
あ、まだそれ以外の難しい言葉は無理っぽいね。残念。
でもライブかー。やりたいね。大勢の人を前にしてさ。一緒に盛り上がってさ。
そういえばモフミミの見ていた動画も大勢の前で歌っているライブ映像だったなぁー。あれがやりたかったのね。
「らいぶ。いく」
モフミミが森の外を指さして私の手を引っ張る。
「え?将来の目標とかじゃなく、今行くの?」
「※※※※」「※※※※」「※※※※」
あれ……。ギターマンがなんかギターを掲げてやる気になっている。
ダンスメイドよ、なぜベースのチューニングをはじめちゃってるの?
ヒゲナシは俺に任せろという感じ胸を叩いている。
「向こうに何かあるの?」
モフミミの指さしている方向はモフミミの住んでいた街のある方向じゃないかな。誘拐姫とか人の物を奪う門番とかダンスメイド以外にろくな人がいなかった思い出しかないのだけれど。
そう言えばこの森も最初は嫌な感じがしてたのよね。
今は平気になっているけれど、あの街はなんというかこの森より嫌な感じが湧き出している感じがしていた。
この森みたいに綺麗になっても後から後から嫌な感じが湧き出してきてどうにもならないようなそんな感じのする街だったんだけど……。
「あの街に行くの?」
「※※※※」
モフミミが頷いている。
意味が通じているのか分からないけどきっとそうだと思う。
あの街の人たちを相手にライブをするのかな。耳長族やヒゲナシ族の人たちに対してならまだ分かるのだけど……。
「でもそれもいいかな!」
モフミミがやりたいなら是非もないよね。私は応援するだけだよ!
「よし!じゃあ行こうか!」
私は楽器や機器、ヒゲナシの作ってくれたライブ会場を思い出箱に収納して空へと飛び立つ。
目指すは誘拐姫のいる街だ。
みんなを連れて飛ぶこと数十分。懐かしき誘拐姫の町に到着した。ちなみに町の名前は知らないので町としか呼べない。
うーん、さすがに中に直接入ると前みたいな目に遭いそうだから門の前あたりに降り立つ。
最初に来た時と同じように門に人が並んでるね。そして全員がこっちを見ている。前は歩いてきたけど、今回は空を飛んで来たら注目されるのも仕方ないかな。
「それでどこでライブをやるの?」
「※※※※」
モフミミが自分の立っている場所を指差す。
え?ここ?まだ街に入ってないよ?まぁ街に入ったらまた物を取られたり誘拐されたりするかもしれないからここでいいのかな。
「ここでいいのね」
私はライブ会場をその場に出してその上に楽器と機材を置いていく。モフミミたちは機材のセッティングやチューニングを始めたみたいだ。私も念のためにピアノの音を確認しておこうかな。
でも本当にここでいいのかな。お客さんが少ないような気が……あ、なんか私たちの方向を指さして大声を出している人がいる。
あれは最初にこの町に来たときにモフミミからなけなしの木の実を奪った門番しゃない?
他にも門からぞろぞろと人がいっぱい出てきた。これはお客さんが増えた……と思っていいのかな。
うーん、ちょっと心配だけど危害が加えられそうなら逃げよう。ゲリラライブは警察がきたら逃げるまでがセットだからね。
私たちの準備が終わるまでの間に結構人が集まってきた。
私たちの直近までは近づいては来ないけど指さして何か言っているし、嫌な感じの空気纏っているし、表情も嫌悪感丸出しだし、いいお客さんとは言えないね。でもバンドってのはお客を選んだりなんかしないし、なんかあっても音楽で黙らせるものだと私は思う。
「みんな準備完了?」
そんなことを思っている間に準備が完了した。
ピアノの私とドラムのヒゲナシは舞台の後ろの方に待機。前面の左右にはギターのギターマンとベースのダンスメイド。センターにはモフミミが立っていてる。
いやぁ、やっぱりライブ直前の緊張感はいいね!さぁ、いよいよライブ開始……。あっ!
「※※※※!」
「※※※※!」
「※※※※!」
「※※※※!」
観客?の一部が騒ぎ出して石が飛んできた。その石の一つがモフミミの頭に当たって血が流れる。
「ちょっとそこ!!」
さすがにこれは許せない。なんで石を投げたりするのかな?しかもモフミミに当たったのを見て笑ってる。人を傷つけて何が楽しいんだ。
うーん、これはもうライブ中止にして逃げちゃった方がいいかな。
「みんな、帰ろうか……」
これ以上怪我でもされたら嫌だし……。
そう言おうとしたのだけど、モフミミが右手で私の声を制してきた。
なに?俯いているけど大丈夫?早く怪我を治したほうが良くない?
モフミミの怪我を治そうと私が席を立ち上がろうとしたところで……。
───モフミミが吠えた。
「※※※※―――――――――――――!!」
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