第30話 フライハイ
吾輩は天使である。名前はまだない。
ヒゲナシ君のコネでフェスに参加できることになった私達のバンド。見るだけなのか参加まで出来るのかは分からないけれど、ワクワクが止まりません。
そんな我らがバンドメンバーが家を出てから森の中を歩いくこと1時間。
「フェス会場遠くない?あとどのくらい歩くの?」
「※※※※」
はい、いつものように分かりません。草原とか丘だったらピクニック気分でいいんだけど、森の中を歩くだけなのは、この1時間で飽きてしまった。出てくる動物もいつもの鳥、馬、兎なんかのメンバーだし、こらモフミミ。兎を追いかけないの。
「いっくしっ!」
くしゃみが出た。
なんか森の中を進んでいるとくしゃみが出るのよね。花粉かしら?
うーん、もう飛んでっちゃった方が良くないかな。空の上なら花粉がないかもしれないし、早く着いたら着いたでフェス会場をのんびり観光でもしていようよ。
うん、そうしよう。
「みんな!飛んでいくよ!」
「※※※※!?」
私の謎の飛行スキルを発動!これって私だけじゃなくて周りも一緒に飛べるから便利だよね。
なんかみんなが叫んでるけど喜びの雄たけびかな?空を飛ぶの楽しいものね。もう人と一緒に空を飛ばすのも慣れたものよ。えっへっへ。
「うぃー きゃーん フラーイ!」
私は4人を引き連れて空へと飛び立つ。気持ちいいー!みんなも楽しんでくれているかな?そうだ、ヒゲナシ君は初飛行だね。せっかくだからサービスしてあげよう。
ほーら、ヒゲナシ君、背面飛行からのーーーーー?きりもみ飛行だよ!どう?楽しい?
「あっはっはー楽っのしー」
「※※※※!!!」
うんうん、何を言っているか分からないけど楽しそうで何よりだよ。テーマパークの絶叫マシンよりもスリリングだよね。
さて、それでどっちに行けばいいの?なんで泣いてるの?で、どっち?あっち?よーしお姉ちゃん本気出しちゃうぞー。
「いっくよー!」
っということで丸一日飛行を続けたけど……フェス会場には到着しなかった。ちょっと遠すぎない?もしかして外国のフェスなのかしら。
外国語大丈夫かな、と一瞬思ったけど……。うん、私がこの世界で話せるのは0か国語でした。マルチバイリンガルの反対だよ。何か国語あるのかさえ知らないよ。
「もう暗くなってきちゃったね」
結局森からも出られなかったのでここで一泊することにしようかな。ヒゲナシ君、どうしたの?なんか生まれたての小鹿みたいに足がプルプルしてるけど。
疲れたのかな?それならそろそろ家に入ろうか。
「実家召喚!!」
周りの木々を思い出箱に入れると実家を召喚する。いつも住んでる実家じゃなくてコピー実家の方だ。いつも住んでる実家は最初の頃から持ち物が増えたり、畑が増えたり、増築したりと楽しく改造しているのでコピーとかせずにそのままオリジナルにしておきたい。
私の勝手な思い入れたけれどね。
思い出箱に入れてしまった周りの樹々は出発する前にもとに戻しておくことにしよう。
「ただいまーっと」
モフミミたちと実家に入る。
いつもの家じゃないけどやっぱり実家に入ると落ち着くね。
「ご飯にするよー」
さて、お昼は空の上で食べたから簡単なものになってしまったけど、こんなイベントの日は何か特別なものを作りたい。
いまだにプルプルしているヒゲナシ君はソファーに寝かせて4人で夕食を作ることにしよう。
今日の献立は……パーティーっぽくしようかな、ということで料理開始。
まずはジャガイモを細長く切りそろえて油で揚げてっと。フライドポテト完成!
それから次々と料理を仕上げていく。
フライドチキンにフランクフルト。コーラとか炭酸飲料も出しちゃおう。健康に悪い?いいんだよ!たまにはね!
さらに茹でたジャガイモをつぶしてポテトサラダに。ピザも焼いてしまおう!レンチンのだけどね。食後に食べるケーキも並べちゃって。
……ということで目の前にはまるでクリスマスのような料理の数々が……。うわぁ、『カロリー高そう!』というのは禁句かな。でもたまにはジャンクなものが食べたいじゃない!
「「「「「いただきます」」」」」
「※※※※!!」
さぁ、実食!
おお、モフミミがすごい勢いで食べている。両手にフライドチキンを持ってご満悦だ。
一方、隣のギターマンは『スン……』と沈んだ表情している。
あーそうだったね。ギターマンはベジタリアンだった。
仕方がない!コピー料理だけどお惣菜を出してあげよう。金平ごぼうにトーフステーキ、筑前煮もあるよ、食べる?
「※※※※」
ギターマンも元気が出たようでよかったよかった。フェスに参加するには体力が大事だからね!ダンスメイドはお肉も野菜も美味しそうに食べてるけど、おなかが苦しそう。無理しなくていいよ。
ヒゲナシ君も起き上がってきて美味しそうに料理を平らげていた。さて、明日もフェス会場に向けてがんばろう。
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