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第25話 ギターマン③(ギターマン視点)

 天使様の使徒となってから数日。

 私は同じく使徒であるモフミミやダンスメイドにこの家でのルールを教えてもらった。


 まずこの家では家事はみんなで分担するらしい。食事や掃除もみんなでやってみんなで食べる。こういうことは使徒の我々の仕事なのではないか、と思う。

 一度その旨を申し出てみた。その時、天使様はうんうんと頷いていたが……いまだに天使様は嬉々として家事をやっている。


 また、7日のうち5日は天使様から様々な知識を授けていただける日となっており、残り二日は残念ながらそれはないようだ。毎日でも天使様の訓示を承りたいと思っているのだが残念だ。


 しかしその知識を授ける日にはあのエレキギターという楽器の使い方も教えていただいた。天様を含めてここにいる人たちは皆幼いように見えるがなかなか知識が豊富で良い人たちのようだ。

 その中でも特に幼く感じるモフミミが……。


「お手伝いをするとおにくが貰える」

「肉を?」


 モフミミがそう教えてくれたのだけれど……私は肉が苦手なので貰っても困る。返答に困っていると……。


「違うでしょう、モフミミさん。どうやら天使様のお手伝いをすると毎日硬貨を1枚もらえるみたいなんです」

「ほう?」


 ダンスメイド曰く、硬貨は色々なものと交換してもらえるらしく、モフミミはそのほどんどを肉と交換しているらしい。ならば他にも交換できるものがあるということだ。


「私はいただいたものは貯めてしまっていますけど、見たこともないものや食べたこともない美味しい食べ物とも交換していただけましたよ」


 なんと。美味しいものと交換できるということは、まさか……。


「ならば!あの『とまと』という野菜とも交換できるのか!?」

「どうでしょうね。天使様に聞いてみましょうか」







 そして私が畑仕事を手伝った結果……。


「おお……おおお!」


 私の手にはあの『とまと』という野菜の苗があった。無事私も効果を手に入れることに成功し、それを交換できたのだ。

 これを育てればあの太陽の実をいくらでも食べることが出来る。苗を植え、種を取り、さらに増やしていけば里の皆にも振舞えるかもしれない。


「ここで育てるのもいいが……」


 それよりもこれをそのまま里に持って帰ってそこで増やすと言うのはどうだろう。

 うん、とても良い考えのような気がする。そうなれば若いからと軽く見られている私をきっと皆が見直すことだろう。それこそあのいけ好かない里長だって。

 そんな考えのもと、里に帰ったところ……。


「この馬鹿もんが!」


 里長に拳骨を落とされた。

 そしてサフィーを取り上げられた。くそじじいめ。数日里を空けたくらいで何をそこまで怒る必要があるというのか。私は一生を里の中で閉じ込められて過ごすなど我慢できないぞ。

 

 一通りお説教を聞き流し、私は村の中で若いエルフたちに天使様のことを話すことにした。

 それは里長に伝えるべき?ふんっ、あんなくそじじいに教えてやるものか。

 そんなわけて仲の良い仲間たちに天使様からもらった『とまと』を振舞ったところ……。


「うまっ!」

「なんだこれ!すごい魔力が宿ってる!?」

「若返るわ!」


 仲間のエルフたちが『とまと』の美味しさに魅了されたやうだ。そうだろうそうだろう。こんな素晴らしい食べ物私も初めてだったのだから。

 

 やがてエルフたちが天使様の野菜に興味を持ち、天使様に会いたいと言うので連れて行くことにした。

 天使様に許可を得ていなかったのでお願いという形で連れて行ったのだが……。


「※※※※」


 なんて言っているか分からないけれど、天使様も歓迎してくれてるのだろう。でもあまり大勢で押しかけても迷惑だろうから……一度に行くのは数人程度にすることにしようかな。




 そして……仲間が増えた。



 天使様のところに行く仲間である。若いエルフだけでなく、年配のエルフたちも天使様の野菜にすでにメロメロになってしまったのだ。

 さらに天使様の家で聴く音楽!それが彼らを魅了した。音に飢えていたのはどうやら私だけではなかったらしい。

 音楽に感化された仲間たちは口々に音楽の素晴らしさを語る。


「この曲は狩人の歌に似てるな」

「楽しくなってくるよ」

「そもそも音楽を禁止する必要なんてあったのか?」


 皆が口々に音楽を禁止した里長への不満を口にするようになった。

 それはそうだろう。天使様と過ごしていて分かる。音楽は只人族からの邪気の原因となる欲望とは全く違う。心を豊かにし、人を幸せにするものだと肌で分かるのだ。


「どうにかして里長に分かってもらえないだろうか」


 そんな話をしている時、天使様が不思議な箱を取り出した。

 その日は皆に『かれえ』という名前の料理を振舞ってもらい、とても美味しく食べていたのだけれど、皆はその味に頬を緩ませるのも忘れるほどその箱に映し出されたものに衝撃を受けていた。


 その箱の中には見たこともない世界が映し出されていた。

 最初は中に小さな人が入っているのではと思ったが、箱の端で体が途切れたりしているのでそうではなく、風景の一部を保存して見せる魔道具らしい。


 見たことのない服装の見たことのない人々だが、その町の中で普通に暮らしている人々の一人が突然立ち上がると歌いだす。

 周囲の人々は驚き、それを止めようとする人まで現れるが、その人まで歌って踊りだし……。

 これは……まさか天使様からの神託?いや、そうに違ない。私たちは最後までその箱を見続けた後一斉に叫ぶ。


「「「「これだ!!」」」」


 エルフ族(里長を除く)の心が一つになった瞬間だった。

お読みいただきありがとうございます。

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