第20話 ダンスメイド⑧(ダンスメイド視点)
私が天使様のお屋敷に来てから数日がたちました。
倒れた私は天使様とモフミミさんに保護され、今は森の中で暮らしています。お嬢様たちが探しておられることもお話したのですが、やはり天使様は言葉が分かっておられないようでした。しばらく帰ることは出来そうにありませんね。
ちょっと嬉しく思ってしまう私はいけませんね。
そのことをモフミミさんに話すと『天使様は基本何も考えていない』とのこと。やめてください、私もここで暮らし始めてそれは薄々感じているところでございますが考えたくありません。モフミミさん……『めっ』でございますよ、『めっ!』。
モフミミさんは天使様に感謝はしておられますし、好意も持っているようですので悪意はないのでしょうが、駄目ですよそんなことを言っては。
また、この場所のことをモフミミさんに聞いたところ、この場所は元からこんな開けた場所ではなく大森林の中心だったらしいです。信じられないことですが、大木を引っこ抜いて場所を移し、この広場を作った後、家をぽんっとどこからか取り出したという話でした。
「家を取り出したってどういうことですか?」
「ぽんって出てきた」
確かにここに来てから天使様がどこからともなく物を取り出すのを何度も見ています。でもあんなに大きなものを?
驚きはそれだけではありません。この結界も天使様が張られたというのです。モフミミさん曰く、この結界には邪気を弾く特性があるようです。
「……っということはお嬢様たちは邪気を持っているということですか?」
「知らん」
ですよね。ですが、そうすると私には邪気がないということでしょうか?それほど私は良い性格をしているとは思っておりませんでしたが……。
「でも魔物動物になた」
「ええ!?」
魔物とは邪気を含んだ動物のことです。邪気を含むと性格が狂暴になり、角が生えたり体が大きくなり力が強くなったりと恐ろしい存在になります。そんな動物たちが結界の中では魔物から動物に変化したとモフミミさんは言うのです。
そんなことがありえるのでしょうか。ですが確かにここには穏やかな動物たちしか見ません。いえ、もしかしたら世界はもともとあのような動物たちしかいないのが普通だったのでしょうか。
私は天使様の家を掃除しながら窓から外を見ます。
天使様が小鳥たちや動物たちに囲まれながら楽器を弾かれております。天使様に習って私も楽器を弾き始めました。やってみて分かりましたが、音を奏でるのは難しいですが楽しいですね。
おっと森の中からモフミミさんが帰ってきました。今日は週に2日の休日ということで自由に森を散策していたようです。嬉しそうに天使様になにかを差し出していますね。微笑ましい光景です。
「とてきた!」
「※※※※!?」
何を取って来たのでしょう。モフミミさんの手にはぐったりとして首を絞められた兎さんが……。天使様をそれを見て額に手をやり、『あちゃー』というような顔をしています。あれは分かりますね、きっと『やっちゃったかー』という表情です。
モフミミさんはお肉が大好きなので森で取って来たのでしょう。天使様の足元にいた動物たちが一斉に逃げていきました。微笑ましい光景が台無し……でもないですね。
その後、私とモフミミさんと天使様で兎を捌くとみんなでで美味しくいただきました。
その時食べたモフミミさんが取って来た兎は新鮮でとてもおいしゅうございました。
これもとても微笑ましい光景のように思います。
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