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第18話 モフミミとの日常

 こんにちは、私です。

 モフミミと森の中に引っ越して一週間がたちました。そしてその間に毎日のルーティーンが出来上がることになったのでした。


 まず朝6時に私が目を覚ます。なぜか目覚まし時計なんてなくてもぴったりに目が覚める。たぶん天使の謎パワーのおかげだと思う。知らんけど。


 それから私は押し入れからトランペットを取りだすと窓から空へと飛び立ち、家の上空からトランペットを演奏する。


 え、なんでそんなことをするのかって?かっこいいからかな。

 

 天使といったらラッパ……と言う訳じゃなく私がやりたいからだよ。

 あの空から女の子が降ってくるアニメで見たアレよ、アレ。町の目覚まし時計がわりの演奏。あれってやってみたいじゃない。前世じゃご近所迷惑で出来ないかったけどここならやっちゃってもいいよね。


 ♪バッパパッパパッパラッパー


 私がトランペットを吹いているとモフミミが窓から顔を出して手を振ってくる。起きたみたいだね。ちなみにモフミミは私の部屋で寝起きしている。


 減るものでもないのでモフミミ用にもう一軒実家を建ててあげたのだけれど、なぜか私の部屋に住み着いたのよね……ベッドも一緒だし。モフミミの耳と尻尾をモフモフできるし、二人とも小さいからベッドも広く使えていいんだけどね。


「モフミミ!ご飯を作るよ!」


 空を飛んでる間に周りに集まって一緒に私の周りを飛び始めた鳥達や、森から出てきた動物たちを追い払った後、洗面所で顔を洗って、着替えてきたモフミミと台所で合流する。


 っていうかなぜ動物どもは私に集まる。集るな、集るな、そんなことしても餌はあげないよ……たまにしか。野生に帰れ、野生に。餌付けはダメなんだよ、餌付けは……いや、モフミミと私の関係を考えると私の頭にブーメランがぶっ刺さってる気がするのでこれ以上追求するのはやめておこう。


 昨日の朝は和食だったから今日はシンプルにパンとベーコンエッグ、ハッシュドポテトにフルーツとしてグレープフルーツをつけよう。簡単でいいよね、シンプルメニュー。


 一度朝食で普通の目玉焼きを作ったらモフミミが死んだ魚のような悲しそうな目をしていたので、今は目玉焼きじゃなくベーコンエッグにしている。お肉がないと悲しいらしい。


 毎日私とモフミミは二人で料理をしている。働かざる者食うべからずだからね。モフミミは良い子なので文句を言わずに手伝ってくれる。

 二人とも身長が足りないので台所では台座の上で料理だ。うーん……身長が欲しいね。それか台所をもうちょっと低めにしてほしい。


 私がパンをトーストにしてジャムを塗る。そしてハッシュドポテトを盛り付けている間、モフミミが真剣な目でフライパンを見つめていた。恐らくベーコンエッグの一番美味しい焼き加減を見極めているのだと思う、たぶん。


 ピチピチとベーコンから出た肉汁と油が跳ねながら卵と一緒にフライパンの上で揺れている。そこにモフミミが少量の水を加えて蓋を被せる。

 そして油が跳ねる音が大きくなるとともに蓋の中の水蒸気で目玉焼きの表面が白くなっていく。ここで焼きすぎると黄身まで硬くなってしまうので半熟になるかどうかはモフミミ次第だ。もうそろそろじゃない?まだ焼くの?目が狩人のそれなんだけど。


「※※※※!」


 ここだ!っとでも言っているのかな。まるで職人のように声を上げながらフライパンからベーコンエッグがキャストオフ!お皿にダイブした。

 パンもハッシュドポテトも用意できたし、二人で食卓についてっと。


「いただきます」

「いただきます」


 両手を手を合わせて食材とお百姓さんに感謝。『いただきます』と『ごちそうさま』はモフミミも覚えてくれた。ちなみに私はモフミミの言葉を一言も覚えられない。この差が知能指数の差なのだろうか。解せぬ。


「うん、ちょうどいい半熟で美味しいね」


 モフミミの作ったベーコンエッグは中々の出来だ。ベーコンはカリカリで卵の黄身はとろーりと半熟に出来上がっている。よしよし、頭を撫でてあげよう。耳がモフモフしてて心地よい。

 

 モグモグタイムのあとは二人で並んで歯を磨いて、外でラジオ体操だ。朝一番に体をほぐして怪我がないようにしないとね。もちろん音源は私の思い出箱だ。


 モフミミを保護すると決めたからにはこの子は立派に育てて見せるよ。私はそのために週のうち5日はモフミミに教育をすることに決めている。


 やることは小学生の時の授業を参考にしている。

 幸いと言うか、母が物を捨てられない性格だったので子供の頃の教材を全部とっておいてくれていた。これでモフミミを教育して立派な学校に入れて、大きな会社に入ってくれれば一生安泰……。いや、そんなものがこの世界にあるかどうかわからないなぁ。


 でももしかしたらモフミミが日本語覚えてこの世界の人たちに通訳をしてくれるかもしれないじゃない!私はこの世界の言葉を覚えるのは諦めた!ごめん!モフミミ、頑張ってください……と言うことで今日の授業の時間割は以下の通り。


一時間目 体育

二時間目 家庭菜園 


お昼休み


三時間目 算数

四時間目 音楽

五時間目 音楽


 他の科目もあるけどそれは曜日毎に変えている。毎日同じことやってたら飽きちゃうからね。それに午前の涼しいうちに体育はやることにしている。

 健康は大事だからね。運動しないと大きくなれないって言うし。後は当然仕事もしてもらわないとね。小さいからと言って甘やかさないよ。


 一緒に畑仕事もしてもらうので授業の1コマにしてしまった。自分で作った野菜は美味しく感じるし、作物を作るってのも情操教育に必要だとなんか偉い人が言っていた気がする。


 あと音楽が多いのは完全に私の趣味です、さーせん。だって曲を作ったり、歌ったりするのって楽しいじゃない。毎日やったってこれは飽きないよ、元音大生だもの。


 体操を終えたらランニングをするよ。森の樹々を移動して運動場のみたいになった原っぱの上を思い出箱からトルコ行進曲を流しながら二人でぐるぐると駆ける。


「ちょっと!モフミミ!待って!」


 昨日走った時よりモフミミはさらに速くなってる。明らかに小学生のレベル越えてるよ、モフミミ。まぁ、私も人間やめてるので追いつけるけどジョギングの速さじゃないよ。運動神経良すぎない?

 そして……。


「今日は新しく畑を作ります」


 体育が終わったら次は家庭菜園だ。

 実家の敷地内の畑は早々に作付けは終わってしまったのよね……狭いから。トマトとかキュウリとかの苗植えていたすぐ一杯になってしまったのだ。

 だから今から掘り返すのは家の外との原っぱ部分にした。これってスコップで掘り返しては石を取り除いていくことになるけど結構大変だよね。私が天使じゃなければ根を上げていたかもしれない。


「モフミミ、疲れたら休んでいいよ」


 モフミミは私が渡した麦茶をこくこくと美味しそうに飲むけど、休まずに一生懸命作業を続けてる。うーん……休もうよ。早く言葉を覚えてもらわねば……。


 先日の算数の授業は比較的うまくいっていると思うのになぁ……。


 算数の授業では四則演算をそろばんを使って説明したら理解されたっぽいんだよね。毎日お小遣いに100円玉を与えることにしたことが功を奏したみたい。

 そしてお金と交換でおやつなんかを与える。計算できないとおやつは貰えない。これならお金の計算をするために覚えるだろうと思ってたのだけれど……モフミミが交換したいものとして持ってきたのが……。


 豚肉持ってきてどうしたの?それと交換?

 駄目だこの子……。お金を渡したら全部肉にしてしまいそうだけれど……まぁ今夜の夕食でお肉を増やしてあげるからそれは別のものに使おうよ。


 というやり取りがあったものの、お金のやり取りを通して算数は上達している……と思う。


 一方、最重要の国語の授業……なんだけど、ここで私は大失敗をしてしまった。モフミミはお風呂で一緒に歌ったドレミの歌が好きで鼻唄を歌ったりしてたから、ここに来たその日の夜にミュージカル映画のブルーレイを一緒に見たんだよ。


 ドレミの歌を歌うので有名な古いミュージカル映画を……『英語音声の日本語字幕』で。その後も私の持ってる映画を見たりしてるけど、ほぼすべて字幕映画だったのよね。その結果……。


「♪Doe, a deer, a female deer」


 今日の音楽でモフミミの歌声が聞こえてくる。


 天気のいい日の音楽の授業は庭にピアノを設置して行っているのよね。

 青空の下でピアノを弾くのって憧れてたんだよね。普通は雨が降ったり、音響がなくなってしまったりするからやらないんだろうけど、想い出箱のある私には関係ない。

 

 ……ということで、その日はお庭で私の伴奏に合わせてモフミミが楽しそうに覚えたドレミの歌を歌っていた……『英語』で。


 うおーい!英語で歌われても日本語の勉強にならないよ!日本語字幕によるとドは『雌の鹿』らしいけど、どこがドなのよ、どこが!シなんて『ティ』だし!


 そんなわけで50音を教えるのにも四苦八苦して国語は難航中……何ということでしょう。

 とほほだよ。でも私は諦めないよ、モフミミ。頑張って日本語を覚えてください、お願いだから。


 それから毎日、私がピアノを弾いたり、モフミミにピアノを弾かせたり、私が歌ったり、モフミミが歌ったり、やっぱり音楽は楽しいね。

 そんな日常が続いていたのだけど……。


「※※※※……」


 そんなある日、庭で日課を行っていたところ……森からガサザサという音がしたと思ったら、人影が飛び出してきた。誰かと思ったら……あの子ってダンスメイドちゃんじゃない?どうしたんだろう。


「※※……」


 よく見るとメイド服が泥だらけだし、髪には蜘蛛の巣やら木の枝なんかがくっついている。ダンスメイドちゃんは何かをつぶやいたと思うとヨタヨタと歩いてそのまま倒れてしまった。

お読みいただきありがとうございます。

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