第16話 モフミミズエンジェル
我輩は天使である。名前はまだない。
こんばんは、天使です。今は深夜の2時です。
でも今夜の私はちょっと違う。モフミミと一緒に全身黒づくめの格好にしているのだ。全身タイツとかないから黒い服に黒っぽいタオルで顔を隠しただけだけど。
気分はターゲットの屋敷に潜入する女スパイだ。潜入というか脱出だけどね。
余計に怪しい?いいのよ、こういうのは気持ちが大事だから。気分はチャーリーさんの天使だよ。天使だけに。頭の中ではその映画とは違うスパイ映画の曲がなってるんだけどね。
「モフミミどうしたの?」
両手で口を塞いでるけれど……ん?今度は両手の人差し指を上に向けたね。なにそれ鬼さん?可愛い。プンプンなの?おこなの?……違う?上?
♪テッテーテテ テッテーテテ
ありゃ、想い出箱から音が漏れ出しちゃってた!
もしかして今までも色んな曲を漏らしちゃったりしてた?音漏れしちゃうとは……お恥ずかしい。このまま進んでたら音で見つかっちゃうところだったね。危なかったよ。
ありがとうモフミミ。なでなでしてあげよう。ナデナデするとスリスリとモフミミが頭をこすり付けてきた。可愛いね。
「さあ、行くよ」
小声でモフミミに合図をしてそーっと扉を開ける。左右を確認するが人はなし。ドアノブは……回収しておこうかな。残しておくとダンスメイドちゃんが困るかもしれないし。
よし、これで密室完成、完全犯罪成立ね……犯罪者は向こうだけれど。
「モフミミ、飛ぶよ」
私はもふみの手を掴むと浮かび上がって廊下の天井に張り付く。うん、無駄に高い天井と暗い廊下でこれなら見つからないでしょう。
そのまま進んでいくと階段発見。人はなし。あとは来た道帰ればいいのだけれど……。
モフミミと目が合う。うん、そうだよね。あの一緒に踊ったダンスメイドにお礼をしていかないとね。モフミミも頷いている。
「どこにいるのかな……」
うーん、こっちかな?なんでだろう。こっちのような気がする。モフミミ?鼻をスンスンさせてどうしたの?その仕草可愛いんだけど。口がω見たいになっているよ。
「こっち?こっちかな?」
モフミミと二人で天井に張り付きながら廊下の天上を歩く。歩くと言うより気分はもはや天井に張り付いてる虫の気分だけれど深く考えると悲しくなるからやめておこう。
カサカサーっとたどり着いたのは一つのドアの前。周辺に人影がないのを確認してシュタっと廊下へ着地。何となくここのような気がする。モフミミも頷いてるし。
「おじゃましまーす……」
そーっと扉を開くと6畳ほどでベッドと机だけが置いてある小さな部屋だった。
その中に……いた!ベッドに寝てる。可愛い寝顔だなぁ。思わず頬っぺたをつんつんしたくなるけれど、そんなことをしに来たわけでも寝起きドッキリをしに来たわけでもない。お礼をしに来たのよ。
「思い出箱オープン」
こそっと唱えた私の思い出箱から取り出したるは我が妹が冷蔵庫に入れてあったシュークリーム。ケーキ箱に4つほどお高めのやつが入っていたはずだ。
なぜ知ってるかって?妹に黙ってこっそり食べようとしたわけじゃないよ。でも気になるじゃない。ケーキの箱の中身って。冷蔵庫に入ってたら見ちゃうよね。
それにこれは想い出箱の中のものだから、別に前世の妹の分が減るわけでもないので妹のを盗ったわけじゃないし……いいよね!
私はそっとケーキ箱を机の上に置く。うーん、これじゃ私が置いたって分からないかも……。いでよ、マジックペン!
ということでペンで何か書いていこう。『天使&モフミミ参上!』とか?でもこの国の文字分からないからなぁ。よし、天使のシルエット絵でいいか。キュキュキュっとね。ん?モフミミも書く?おお!猫のシルエット上手だね。後は前世の文字は分からないだろうけど『ありがとう』と書いておいた。
この子の立場だったらきっと私たちを逃がすってのは大変なことなんだと思う。それでも助けてっくれるってダンスメイドはすっごくいい子だよ。せめて美味しいものでも食べておくれ。
「さて、今度こそ逃げよう」
「※※※※」
モフミミとアイコンタクト……うん、分からん。でも行くよー。
再び天井経由で玄関ホールへと移動……最初にこの屋敷に入って来た時の大扉発見!見張りは……なし。まぁ夜中だからね。寝ずの番とかしないよね普通の家じゃ。鍵は……掛かってたみたいだけれど内側からだから開けられる、うん、無意味だね。鍵を開けて扉オープン!
「※※※※!?」
げっ、玄関の外に屋敷の警備員的な人がいた!くぅ、セ〇ムしてるのか!夜中なんだから睡眠取りなよ。徹夜は体に悪いよ。私たちをまた捕まえようって?だけれどもう遅い!
「捕まって!モフミミ!」
私はモフミミを背負うと飛行能力全開!一気に上空まで駆け上がった!おおー高い!
下の方にさっきまでいた屋敷……いや、お城?が見える。へぇー結構大きいお城だったんだねー。街の方を見ると光がほどんどないね、真っ暗だ。まぁ電気とかなさそうだし当たり前かな。
「モフミミ。じゃあどこに行こう?お父さんとお母さんはどこかにいるの?」
「※※※※」
とりあえずモフミミの指差す方向へ飛んでいこう。こっちの方?何か壊れかけの建物ばかりの場所に来た。
「ここに両親がいるの?」
地上に降りてモフミミを背中から下ろすとテテテーっと走り出す。地面に敷かれたござを外して地面から何かを取り出した。それから私をじっと見つめてる。
「え、それだけ?」
家族とかご近所さんは?いないの?うーん、どうしようここってなんだか雰囲気も良くないのよね。長くいたくないっていうか……。それにまたあの誘拐団が来るかもしれないし。
「じゃあ……一緒に来る?モフミミ?」
「※※※※」
頷いているがきっと言っていることは伝わってないと思う。私も分かってないし。でも、いいのかしら?この子連れて行っていいの?正直連れて行きたいよ?だってふわふわの耳にモフモフしてみたいし、つやつやの尻尾に触ってみたいし……でもそれじゃ誘拐団と同じかな?
いやいや!私は両親が現れたらちゃんとモフミミをお返しするつもりだから違うはず!うん、そうよ。これは一時的に保護するだけ。保護するだけだから!
「行っちゃおう!モフミミ!」
私はモフミミを背中に背負うと再び飛び上がる。この町にはいられないなら行くところは一つしかないよね!
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