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第12話 寝起きドッキリ

 我輩は天使である。名前はまだない。

 こんにちは、天使です。モフミミとお風呂に謡って洗ってさっぱりしました。一緒に歌を歌ってモフミミが意外なほど上手くてびっくりしました。まる。


「モフミミはこれを着てね」


 私がモフミミに渡してるのは私が小さい頃に着ていた下着とパジャマだ。もう使わないから捨てればいいものを我が家では小さい頃の服や教科書なんかも倉庫に眠っている。でも今はそれに感謝ね。ありがとうお母さん。モフミミに服を上げることができるよ。


「お古でごめんね」


 すまない、モフミミ。

 想い出箱から出したものだからこれは使用済みの服だと思う……たぶん。でも綺麗に洗ってるから許して欲しい。モフミミが着ていた服よりはきっと着心地は良いと思うから。

 むっ……モフミミのお尻の部分に違和感……これは尻尾か。当然私は小さい頃に尻尾が生えてましたということはなかったので私のあげたパジャマは尻尾の形にズボンが膨らんでいる。


「これは……切るしかないね」


 一旦脱いでもらってお尻の部分に切れ込みを入れる。うーん、尻尾は出すことが出来たけどこれは後でちゃんと縫い直したほうがいいわね。お裁縫頑張ろう。

 あとは寝床かな。このまま床にそのまま布団を敷いて寝るってのも嫌なので……。


「出でよ、想い出箱(メモリーボックス)!」


 思い出箱から取りいだしたるはだだの畳。畳って良いよね、私はフローリングより畳派なのだ。何というか落ち着くと言うか暖かな気持ちになるのよね。


 畳を空いてる床スペースに敷き詰めていく。あ、台所とか食器棚とかテーブルはフローリングの場所に設置でいいかな。机とか楽器の入れてあった押し入れも設置して……と。時計も壁にかけておこう。

 現代人である私は日付とか時間が分からないと不安になるのよね。残りのスペースは……全部畳でいっか。


「完成!モフミミ、ここが私の部屋だよ!」


 少しレイアウトが変わってしまったが懐かしき我が家だ。

 私の机もある。椅子もある。楽器もある。書棚もあるし、外は見えないけど窓もある。うん、実に落ち着くね。

 モフミミがふんふんと畳の臭いを嗅いでいるので私も畳にうつ伏せになってくんかくんかと嗅いでみる。ああー、良い!懐かしい日本家屋の香りがする。これはいいね!


「※※※※」

「うんうん、やっぱり畳はいいよね」


 二人で床に寝転がって畳の臭いを嗅いでいる光景はきっとシュールなんだろうけど気にしない気にしない。モフミミは何を言ってるか分からないけどきっと気に入ったんだと思う。


「さて、布団を敷いて、電気を消して、おやすみなさーい」

 

 布団を二組取り出して川の字に並べる。二組だから川じゃないかもしれないけれど細かいことは気にしない。モフミミも布団に寝かせて掛け布団をかけてあげる。


 今日は色々あったからさっさと寝よう。私は全然疲れてないけどモフミミはお疲れだろう……と思ったらモゾモゾするね。なに?モフミミが私の布団に入ってきたよ。

 布団は二つあるんだけど……こっち来る?私的には大歓迎だよ。


「……いっしょに寝ようか」

「※※※※」

「おやすみなさい、モフミミ」


 たぶん『おやすみ』みたいなことをいったと思うけど言葉……喋れるようにならないかなぁ。まぁいいか。私はモフミミを翼で包みながら眠りに入るだった。






───深夜




 何かモフモフしたものが体に当たって来てなんか幸せです。なんだろう。私の布団こんなにもふもふしてたかな?


 しかし……。


 ガタガタガタ。


 うるさいなぁ……何?私はもふもふの布団に触れて幸せに浸りながら寝てるんだけど……。


 ドンドンドン。


 ああ、もう何時だと思ってるの……。えーっと、時計をみると深夜の3時だ。うるさいなぁ、もしかして妹かな?こんな夜中に人の部屋のドアを叩かないで欲しいよ。


 ん?布団の中がモゾモゾする。……何?わお!?布団の中から猫耳幼女が!……て。


「※※※※」

「あー、そうか。ここは別の世界だったかー」


 自分の部屋の自分の布団の中で寝てたので異世界に来たことをすっかり忘れてちゃってたよ。


 どうも、こんにちは?天使です。


 夜中の3時……3時でいいんだよね?この世界の24時間と私の想い出箱の時計が合っていればだけれど。


「まだ寝てるんですけどー」

「※※※※!」

「いや、怒鳴られても分からないです。ってあれ?なんで無理やり入ってこないの?」


 前は勝手に入ってきて覗きまでやったのに。この声って誘拐姫だよね?

 うるさくて仕方がないので照明をつけると……理由がわかったよ。畳を隙間なくぴっちり床に敷いたからだ。扉の前まで敷き詰められていてそれが扉に引っ掛かって開かないんだね。


「仕方ないなぁ」


 居留守を使っても良いけどいるのいるのはバレてるから意味がない。いやぁ、借家はつらいね。大家さんからの苦情かー。


 仕方なくドアの前の畳を2枚外して壁に立てかけるとその大家が現れた。誘拐姫と寸止め侍、あといつものメイドちゃんだ。


「※※※※!!」


 うーん、相変わらず何を言っているか分からないけれど夜中に入ってくるとか怒っていいよね。これ怒ってもいいやつだよね?


「※※……」


 ああ……ほら、モフミミも起きちゃったじゃない。子供はちゃんと寝ないと成長が遅れちゃうんだよ。ここはお姉さんとして大家にきっちり言い返さないといけないよね。


「※※※!!」

「あー、もう!夜中にうるさいのよ!いい加減にして!子供が寝てるでしょうが!」


 いくら大家だろうと夜中に子供を起こさないで欲しい。私はずかずかと誘拐姫に歩み寄ると指を突き付けて言ってやった。

 あ、モフミミが立ち上がった……と思ったらトコトコと歩いてトイレに入っていった。こっちに気づいてない?まぁいいや。


「※※!?」

「いいから帰りなさい!朝になったら話は聞いてあげるから!」


 トイレの流れる音がする。振り向くと出てきたモフミミは台所でコップに水を汲むとクピっと一口飲んで布団に入ると横になった。


「……」


 寝る前に道具の使い方を一通り教えたとはいえ既に我が家を使いこなしてる。頭のいい子だね。私が小さい頃よりは圧倒的に頭がいいと思う。敗北感を感じる。


「あ、いなくなってる」


 振り返ると誘拐団トリオはもういなくなっていた。さすがに私の言いたいことを理解できたのかな。まぁいいや。私も早く寝よう。


「モフミミおやすみー」


 二度目のおやすみを言うと私はもう一回寝ることにする。まぁいいか、二度寝って私的には好きなんだよね。もう一回眠れるドンって感じで。そんなわけでおやすみなさーい。

お読みいただきありがとうございます。

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