王都への道中 ~王都まであと少し~
レイたちは、盗賊1人を捕らえ、また馬車に乗り込んだ。
「でも、レイ、すごいわね。私も近くにいたけど、全然こいつはわからなかったわ。」
「うん。レベルが上がって、より『視える』ようになったんだ。」
「こいつはクルスの索敵を、一瞬だがかいくぐるぐらいの隠密スキルの持ち主だ。さっき『鑑定』したら、レベルも25あった。本当によくやったよ。」
「結構なレベルだったんだね、、、。」
「レイと私より、20も格上だったのですね。」
「全体的に盗賊にしては強かった。だから、俺とクルスは生け捕りたかったけど、できなかった。時間をさけないからな。」
「時間かけるほど、うしろの僕らを攻撃されるリスクがあるってこと?」
「そういうこと。ただ、レイが生け捕ってくれた。」
リュウがレイの頭をわしゃわしゃっとなでた。
「よ、よしてよー。もう12歳だよ。」
「はは、兄らしいことをできなかったからな、これぐらい許せ。それより、『視える』というのはどんな感じなんだ、こいつ、隠密LV.8で隠れることに特化したやつなんだ。それを見つけるって結構だぞ。」
「視界が広がったことと、より敵の未来が見えるというか、動きが先読みできるんだよね。」
「なるほど。レベル2でそれほどか。すごい力だな。」
「でも、かなり集中しないと視えないし、必ず視えるわけではないんだ。さっきは必死だったし、かなり緊張したけど、集中力も高かったんだと思う。」
「発動条件などもあるのか、それか、レベルが上がれば安定して見えるようになるかも知れませんね。」
「恐らく、どちらも、じゃないか?常時、相手の行動を先読み出来るなんて、相手からしたらたまったもんじゃないな。しかもレイはただでさえ、AGIが異常値だ。まず当たらない。」
「いや、でもさっきの戦闘で思い知ったよ、兄さんとクルスがいなかったら、僕たちはここでやられてた可能性が高い。そう考えると、もっともっとレベルを上げないと。ミサイルが撃ち落とされることも知らなかったし、今後、どんなスキルが来るかもわからないし。」
「そうだな。今後も俺たちは一緒に戦うことも多いから、少しでも多く、お互いの特性を理解しないといけない。しかし、レイの今の攻撃力を考えると、今後のスキルによっては、俺はもう少し今後防御スキルを磨く必要がありそうだ。」
「これだけ皆が活躍していると、私も活躍したくなります。」
「はは、まぁ、もらうダメージはないほうがいいからね。ただ、聖女なら、今後も攻撃魔法のスキルがいくつか増えるはずだ。そこで覚えておくと、最初のうちは便利かもしれないよ。」
「そうなんですね。覚えておきます。」
「さて、もう少しで最後の休憩したら、王都にむけ最後の出発だ。気を抜くなよ。」
「「はい!」」
最後の休憩時に、4人はレイのミサイル対策について確認した。より、スキルの強み、弱みを知るためだ。
「クルスも準備いいか?」
「はい。」
「よし!じゃあレイ、ミサイルを撃ってみてくれ!」
レイとリュウは2,30メートルほど離れている。
「はい!『ミサイル』、いけっ!」
リュウめがけてミサイルが発射される。
そして、ミサイルが半分通過する前に、横にいたクルスが火遁を放つ。
「『火遁』!ふっっっつ!!」
広範囲に火炎が広がると、全ミサイルに命中。ミサイルはすべてその場で爆発した。
「おおー、やはりこんな感じか。」
「当たったら爆発するので、広い範囲の攻撃だとこうなりますね。」
「だな。次は剣の場合だ。いいぞー、レイ。」
「はい!『ミサイル』!」
再び4つのミサイルがリュウめがけて発射される。
「いくぞ!『斬撃波』!!」
リュウは斬撃を飛ばすスキルを繰り出し、3つのミサイルを撃ち落とす。
「ここまでは想定通りだな。最後は、、、こうだ!」
そして、最後の1つは、直撃する前に『切り払い』を使い、剣でミサイルを切り払った。
ドゴォォォォン!!爆風がリュウに直撃する。
「くっ、、、!爆風だけでも以外にダメージあるぞ、これ。」
リュウは結構なダメージを受けていた。
「これは、魔法系には弱いけど、近接系スキルが多い人には有効なスキルだな。」
「ですね。前衛は余裕をもってかわさないと、爆風にまきこまれます。」
「よし、ある程度、このスキルの理解もできたし、ここまでにするか!そろそろ出発しよう。王都はもうすぐだぞ!」
「「はい!」」