閑話7 〜リュウ、学園の英雄になる 完〜
〜リュウ視点〜
俺はスラスター全開で、目標に向かいダッシュすると、数分もかからず、接近する事ができた。
「グオォォ、、、!」
相手の索敵範囲、攻撃範囲に入っているはずだが、攻撃してくる気配が全くない。
俺を敵として認識していないのか?
いずれにせよ、俺の攻撃範囲に入りこむチャンスだ。
「しかし、格の違う相手だな、、、。」
俺は見上げながら走り、そう呟いた。
レッドドラゴンより一回り大きく、威圧的な風貌から、コイツがこの火山の王者であることがわかる。コイツにとって、俺なんぞ、取るに足らぬ存在なのだろう。
名前は分からないが、恐らく真龍に分類されるタイプだろう。龍の上位種だ。
真龍たちは災害級と言われ、人力では討伐は不可能な部類とされているレベルだ。
正直、勝てるかは分からないが、このままだと、近くの街などに多く被害が出る。
何かを守りながら戦うよりも、今の方がまだ良さそうだ。
俺は気合いを入れ直して挑むことにする。
「よし、、、!行くぞ!、、、はぁぁぁっ!!!」
俺は様子見で『斬撃波』を数発、真龍の顔周辺に放つ。
レッドドラゴンを一撃で仕留めた技だが、果たして通用するのか、、、。
「!?」
「グオオオォォォォォォォォ!!」
何発かが命中したが、軽く皮膚を傷をつけた程度だった。
致命傷には全くなっていないだろう。
それよりも驚いたのは、真龍が『斬撃波』を何発か、視てかわしたことだ。
レッドドラゴンは俺とのAGI差もあり、よけることもできなかった。
しかし、コイツは明らかに、『斬撃波』を目で捉え、急所にあたる箇所への攻撃はかわしていた。
「思ったよりも速いのか!?、、、これは、ヤバい予感しかしないな。」
そして、先ほどの攻撃で傷つけられたからか、真龍は殺意をもった目で俺を捉えた。
明らかに敵と認識している。
すると、
「!?、、、くる!」
口が光ると、ブレスを仕掛けてきた。
恐ろしくぶっとい光線が俺を襲う。
「ヤバっ!」
俺はスラスター全開でよけることに集中し、何とかかわすことができた。
レッドドラゴンのブレスなんぞ比ではない、
恐ろしく太く、強烈な光線だった。
レイの『ハンドビームガン』よりも強力で、人並みの直径をもつ。
一撃で、あたりの大地は消し飛び、地形も大きく変わっていた。
「なんて威力してやがる、、、!まともにくらったら、跡形もないな、、、。」
ぞっとした。
超強力な一撃を、そこまで溜めないでうってくるのか、と。
ただ、ここで動揺し、脚を止めてしまったのは俺にとって悪手だった。
真龍は足の止まった俺に対して、圧を強める。
まず爪で攻撃してきたが、ここは難なく交わすことがでた。
しかし、その直後に素早く反転して尻尾で『薙ぎ払い』をかけてきた。
想像以上に速い身のこなしと、太い尻尾に、
俺は完全に回避できず、数十メートル吹き飛ばさ、岩にタタキつけられた。
「ぐぁ、、!がはっ!!」
かすっただけなのに、、、意識が朦朧とするし、
HPが半分以上も持っていかれてる、、、!
STは999なんてレベルじゃないのか、、、?
何よりも、とんでもなくでかい図体のくせに、速い、、、!
とりあえず、エリクサーを飲まないと、、、!
「!!?」
俺は、エリクサーを飲む前に、スラスターを全開にして横に飛んだ。
俺がさっきいたところに、真龍のブレスがとんできたのだった。
「あっぶねぇ、、、。くそっ!」
俺は回り込みながらエリクサー飲み、HP/MPを回復させる。
これ、1本で家は余裕で買えるぐらい高いんだけどな、、、!
そんなこと言ってられないか。
全神経を集中させ、飛んでくるブレスの光線を回避しつつ、俺は自身が攻撃できる間合いまで詰めていく。
そして、再度接近に成功する。
やった俺が戦える距離だ。
すると、真龍は再度、爪で攻撃してくる、
「!!」
俺は爪をかわすと、真龍はまた、反転し尻尾で『薙ぎ払い』をしていきた。
「2度もくらうか!」
俺は飛行し、『薙ぎ払い』をかわすことに成功する。
『薙ぎ払い』は攻撃後の隙がでかい技だ。
「ここだ!くらえ!!!『グランドクロス』!!!!」
俺は、真龍の首元に自分の最強のスキルをうち込んだ。
「グオオオォォォォォォォォ!!」
俺の最強の一撃は、倒すことは出来ずとも、
真龍を大きくノックバックさせるとともに、首もとに大きな十字傷を与えた。
「効いて、、、いる!!いけるぞ!!」
唯一のダメージソースを見つけた俺は、ここからやっと攻勢にでる。
「グオオオォォォォォォォォ!!」
初めて有効打をもらい、荒れ狂う真龍は、暴走したかのように、ブレスを放ってくる。
「ちぃっ!!」
間一髪でブレスの光線を回避し、再度首元に狙いをさだめる。
「くたばるまで何発でも打ち込んでやる!!行くぞ!」
ここで、真龍は爪からの尻尾のパターンでなく、爪とかみつき攻撃を取って変化をつけてきた。
だが、集中している俺は、新しい攻撃パターンも難なく回避に成功する。
そして、
「はあああぁぁぁぁ!『グランドクロス』!!!」
「!!!グオオオォォォォォォォォ!!!!」
2度目の『グランドクロス』を再度首元に放つと、真龍は先ほどよりも大きくノックバックした。
そして、の十字傷が明らかに広がり、深くなっている。
真龍から、大きく血が吹き出し、ふらついた。
致命傷になっているのがわかる。
「あと1、2発で行ける!これで最後だ!」
俺はここが勝負どころと察知し、エリクサーを飲んだ。
HPは満タンだがMPを回復する必要があったからだ。
そして、再度真龍との距離をつめ、攻撃をねらう。
「!!!グオオオォォォォォォォォ!!!!」
真龍も、危機を察知し、反撃してきた。
さっきよりも必死で、激しい攻撃だ。
だが、攻撃のパターンはそこまで多くない、もうわかっているぞ!
俺の方が少しばかりAGIが高い。
『直観』と『見切り』があれば怖くはない!
真龍の攻撃を三度かいくぐったところで、首元の前に到着する。
ここで、真龍はブレスの溜めに入った。
真龍の首元が、光線を吐こうと膨らむ。
「遅い!とどめだ!!『グランドクロス』!!!」
「!!!グオオオォォォォォォォォ!!!!」
バゴォォォォォォォォォォーーーーーーン!!!
激しい爆音とともに、俺は吹き飛ばされた。
そして、煙が晴れると、真龍の首は吹き飛び、息絶えていた。恐らく、ブレスを溜めている時にダメージを受けたことで、暴発したのだろう。
ラッキーだったのかもしれない。
「終わったのか、、、?」
念のため、近づくが、反応はない。
「良かった、、、!流石に死ぬかと思った、、、。レイに感謝しないとな、、、。」
俺はそう呟いて、ゆっくり座り込んだ。
すると、頭の中でアナウンスが流れてきた。
レベルアップだろう。
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「真龍・ボルケーノドラゴンを単独討伐した事で、ボーナスを獲得しました。」
「真龍単独討伐ボーナスで、ギフトが【龍神の加護を受けし剣神】にランクアップしました。」
「【龍神の加護を受けし剣神】にランクアップしたことで、新たなスキルが追加されました。」
「真龍単独討伐ボーナスで、称号【ドラゴンキラー】を得ました。」
「真龍単独討伐ボーナスで、称号【救国の英雄】を得ました。」
「レベルが65に上がりました。」
————
「へ?」