09*この想いを封印するよ
お題先『確かに恋だった』
「――好き、です」
今日も又告白されている彼。
「ごめん。まだ、付き合うとか考えらんないんだ」
いつも同じ台詞で、告白してくる彼女達をフる。
そんな彼は私の幼なじみ。
顔良し性格良し頭良しの三拍子揃った完璧な人。
私の小さい頃からの好きな人で、きっと彼以上に好きになれる人なんて一生出来ない。
これは思い上がりかもしれないけど、私には特別に優しくしてくれる彼。
……それは『幼なじみ』だから?
聞きたくても、聞けない言葉。
私が告白したら…貴方は何と言うの?『付き合うとか考えらんない』って他の子と同じように私をフるのかな?
……ある時、彼の友達から告白された。
付き合うつもりなんかなかった。でも、彼の反応を見たくて。
「〜〜君から告白されたんだけど、返事どうしようかって迷ってるんだよねー」
嘘。だってちゃんと今日の放課後断るつもりだもん。
いくら貴方の友達が格好良いって言われてる人だとしても、私は…貴方しか見えないのに。見たくないのに。
「……ふ〜ん」
「……それだけ?」
「いいんじゃない?好きにしたら良いよ」
珍しく彼は素っ気ない。
私は貴方が好きなのに。
私が他の人と付き合っても良いと言うの?私はそれだけの存在なの?
そう思ったらつい口が滑ってた。
「私、小さい時から貴方のこと好きだったんだ」
つい過去形で言ってしまったけど、本当は今でも好き。大好き。
彼は私の言葉に目を見開いて…何か堪えるような表情をする。
私にはその意味が読み取れなくて。
「……そうだったんだ。サンキューな」
その言葉通りに取るしかなかった。
私の頭にぽんっと手を置く貴方。
――『ありがとう』なんて言葉が欲しいんじゃないの。
好きだと言って。私のこと好きだと言ってよ。
『アイツならきっとお前を幸せにしてくれるだろうさ』なんて言葉、聞きたくない。
私は適当に返事をして、その場から逃げ出した。
とめどなく溢れる涙を感じながらも、私はその涙を止めるすべを知らなかった。
この想いを封印するよ
(貴方の隣にいるのが)
(私であったら)
(良かったのに)




