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06*君のこと目で追わなくなった

お題先『確かに恋だった』

高校生になって、君に出会ってからずっと、私の目線の先には君がいた。

目が合うといつも君の方から声かけてくれたよね。

私と君はクラスも違ったし、殆んど接点もなかったのに。


でもいつしか君には『彼女』と呼ばれる人が出来て、その『彼女』と笑い合ってる姿を多く見かけるようになった。

その姿を見るのが辛くて。


私はいつの間にか君を目で追い掛ける事を止めてたんだ。

無意識に見つけていた君が私の目に入らなくなった。

元々大して接点もなかったから、彼と会う機会なんてもちろんなくて。

このまま私の恋は自然に消滅していくんだろうって思ってた。


「……あ、久しぶりだね」


突然声をかけられて驚いた。

声の主は、懐かしいと今では思ってしまう彼。


「……久しぶり」

「元気だった?っていうか、何かホント久しぶりだよね。今まで何でか目が合うこと多かったのに。最近全く無いからさぁ、どうしてるかって思ってたんだ」


……今まで目が合ってたのは私が貴方をいつも見つめていたからですよ、なんて言えないけど。


「元気だったよ。そっちはまだ『彼女』とラブラブ?」


辛くなかった。

今まではこうやって冷やかすだけでも辛かったのに。死にたくなる程胸が痛んでいたはずなのに。

そういえば彼の声にドキドキしなくなってる。


……あぁ、私はもう…。


「んー…あの子とは別れたよ」

「……え?」

「他に好きな子出来ちゃってね」


そうなんだ、としか思わなかった。

前の自分だったら、その相手が自分だったら良いと、淡い期待に胸を躍らせていたはずなのに。

今は何も感じない。

ただ、その彼女と幸せになってくれたら良いなって何処か他人事で見てる自分がいた。


私の目に彼は映らなくなった。

それは恋の終わりの、合図。

彼のことを気にもかけなくなるまでのカウントダウンが確かに聞こえた。


恋の完全終了まであと―――……‥




君のこと

目で追わなくなった



(ずっと好きだった貴方の)

(新しい好きな人が、)

(貴方の幸せを)

(運んでくれるといいな)

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