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25*きっと夢中にさせるから

お題先『確かに恋だった』




――君に夢中、だなんてそんなことあるわけない。


そう思っているのに、君に確実に惹かれていってる俺。

この想い、どうやったら止められる?

どうやったら君に惹かれていく俺を止められる?


そんなことを自問自答する日々。

……情けねぇ。自分でもそう思うけど。

――でも、早く。

早くこの想いを消滅させなければ。元々そんなものはなかったかのように更地に戻さなければ。


君が俺のこの狂おしい想いに気付いてしまう、その前に。


「ちょっとおー!私の電子辞書返してよっ」

「別に梨奈使わないじゃん。電子辞書なんて」

「英語の単語分かんなくて宿題出来ないの!」

「ふーん。俺が教えてやろうか?」


……どうか、俺の浅ましい気持ちになんて気付かないで。

君は俺の醜い欲望で汚れてしまわないで。


そう思うのに。そう思っているのに。


心の何処かで、俺の手で君を染めてしまいたいだなんて思っている俺がいる。

そんな俺に気付いて欲しくなんか勿論無くて、俺は醜い部分を必死になって押し込み続けている。


――もう何年になるだろうか。


君に夢中だなんてそんなモンじゃない。

君に嫌われたら、きっと生きていけない。

君の隣を取られたら、発狂する。

君がいなくなったら、世界を憎んで、君のいない世界なんてそんなのいらないから、俺は世界を壊す。

それ程までに君に溺れて、依存しているんだ。


他人に無関心なんて言われてる俺だけど、本当はそうじゃない。

梨奈、きみ以外なんて必要じゃないだけ。

興味も好意も感情も行動も。

俺の全ては君だけに。


「俺、英語得意だし?」

「何処の世界に弟に勉強教えてもらう姉がいるのよ」

「此処」




きっと夢中にさせるから



(君も同じように)

(俺に狂ってしまえば良いのに)



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