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20*せめて隣が、あなたじゃなければ

お題先『確かに恋だった』

双子の妹。実は愛されているのにそれに気付けない哀れな子。




あたしは双子の片割れ。

妹の"日影"。姉は"日向"。

どうなのこの差、っていつも思ってた。


――そう、今も。


「それでね、あの人結構可愛くてー」

「はいはい、ベタボレだね。惚気なくていいから、ひなた」

「ひかげってば。惚気てなんかないわよ」


あたしと違って明るくて素直で可愛い姉。

顔は同じなのに、姉は本当に"ひなた"って感じで。


羨ましくて、憎たらしくて。


姉の彼氏はあたしの好きな人。

せめて自分と同じ顔の姉を選んでくれなかったら。

あたしもきっぱりと諦められたのに。

同じ顔なのに。おんなじ顔であるはずなのに。


同じ顔だからこそ、あの人があたしではなく、姉を選んだことが悔しくて、辛くて。


「ひかげはどうなの?」

「どうなのって?」

「……彼氏と」

「……あぁ、」


――上手くいってるよ。


だなんて。

好きでもない人と付き合って。

きっと、あたしの彼氏だって本当は"ひなた"の方が好きで。


あたしのことなんて誰も見てくれてないんだ。


どうしてあたしは"ひなた"の影にしか成り得ないのだろう。




せめて隣が、

あなたじゃなければ



(あたしだって)

("ひなた"の方になりたかった)

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