18*素直にはなれない
お題先なし。クリスマス。
――ホワイトクリスマス。
それは恋人達の聖なる日。
そんな聖なる夜に、私達も街の中心にあるビッグクリスマスツリーを見に来ていた。
「……綺麗だな」
「……まぁ、こんなもんじゃないの?」
「お前なぁ…今日位素直になったら?」
私は可愛くない。
可愛いことなんて言えない。
本当は、ツリーすごく綺麗だと思ってる。でも君に聞かれるとつい…
「お前、ツリー見たかったんだろ?なら、ちょっとくらい素直になって『見れて嬉しい』とか言えば良いのに」
「……別に見たかったなんて言ってない」
あぁ、私はホントに可愛くない。
明日か明後日か一年後かは分からないけど、いつかきっと、愛想をつかれて大好きな君にも嫌われちゃう…。
「……お前、何泣きそうになってんの?」
「泣きそうになんかなってない…」
何だかすごく不安になった。
だから、彼の冷たくなった手を自分から握った。
……離れていかないで、と。
「何?俺と手ェ繋ぎたかったの?」
「ちっ、違う!寒いからっ!」
「ふーん…まぁ、そういうことにしといてあげてもいいけど?」
「ほ、本当だもん!」
「……そんか顔赤くしてたら説得力ないって」
「寒いからだよっ」
恥ずかしくなって、手を離そうとしたのに、離れなくて。
彼が私の手をさっきの私以上に強く握ってくる。
「何、手ェ離そうとしてんの?」
「……っ、は、離してよっ!」
「ヤダ」
私がどんなに手を振り回しても、振りほどくことは出来なくて。
「別にいいじゃん。だってお前、寒いんだろ?それに俺、まだお前と手ェ繋いでいたいし」
「……っ、!?」
「……好きだよ」
顔が赤くなる中、私はたまには素直になってみようと口を開いた。
素直にはなれない
(……私も、好き)
(……っ!)
(なっ、何、アンタが顔赤くしてんのよっ)
(っ…だって……可愛すぎ…)
(ばっ、ばかっ!!)