11*お値段いくら?
お題先なし。 彼はお金持ちで格好良く、女はより取り見取り…という裏設定があったりします。
この世には沢山の『商品』が溢れかえっている。
食料、雑貨、サービス、情報……
人間でさえも『商品』として扱える。
「……ねぇ、あたしに値段付けるとしたらいくら?」
「はあ?突然何言っちゃってんの!?」
「あたし、いくらだったら買ってくれる?」
「何ソレ。遠回しなプロポーズだったりする?」
「違うし。……もうっ、真面目に質問してんだから真面目に答えてよっ」
俺の彼女は所謂電波少女というやつだ。
突然変なことを言いだす。
彼女は今日も又訳の分からない質問をして、『真面目に答えて』と膨れてる。
……いや、可愛いんだけどね。
たまに、何で俺はこんな少女を隣に置いているんだと思う。
こんな電波少女じゃなくても、他に女なんて腐る程いるのに。
それでも、彼女を隣に置いておくのは、俺が彼女の傍に居たいからに他ならない。
……こんな奴でも、やっぱり好きなんだ。
「ちょっと!聞いてるのっ!?」
「はいはい。ちゃんと聞いてるってば」
「ならちゃんと答えてよ!」
「……あのなー…ホントお前、馬鹿?」
お前の値段だなんて馬鹿なこと聞くんじゃねえよ。
お前に値段なんか付けられる訳ないだろ。
お前はたった一人。お前しかいないんだから。
「なっ!?馬鹿って何よ、馬鹿って!」
「……ふ」
「何笑ってんのよ!……真面目に聞いたのに」
「……お前の全てが手に入るなら、破産してもいいよ」
「……えっ?」
金なんていらない。借金塗れになっても構わない。
彼女が手に入るのなら、全てを捨てても構わない。
「……いや、金がないとお前を幸せにしてやれないな…」
「何か言った?」
「……結婚しようか、って言ったんだ」
「………っ、!?」
顔を赤く染めた彼女を見て、俺は『幸せ』を感じたんだ。
お値段いくら?
(お前をきっと)
(幸せにしてやるから)
(いつまでも)
(隣で笑っていて)