エピローグ
その次の日曜日。
シュウは2週続けて×市駅にいた。
見たかった映画が今週末で終わるのを知ったからだ。
今日行く映画館は、以前に常連さんとの密会? を疑われた、古くて趣のある方ではなく、万人向けに話題の作品からアニメ映画まで幅広く上映している映画館だ。
見たかったのは、SFエンターテインメント映画。
映像の美しさと迫力を謳われているその作品は、どうしても映画館の大スクリーンで見てみたかったのだ。
チケットを予約して、まだ上映までかなり時間があったので、さてどうしようかと考えて表へ出る。
そこで、今日はどうかなと、また大通りから横道にそれてみた。
ギ
ドアノブを引いて見るが、今日はびくとも動かない。やはり悪運の強いのとラッキーボーイが一緒でないと駄目らしい。
にゃーお
すると、いつからそこにいたのか、一匹の猫がちょこんと扉の前に座っている。
そう言えば店主は猫を飼っていると聞いたことがある。
シュウは微笑むと、猫を怖がらせないようにゆっくりした動作でしゃがみながら聞いてみる。
「今日はご主人さまはお留守ですか?」
猫は何度か首をかしげていたが、やがてあおんとあくびをすると、プイとどこかへ行ってしまった。
「振られましたね」
苦笑を1つ落としたシュウは、立ち上がると小径を駅へと戻って行った。
また、本屋にでも、行ってみますか。
了
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
『はるぶすと』シリーズ、短めのお話です。
著者は本屋が大好きなんですよね。若い頃は棚に並べられている本を、端から端まで順に読んでみたい! と思うくらいでした(笑)
秋の夜長、たまには紙の本を買ってきて楽しまれてはいかがでしょうか。
もちろん珈琲をお供にしてね。
さて、『はるぶすと』は、明日も通常通り営業致します。皆様のお越しをお待ちしております。
それではまた!