ビー玉
日常の、ちょっとしたひと時。
しゅわしゅわ。
「飲まないの?」
とっくに飲み終えたらしい紘矢がビー玉を取り出して水道で手を洗ってる。
飽きもせず弾ける泡を眺める私に、呆れた目を向けてくる。
いいじゃないか、楽しいんだもん。だいぶ炭酸抜けちゃってるけどね。
「美味しいうちに飲んでやるのも大事なことだよ?」
「何それ炭酸の気持ち?」
「そんだけ眺めてりゃラムネだってそう言いたくなるだろうよ。」
「ラムネがホントにそう思ってるかどうかなんて、わからないじゃん」
元はと言えば、紘矢が寝坊なんてしてくるから観たい映画が観れなくなって、私は今、不貞腐れているんだ。
ちょっとくらい冷たくしたってバチは当たらないはずだ。
「ごめんて。ビー玉あげるから許して?」
もう大人だもん。
ビー玉なんかで許して...
「...もう、しょうがないなぁ。」
仲直りのきっかけは大事だよね、うん。
しばらくリハビリ...。