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パリパリン・タオルンルン  作者: 川口わらび
【序章】ヒマワリ商店街年末ジャンボ福引会
1/1

1枚目 夏の残り物

あなたはどんなタオルが好きですか?


このお話は『ヒマワリ商店街年末ジャンボ福引会』の4等賞景品になった『ごくごく普通のタオル』から見た人々の日常です。

『カランコロン、カランコロ~ン』

年末の冷たい空気の中で響きわたるのは、ジングルベルではなく福引の鐘の音。


ここは年末恒例の『ヒマワリ商店街年末ジャンボ福引会』の初日・・・らしい・・・


『らしい』と伝聞形なのは、僕が段ボール箱から出されて4等賞の棚に並べられたのが、ついさっきの出来事だから。


『よう、新入り。』


前にいる『少しだけビニールがくたびれた』タオルに話し掛けられた。


僕を『新入り』と言うからには、先輩なんだろう。

先輩ならば、ここはひとつ挨拶をしておこう。


『初めまして。よろしくお願いします。』


『お前ら、50枚で来たのか?』


『はい!先ほど到着いたしました。同期の半分はまだ段ボール箱の中で待機しております!』


『ふぅん・・・まぁ段ボールの中にいる時が一番幸せかもな・・・まぁ、あまり期待するなよ・・・』


なんなんだ?このひねくれた感じは?


確かに僕らは、作られてすぐに『4等賞 ヒマワリ商店街』と書かれた紙にくるまれ、ビニール袋に入れられ、段ボールに詰められここまできた。


道中は

『どうせなら可愛い子に使われたい』だの

『セコンドにリングへ投げ込まれたい』だのと、

『どんな風に使われたいか』と言う夢を、みんなで語り合っていた。


だから、世間知らずっちゃ世間知らず。

でも、僕らは使われてなんぼのタオルですよ?

それは、まだ『使われてもいない貴方』も同じではないですか?

僕の後ろにいる同期が無言になる。


『あの・・・先輩?・・・』


『あぁ、俺たちもそうだったから・・・』

自嘲するように先輩が笑う。


何でも、先輩は『ヒマワリ商店街サマージャンボ福引会』の時にここへ来たらしいが、在庫として残ってしまって、歳末ジャンボ福引会の景品となったらしい。


残り物になったコンプレックスで、ひねくれたのか?

せっかく真っ白いタオルに生まれて来たのに、くすんで見えて台無しじゃないか。


諦めたように先輩が言う

『まぁ、この時期だ。大掃除で使われて、すぐに捨てられるだろ』


え?1回で捨てられる?

洗ってまた使われるんじゃないの?

使われて洗われて使われて・・・


僕らの人生・・・もといタオル生ってそんなもんなの?

空っ風だけではない『寒さ』を感じ始めた。

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