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94.バラバラ

メーメ様が、ミルキィ様の頭を優しく撫でながら、サファイア様たちに視線を向けた。

「・・・アウル様、サファイア・ブルー様。ミルキィ・ホワイト嬢は察知能力が高いと神殿からも認められている。特にここは神殿だ。彼女の感覚は正しいと私は信じています。ですから、あなたがたが、そちらが正しいと判断する理由を教えていただけませんか。思う以上に危険があるのなら、納得して進みたい」


サファイア様がどこか嫌そうにミルキィ様を見た、と思えたけど、すぐにニコリと笑われた。

「どうしましょう。でも、私、今までの直感や知識から、この扉の先だと確信しておりますの。あの、ひけらかすつもりは無かったのですが、私は各種精霊の祝福も受けておりますし、魔法使いの称号も貰っています。知識が豊富なのは、領地経営に取り組み新商品を出している功績から計っていただければと思いますけれど・・・」


メーメ様が困って、私を見た。

「キャラ・パール嬢。きみもミルキィと同じく、白系統のはずだ。きみはどう思う」

「すみません、何も、分かりません・・・」


「きみが選ぶならどの扉だ?」

とトラン様が聞いてきた。

「分かりませんが、ここで一休みしたいな、なんて、その、思います」

私の返答に皆さん、微妙な顔をする。


すみません・・・。でも、ちょっと一息入れても良い頃だと思うんです・・・。

ずっと、ズンズン進むサファイア様とアウル様のスピードについてきたから、結構大変だ。


「じゃあ、こうしましょう。私とアウルはこの道を進む。メーメ・ヤギィ様とミルキィ・ホワイト様、それからトラン・ネーコ様とキャラ・パールさんは、ここで休むなり、他の道に行くなり、好きになさってはいかがでしょうか」

「サファイア、それだと皆が危険になるかもしれない」

「大丈夫ですわ。だって本当の道は私たちが進むところなのですから。他の道には特に何もでないはずですわ」

「そうなのか? まぁ、サファイアがそういうなら間違いなさそうだな。どうする、メーメ・ヤギィ様、トラン・ネーコ様」


「あなた、後悔なさいますわ」

ミルキィ様が、涙目になりながらサファイア様を睨んだ。


「え? どうして?」

「神殿の深くなど、本当は来れないはずなのに、なお勝手に振る舞うのですもの・・・!」


「ミルキィ。サファイア・ブルー様も適任者だと選ばれた方だ。そのように非難するのは良くない」

「でも、メーメ様・・・!」


「それよりどうしたい。私はきみが望むように動く」

「・・・」


トラン様も私を見た。

「どうする?」

「どうしましょう」


突然放り出されても怖いし、そして、実際何かあった時の事を考えると、サファイア様たちと離れる方が怖そう・・・。


「サファイア様たちに、ついていきましょうか」

「分かった、そうしよう。ただ、疲れていないか?」

「・・・実は少し・・・」

「なら、少しだけ休憩を取り、それからアウル様たちを追いかけるのはどうだ」

「はい・・・」


「じゃあ、決まりね。ミルキィ・ホワイト様。私に何か思うところがあるご様子ですけど、私たち、本当は協力しなくちゃならないんですからね。・・・まぁ、二人で十分なのは事実ですけど。さぁ、アウル様、まいりましょう」

「分かった。じゃあ、それぞれ気を付けて。俺たちは先に行かせてもらう」


そして、アウル様とサファイア様は、右側から3つめの扉を開けて、進んでいかれた。


「あの女・・・呪ってやる・・・」

残されて、そう呟くミルキィ様。発想が相変わらず怖い!

「ミルキィ。すぐ呪うのは止めるんだ。実行するなよ、私はきみを叱らなくてはならない。注意してくれ」

メーメ様に注意されると、ミルキィ様はしょんぼりと落ち込んだ。


そんな様子の傍で、私は少し座り込んだ。

トラン様も横に座り込んで下さる。

「疲れたか」

「はい。トラン様は?」


「俺はまだ大丈夫だが、緊張はする。ここまで何事も無かったが・・・中央神殿の地下にまさかこんな洞窟が広がっていたとは」

「そうですね」

「知らなかったのか? なんというか」

前世の知識で、ってことかな。なんとなく。

「はい。こんな冒険みたいなこと、あるなんて・・・」

「そうか」


少しそのまま座っていると、少し回復できた気分。

「トラン様、そろそろ、行けます」

「そうか。無理するなよ」


「はい」

「どうする? 俺は多分、きみのサポートでいた方が良いから、判断はきみに合せる」

トラン様が立ち上がり、私に手を差し出して下さるので、手をとって立ち上がる。


「サファイア様たちを追おうと思います。他の道は、進む勇気もありませんし、お二人で大丈夫かとは思うのですが、心配になるので・・・」

「分かった。メーメ様。どうされますか。キャラ・パール嬢と俺は、アウル様たちを追おうと思います」

「そうか。ミルキィ、どうする。2人で残るより、トランたちと動いた方がきみを守るにも安心なのだが」

「・・・」

ミルキィ様は無言だが嫌そうだ。


メーメ様がじっとミルキィ様を見てから、私たちを見た。

「ここは神殿だ。ミルキィの感覚に信頼を置いている。彼女が方向を示すまで私たちはここに留まる。とはいえ、キャラ・パール嬢も白系統だ。きみたちは独自判断で構わない」


トラン様と視線を交わして、では、先に移動させてもらう事にした。



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