75.休憩時間
ポニー様にまたお会いできて嬉しい。
次に、ポニー様の手をとられて、スミレ様が。
やっぱりものすごく儚い系で綺麗な人だ。
ポニー様の手を取った時に少し恥ずかしそうにされたのが新鮮。
ゆっくりと降りて来られて、ポニー様のエスコートでスミレ様と入ってこられた。
「久しぶり。元気そうだな、ポニー・ウゥーマ様。スミレ・ヴァイオレット嬢も、戻って来られてよかった。歓迎する」
「出迎え感謝します。トラン・ネーコ様。キャラ・パール嬢も。これからまた学友としてどうぞよろしく」
とポニー様。
スミレ様は少し緊張されているように見えるけど、スッとこちらに向けて綺麗な礼をとられた。
慌てて、私にできる礼を返す。
「キャラ・パール嬢。今日から、スミレ・ヴァイオレット嬢も同じクラスに変わるんだ。色々よろしくね」
「はい。こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
ポニー様、私を『キャラちゃん』って呼んでくださってたのに、呼び名が堅苦しいものに変わってる。
出迎えで注目されているからかな。
「では行こうか」
「はい」
トラン様が声をかけて皆で動き出す。
私とポニー様とスミレ様は同じ教室に向かうけど、トラン様は別の棟にまで行かなくちゃいけないから、ダラダラしていてはいけない。
位置に迷ったけど、トラン様が声をかけてくださって、結局トラン様の隣、ポニー様たちの前を歩いて、一緒に教室まで行った。
***
授業では、先生が、ポニー様とスミレ様の学院への復帰を喜び、スミレ様もこちらのクラスになったと説明を。
皆、パチパチと出迎えの拍手をした。
そして休憩時間。
皆がポニー様とスミレ様のところに集まった。
口々に、戻ってこられた事の喜び、スミレ様の回復を喜ぶ言葉を語っている。
人が集まりすぎていて、私の席からは座っているお二人の様子が全く見えない。
次の休憩時間も、先の休憩時間に挨拶できなかった人が取り囲んでいた。
大変そう・・・。
私は隅っこの端っこの席で、様子を見守りつつ、普段通りに予習復習をしてみたりしている。
私については皆、無関心みたいだ。
私はほっとするけど、お役に立っていなくてすみません、ポニー様、スミレ様。
***
昼休みになった。
皆からの口々のランチの誘いに、ポニー様はにこやかに、
「ありがとう。ごめんね、もう約束してるんだ。でも歓迎して貰えてものすごく嬉しいよ」
と答えながら、スミレ様を大切そうにエスコートして、私の席までやって来られた。
皆は不満そうだったり驚いているみたい。
「行こう。トラン・ネーコ様は現地集合かな」
「聞いていませんが、そうだと思います」
今まで、トラン様とのランチって部屋で待ち合わせだったし、多分。
「じゃあ、行こう。スミレ嬢、キャラ・パール嬢」
「えぇ」
「はい」
やっぱりポニー様は、『キャラちゃん』って呼び名を止められたみたい。
ちょっと寂しいな。でも仕方ないか。
***
ポニー様とスミレ様の使用人の人も一緒に動くので、大人数がゾロゾロ移動。
復帰初日だからか、使用人の人たちは警戒している。加えて、ルティアさんたちも私のために警戒してくださっている。要人警護ってこんな感じなんだろうか。
たどり着いたのは、『日』の部屋。
使用人の人が扉を開けて、中に入る。
まだトラン様は来られていないみたい。
パタン、と扉が閉められた途端、ポニー様が砕けて笑った。
「緊張したね、きみはどう、スミレ嬢」
「はい・・・」
「一緒のクラスになって良かったね」
「はい・・・」
「大丈夫?」
とポニー様が、俯いて答えるスミレ様の顔を覗き込む。
「は、はい」
スミレ様は少し恥ずかしそうに視線を逸らせた。
「キャラちゃんも、久しぶり」
あ。呼び方。やっぱり嬉しくなる。
「お久しぶりです。『キャラちゃん』って、もう言ってくださらないのだと思ってました」
「皆がいるところでは止めようと思って。でもせっかく仲良くなったのに距離を空けるのももったいないと思って。トラン様に嫉妬されたら止めるよ?」
急にトラン様の名前を出されて動揺した。恥ずかしいような嬉しいような。
スミレ様が私の様子に気づいて、驚いて目を丸くした。
「あなたは、どう、される、おつもりですの・・・?」
スミレ嬢がゆっくり、私に話しかけてこられた。
「どう、とは?」
本当に意味が分からなくて確認する。
「昨日も、酷い目に遭ったと聞きましたわ。・・・私でさえ心が痛みましたの。そのような目にあって、まだ学院に残っておられて、これから、どう、されるおつもりですか・・・?」




