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05.メーメ様と、使用人

教室に行こうと誘われ、一緒に行動しない方が良いような気がして辞退しようとしたところ、ものすごく寂しそうな顔で見てくるので、ポニー様と一緒に教室まで行くことに。

ポニー様、絶対自分の表情の威力を分かってやってますよね。


鞄について改めて聞かれたので、今朝の出来事は説明しておいた。


***


さて、この学院だけど、前世とはシステムが違う。

通う年齢も厳密には決まっていないらしくて、だいたい13歳~17歳ぐらいまで。

とはいえ12歳から入学する子もいるし、遅く入って18歳、19歳まで学校にいる人もいる。


入学すると年齢に合わせて所属のクラスが決められる。

午前中はクラスで年齢に合わせた授業を受ける。

午後になったら、希望選択制になる。つまり、年齢ごちゃまぜクラス。

まぁ、年齢が低い人は、低いレベルのから受ける。だから、あまり年齢差はないのだけど。


午前中は無事終了。

前世の記憶が蘇ったせいで、文章書くのに混乱してしまったけど仕方ない。そのうち慣れるはず。


***


さて、お昼。

食堂だ。ランチ3種類から選べるんだよね。嬉しいな。どうしようかな。

あ、朝に食べ損ねたパンもハンカチに包んだまま持ってきた。


食堂は、案外空いている。

貴族の人で、わざわざ自分でランチを食堂に取りに来る人なんていない。

まぁ、モノ好きの人は何人かいるみたいだけど・・・。


なんて思っていたら、急に後ろからヌッと人が現れた。

「そのハンカチ、どの地方の刺繍だ?」

「! メーメ・ヤギィ様・・・!」

びっくりするよー!! 心臓に悪いよー!!


メーメ様の視線の先は、朝に食べ損ねたパンのハンカチ包みに固定されている。


ちなみに、メーメ・ヤギィ様は2つ年上のクラス。

図書館にいったら、定位置でよく本を読んでおられる。

その姿しか見たこと無いのだけど、平民ながら学院に通うことになった私という存在にちょっと興味を引かれたようで、メーメ様が急に声をかけて来られたのが知り合うきっかけだ。


「色の組み合わせが珍しい。西の地方か」

「はい。この刺繍、母に教えてもらったもので、母はセリュース地方の出身です」

「なるほどな」


うんうん。メーメ様は自分の知識が間違っていない事に満足されたようで、嬉しそうに頷き。

そのままスッと去っていかれた。


うん。

ちょっと変わってるよね。

イケメンだし家も大きいから人気があるけど、それ抜いたら変わり者では・・・。


あと、やっぱり・・・。

もう遠くなった後ろ姿を見て、私はつい少し首を傾げてしまった。


メーメ様、このゲームにいた記憶がないんだよね・・・。


とはいえ、私は結局2人程度しかプレイしていない。

名前だって、プレイヤーが変更できたから、私がきちんと覚えられてないんだろう。


とはいえ攻略対象者だと確信できるのは、特徴あるキラメキ具合だから。

他の人に比べて明らかに造形が違うんだよね・・・。


今日、放課後に、トラン・ネーコ様に会えるはずだから、色々確認したいところだ。

昨日、寮まで送ってもらった時にそう提案された。


放課後、誰かに妨害されたりしなかったら良いんだけど・・・。


前世の記憶と、今の記憶をすり合わせた時に、『あれ?』となってしまうところがチラホラある。

トラン様は実はゲームに詳しくないとも言っておられたけど。


ま、今はランチー♪


本日はランチBに決定。パスタセット。嬉しいな。

ニコニコしながら席に運ぼうとして、ガッと足が引っかかった。

「きゃぁ!?」


あ、危ない! コケるところだった! セーフ!

パスタが皿から半分飛び出たけど、トレイの中だから大丈夫!


ランチの状態にホッとしてから足元から隣を見る。

「おや失礼」

と、全く感情の入っていない表面上の詫びを口にしたのは、誰かの使用人みたいだ。男性。


むかつくー!!


「足、引っ掛けました?」

状況的にそれしかない。

「おや。詫びましたが、足りないということですか」

口と顔とが合ってない。完全に見下してきてる。


「どなたに仕えておられるのですか?」

私は冷たい目でその人を見下ろした。


「・・・」

「そうですか。正しい行いだったら、胸を張って誰に仕えているか言えると思ったのですが、違うんですね」

「!!」

カッと向こうの顔が赤くなったのを、ツンと澄まして立ち去る事に。


ふん、意地悪したくせに意地悪な態度だからだよ!

怒りながらトレイに飛び出した分も含めてパスタを食べた。


「皿から落ちたものを食べてるぞ」

と明らかに嫌味が聞こえたけど、無視。

持ち込んだハンカチ包みのパンを取り出して、残ったソースつけて完食した。

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