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34.ポニー様と反省とトラン様

私はモモ様に頬を叩かれたとはいえ、好きな人と婚約解消、というのにやっぱり辛いものを感じてしまう。


私は言った。

「あの、私とは関係なく、テニス部良いかもしれませんよ。同じ部活ならいろいろ交流が・・・」

「キャラちゃん、余計な口は出さない方が良いよ。レオが迷惑かもしれない。僕なら嫌だよ、婚約解消って言ってるのに部活を同じにするなんて。冷静な判断ができていないよ」


「すみません・・・」

とは私。

「うん、僕も。じゃあね、モモ・ピンクー嬢。言っておくけど、解消しても、僕はきみとは嫌だから」

「ポニー様!」

私は思わず咎めた。


モモ様は養護室で、目を丸くして動けないでいる。

そんなモモ様を置きっぱなしで、ポニー様と私は養護室を出ていく。


「どうして追い打ち駆けるような事を言うんですか! ポニー様はやさしい癖に!」

「キャラちゃん、自分が迷惑かけられたことを忘れてるよね。僕は友達にあんな態度をとる人は嫌いだ」

「ポニー様らしくないですよ。恋する女の子なんです、しかも年下ですよ」

「恋してる事は免罪符にならないし、年下って1つしか違わないよ。彼女、幼稚だ。そもそも全部キャラちゃんのせいにしてきたんだよ、あの人!」


ポニー様が怒っている。


騒ぎながら教室に戻ったので教師の怒りに触れた。

二人とも前に出されて、難しい問題を解くように、と指示される。見せしめの罰らしい。

なのに、ポニー様はスラスラ解いて、さっさと席に戻っていった。

裏切られた気分・・・。


私も一生懸命解いたけど、結局間違っていた。恥ずかしい。


反省・・・。

私、生活費のためにも勉強しっかりしないといけない。

そして、せっかく学院に通わせてもらっているんだ、ちゃんと学ばないと。


***


昼休み。今日もトラン様にランチにお誘いいただいた。メッセージが入っていたのだ。

嬉しいな。でもちょっと緊張する。でもやっぱり嬉しい。


「キャラちゃん、どこに行くの。図書館行くって言ってたよね」

ルティアさんに先導される私を見て、ポニー様が目を丸くした。

うん、そういう話を2つ目の休憩時間にポニー様にしている。


「はい。ランチをしてから行こうと思います」

なにせ、昼休憩は2時間もある。1時間ランチをしても、残り1時間。

とはいえ、図書館の勉強は20分ぐらいかも。それから図書館でそのままトラン様のお守りを作りたいと思っている。早く完成させたいから。


「ふぅん」

ちょっとポニー様が詰まらなさそう。

「良いな・・・」

とおっしゃるので、首を傾げた。


「ポニー様って、ランチはいつもどうされているんですか?」

「その時々でいろいろ。何組か、仲の良いグループがあるから交流してるんだ。でも僕ともランチ食べに行こうよ」

「はい」

返事に、ポニー様がニコリと笑った。


「早い方が良い。明日はどう?」

「明日ですか。分かりました」

「やった。楽しみだ。じゃあ、ランチ行ってらっしゃい」

「はい」


お待たせしました、とルティアさんを見ると、困った子を見る目で見られていた。

あれ、前もこういう目で見られた事がある気がする。前はどんな時だっけ・・・。


「明日ご一緒できないと知ったら、あるじが嘆きそうですわ」

小さく言ったルティアさん。

「明日もそのつもりしていただいているんですか?」

と私も小声。

「恐らくは。・・・いいえ、出過ぎた事を申し上げてしまいました。お忘れください。明日は明日の事ですもの」

ルティアさんはそう言ってから、ニコリと笑んだ。仕事的笑顔だ。


「ではご案内いたします」

「はい・・・」


毎日ランチにお誘いくださる予定なのかな・・・。

そうなのかな。

そうだったら毎日お会いできて嬉しいな。あ、顔が熱くなってきた。


とはいえ、明日は、ポニー様とランチ。楽しみにしてくださってるし、トラン様とは約束してないし。


***


今日のトラン様のランチもサンドウィッチだった。

利き手が使えないから、大変そうだ。


「誘っておいてなんだが、今日も同じ内容ですまない。中に挟んであるものは変わっているんだが。すぐに手で食べて良い料理を思いつかない」

私よりトラン様の方が困っておられるようだ。


「私は、サンドウィッチ好きですが・・・。片手だと、ナンで食べるカレーというのもありますよ」

「町にそんな食べ物があるのか?」

「はい。薄く伸ばしたパンみたいなものをちぎって、カレーをつけて食べるんです。手で食べます」

「そうか。シェフに聞いてみよう」

「あとは、焼き鳥とか串カツとかも片手で食べられると思います」

「あぁ。なるほどな。そう思うと乗り越えられそうだ。ありがとう」

「どういたしまして」

トラン様が嬉しそうだ。私も嬉しい。


そんなところに、ルティアさんがスス、とトラン様の方に動き、トラン様の傍で何かささやいた。

何かの連絡事項らしい。

トラン様が、パチパチと瞬きをした。真顔だ。


そして、トラン様は私を見た。


どうされましたか。


トラン様がふと目を逸らせて、それからまた私に視線を戻した。少し緊張されている。

「できれば」


はい。


「昼・・・毎日、負担でないなら、きみを誘っても良いか? 迷惑でなければ」

え。

真剣に見つめつつお誘いいただいて、ドキッとした。

顔がまた赤くなる。


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