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33.ポニー様、モモ様に怒る

「キャラちゃん、落ち込まないで。違う。モモ・ピンクー嬢、きみも話し合いに同席してくれたじゃないか。僕とスミレ・ヴァイオレット嬢に関しては、互いに重要なところの意見が合わないから、もう一緒にいられないと判断しただけだ。キャラちゃんは判断のきっかけだっただけで、根本は、人に対する姿勢の違いだ」

「そんな難しい言葉に変えて誤魔化そうとしても無駄ですわ! 結局その人が悪いんです!」


「違うから。それから、僕から言う事でもないんだけど、トラン・ネーコ様のところは、ミカン・オレンジ嬢の性格が結局治らないところに原因があったはずだよ。正直、僕も暴力に訴える人は好きになれないよ。気に入らない事があると殴ってくる人なんて、生涯共にしたくない。だからキャラちゃんのせいじゃない。・・・言っておくけど、モモ・ピンクー嬢も、弱い者にすぐに手をあげるの止めた方が良いよ。キャラちゃん関係ないのに、無実の人にきみは暴力を振るってるんだよ。僕が、不当な理由できみを殴ったらどう思うんだ」

ポニー様がため息をついている。

ポニー様、きちんと言葉で相手に伝えようとするから、人を宥めないといけないことも多いのかな・・・。


私も当事者なので何か言うべきなのだろうけど、何を言っていいのか分からない。

私のせいじゃないのかな、とポニー様たちのところは思ってしまうから余計に。


ポニー様と私と、困って視線を交し合う。

モモ様はやっぱり泣いてしまった。


「あの」

私は恐る恐る、口を開いた。


「何よ!」

泣いているくせにキッと睨んでくるモモ様。


「・・・モモ・ピンクー様は、レオ・ライオン様の事が好きって、レオ様に好きだから婚約が良いって、その、言えば良いのではと思うんです。その・・・見当違いなことを言ってたら申し訳ないのですが」

「あなたにどうしてそんなこと言われなきゃいけないのよ!」

「性格が合わないなら、別れるのは仕方がない事だとは、思うよ」

などとポニー様がポツリというのでギョッとする。

モモ様も同じだったようで、信じられないような目でポニー様を見た。


「一方だけが好きでも、もう一方が苦痛なら仕方ないと思う。その意味で、僕とスミレ・ヴァイオレット嬢は幸運だったかもしれないね」

「・・・ぅ・・・」

モモ様が震えている。

なんだか辛くなってきた。

好きな相手と婚約していて、白紙にされたら、嫌なのは当然だ。泣きたくなるぐらい嫌なんだ。それだけレオ様が好きだという事だ。


「あの、協力できることがあったら、しますよ・・・?」

「キャラちゃん何言ってるの」

「は?」

ポニー様が驚き、モモ様に至っては馬鹿にした目で見てきた。うん。失言だった。モモ様に協力しようと思った私の馬鹿。


「テニス部に入りませんか、って、言ってみようかと思っただけです」

「他に何してくれるのよ」

キッ、とモモ様が私を睨んでいる。言っている内容と合ってない。


「モモ・ピンクー嬢。そんな頼み方ってあんまりだよ。レオじゃなくてもうんざりするよ?」

「えっ」

ポニー様って、ひょっとして、的確にその人の急所をつけるんですか? 発言で。


「レオのところも婚約解消か。どうなるのかな。他も続くと思う? どういう組み合わせになるのかなぁ。もう僕もそれで良いよ。僕、きちんと分かり合える人が良いな」

どうでも良さそうな風に、ポニー様が言った。

どうやら本気で関心を失ったようだ。窓の外に視線を向けている。


「キャラちゃん、行こうか。授業始まってしまってるんだよね。一緒に行って謝ろう?」

「・・・はい」


立ち上がった私たちに、モモ様が慌てた。

「待って! お待ちになって!」


ポニー様が冷たい視線を向けた。

「八つ当たりで人の頬を叩きに来る人なんて、もう嫌だから関わりたくない。自分の問題は自分で解決してよ。巻き込まないで」

「酷い! 話し合いの席に同席しましたのに!」

「うん。それは感謝してるけど、協力を申し出た人に対する態度があまりにも酷いからもううんざりだ。それに、家から正式に感謝の品は届けてあるから、もうそれで終わった事だよね」


モモ様がショックを受けて、動きを止めた。



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