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17.部活

急に部活の勧誘を受けてしまった。

「これは、前世が日本人同士、という気軽な立場での提案だが、きみ、前は病死だったんだろう。せっかく生まれ変わって健康だから、スポーツをすればいいのにと思ったんだ」

「はぁ・・・」


「基本的に活動は昼休みと放課後だ。別に毎日でなくても構わない、好きな時間に。同じ部活ならその間、嫌がらせなどさせないし、レオもテニス部だからレオも警戒してくれるはずだ」

「え、ちょっと待ってください。逆に被害拡大すると思うんです!」


「あのさ」

急にトラン様の口調が砕けた。

「前世日本人同士、っていうことで、提案なんだ、けど」

「なんか急に話し辛そうですね?」

「あぁ。こう、思い出そうとするんだが今のしつけられた口調がどうしても戻ってきて難しい」


そんなところで悩まないでくださいよ。


「トラン・ネーコ様は貴族なんだから、別に口調砕けなくても良いと思います・・・」

「そうだが。とにかく、提案の理由だが、がっつりと貴族の庇護下に入った方が良い」

「というと?」

愛人計画?


「中途半端に関わるから色んなところから妨害される。だけど、きみに嫌がらせをしたら、他の貴族から報復される、という認識になるほど懇意こんいになれば良い」

「・・・」


「だから支援を惜しまない。『俺の金はきみの金』。そう思ってくれて構わない」

「太っ腹ですね」

某アニメの俺様キャラですね。ネコ型アニメ。


「正直なところ、平民のきみが想像し使える金額など高が知れているから痛くもかゆくもない。超大金持ちの家に生まれたものでな」

「羨ましいです」


私が、前世日本人同士、というつながりで気安く返事をしたのを、トラン様は頷いた。

「あぁ。だからきみも、もっと楽しんだ方が良い」


楽しむ。

トラン様の言葉の続きをじっと待つ。


トラン様は考えるために少し目を伏せ、すぐまた私を見た。

「せっかく健康に生まれて、学校にも通ってるんだ。楽しもう。それにテニスなら俺も教えられる。合わないなら辞めたらいい。他にもいろいろあるから、好きな事をすればいい」


「・・・ありがとう、ございます」


ちょっと、感動した。


「嫌がらせだけの学院生活なんて嫌だろう?」

「はい」


言葉をかみしめるように、頷いた。


せっかく今、健康な体でいる。

そして、辛いって思うより、楽しい幸せって思って生きていきたい。


「入ろうかな・・・」

「決めたらいつでも連絡してくれ。入部届けを書いてもらう。部長に紹介する」

「はい・・・」

なんだかそういうのを考えるのは、嬉しいな。


「手品部とかの方が良かったか?」

トラン様が冗談めかして聞いてきた。


「手品でも良かったですが、スポーツやってみたいです」

「丁度良かった」


「バスケじゃなかったんですね。前世バスケだったんでしょう?」

「バスケは無かった」

「残念ですね」

「あぁ。でも俺もバスケを思い出したのは数か月前なのでどうしようもない。そういえば、ゲームのトラン・ネーコは手品部だったのか?」

「はい。マジシャンっていう感じがピッタリでした」


「きみもそのトラン・ネーコが好きだったのか? まさか人気キャラ?」

「他の人は知らないんですけど、私の場合は、最後までプレイしたのはトラン様だけですよ」


「なんだか複雑だ。そして何か申し訳ない気分だ」

「前世の話含めて相談できるから、今のトラン様は有難いですよ」

「なら良いが。・・・そろそろ解散の時間か。そうだ、今困っている事は? 買いたいものや必要なものは?」

「あ。鞄が・・・」


気軽に強請ってしまった。

前世日本人同士、という感覚があるせいだ。

一方のトラン様も、気軽に頷いた。


「ルティアを貸すから、希望の品と用途を伝えてやってくれ。購入と支払いはルティアに任せればいい。品物は遠慮なく受け取ってくれ。鞄は経緯が気になるのでそれもルティアに伝えておいて欲しい」

「はい。本当にありがとうございます。助かります。調子に乗って、たかってすみません」

「構わない。言っただろう、きみの使う金額など痛くもかゆくもない。気にせずたかってくれ」


例えばこれがポニー様なら、絶対『鞄買って』とは言えないんだけど、すでに私の中で、トラン様は私のサイフになっている気が・・・。


良いのだろうか。


うん、トラン様が『良い』って言ってくれたから、良い、大丈夫。


***


休憩時間が終わり切る前に解散した。


なお、学校は7:10から始まり、午前中で3つの授業がある。

昼休みは2時間もあり、午後は基本的には授業が1つ。その後は放課後。


というわけで、午前中の最後の授業へ。

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