139.それからの日々
それからの日々はあっという間。
翌日の放課後は、スミレ様とお茶会。
仮面舞踏会の事でスミレ様は私に酷く同情してくださって、頑張りましたわね、なんて言って貰えて感激した。
ポニー様はニコニコ私たちを見守って、トラン様は反省されて少し元気をなくされるのを、一生懸命励ました。
サファイア・ブルー様たちからの頼み事だと、トラン様から頼まれたのは、あまりに神殿が怒っているので、取り持ってもらえないか、という話。
私もあの時に適任者だったし、聖女に選ばれているからだ。
加えて、ミルキィ様がサファイア・ブルー様にものすごく怒っているので、そちらも仲直りさせてもらえないか、と。
判断に迷うところだけど、トラン様が頼んでこられるので了承した。
トラン様はこの願いを聞く代わりに、あの日、サファイア・ブルー様に映像を頼まれたのだから。
ちなみに、神殿の怒りとミルキィ様の怒りはなかなか解けなかった。
だけど時間をかけて宥めていたら、半年後にやっと神殿もミルキィ様も落ち着かれた。
仲裁を頼まれた立場としては、和解に至って安心した。
ちなみに、サファイア・ブルー様とアウル・フクロウ様が怒りを買う事になった原因の一つ、神殿が封印していたという『古の厄災』とも『秘宝』とも呼ばれていた、ヴァルティリアという悪そうなイケメン。
ある日、私の元にクロロ・ブラック様からの手紙が届いて少し関わる事に。
ちなみに、クロロ・ブラック様は結局学院を辞められて、遠方の領地で暮らしておられる。
驚きながら手紙を読んでみれば、ヴァルティリアが、神殿の精霊と巨人族について心配していて、なんとか会せてあげられないか、という相談だった。難しいお願いをしてこられる。
トラン様、メーメ様、ミルキィ様にも相談して、神殿に交渉してみる。
封印していた厄災、捕まえずに再会を見守ってもらえませんか、という怒られそうな内容だ。
だけど問い合わせ結果、すっかり弱体化してしまっているけど生き残っている精霊ヴィクトリーと、巨人族トリー両方が、ヴァルティリアが心配、会いたい、と希望していると分かったので、会えることに。
万全の態勢、つまり私とトラン様とメーメ様とミルキィ様、そしてクロロ・ブラック様と厄災ヴァルティリア、加えて、万が一に念のためと、そっとサファイア・ブルー様とアウル・フクロウ様が陰から見守る・・・という体制で中央神殿にて、対面を果たした。
結局心配していたようなことは何も起こらなかった。
ただただ、精霊と巨人族と厄災とが、互いの無事に安堵する、という平和的な光景が見れた。
ちなみにその光景を見て、まだ神殿と和解前だったサファイア・ブルー様とアウル・フクロウ様、心底反省されたそうだ。
なお、クロロ・ブラック様が、私に特別打ち明けてくださったことがある。
クロロ・ブラック様は、小さな頃から、変な黒いモヤみたいなのが周囲に現れて、おしゃべりをしていたのだそうだ。
それは、地下神殿に封印されていたヴァルティリアの薄い薄い意識だった。ヴァルティリアはクロロ・ブラック様みたいな人が大好きなんだって。
そのクロロ・ブラック様、ヴァルティリアに、闇の国に行こう、と誘われていて迷っているそうだ。
行って良いと思う? と真剣に相談されたけど、闇の国って何だろう。
分からないです、すみません。でもクロロ・ブラック様が幸せになれそうで、世界がそれで壊れないなら、ご自身のお気持ち優先で、行ってみたいなら行かれて良いと思います、なんて私は言った。
幸せになれる場所って、意外なところにあるのかもしれない。私がこちらの世界に転生したように。
それ以来、クロロ・ブラック様にはお会いしていない。だけどたまにお手紙はいただく。
闇の国については書いていない。変に迷わせてはいけないから、私からは確認していない。
どこにおられるとしても、ヴァルティリアがいて楽しそうな様子が手紙から分かって、読んでいて安心できる。
なお、スミレ様の呪いについては、私も酷いと思うけれど、本当にごめんなさい、と心底反省されているようだ。
さて。遡ってしまうけど。
仮面舞踏会のあたりから1ヶ月経った辺りで、ネーコ家は、トラン様と私の婚約を広く伝えた。
そのタイミングで、王妃様が、キャラ・パールは、ある恩人の娘だ、後押ししましょう、と伝えて来られた。
ついには対面もさせていただくことになり、王城にも行く事になった。緊張で本当に震えが止まらなかった。
王妃様はとても美しくてお優しい方だった。
父の事も思い出してしまって、王妃様の優しさに泣けてしまった。
もちろん、家族に手紙に書いて送った。皆大喜びだった。
なお、母は、神殿にお手伝いに行くようになって、元気になった。手紙も母本人が書いている。安心。
こちらのことは心配しないで、と書いていてくれるけど、町に護衛をつけさせてもらうか、家族に話して、トラン様の領地に住まわせてもらうか・・・。
だけど、母からは今の町の暮らしが良いから、という返事。
トラン様が、母たちが危険な目に合わないように護衛の人たちを密かに派遣してくださっている。
弟と妹は貴族になれる私を羨ましがった。
どうしようかと考えていたら、弟も妹も父の子なのだから、と、王妃様とそのお兄さんの計らいで、私と同じように、年齢に達したらそれぞれ学院に通える事になった。
心配で、実はこんな酷くて辛い目にもたくさんあったんだよ、とそれぞれ教えたけど、結局私はトラン様と両想いになって、ポニー様やスミレ様たち、大貴族の方ともお友達になっている。
だから弟と妹には、あまり深刻に聞いて貰えなかった気がする。
まぁ、私の時とは状況が変わっているので、弟と妹は、初めから皆さんに好意的にみてもらえるかも。




