115.久しぶりに学院、急な出来事
翌日。
4日ぶりの学院だ。
授業も久しぶり・・・。
先生が来られて、壇上からこう言った。
「今日は試験を行う。皆机の上や引き出しにしまっている教科書類、全て鞄にしまいなさい。筆記具だけを机の上に」
えっ!? 試験!?
私は震えた。
えっ!? 事前予告ありましたか!?
どうやら他の方も動揺しておられる。不意打ち!?
4日も出かけて戻って来た日に試験なんて・・・。
タイミングが悪すぎる。
この試験結果が、もらえる生活費に影響するのに。
でも試験欠席だったら困っていた。試験自体は出席だから、最悪な事態は避けられた・・・? そう思って頑張るしかない。
***
なんと恐ろしい事に、午前中の授業は全部試験だった・・・。
必死過ぎて、頭が真っ白です。
***
昼休み。
4日ぶりにお会いした。ポニー様とスミレ様。
話すことはたくさんあるはずなのに、やっぱり不意打ち試験が強烈で、お二人ともどこかボウッとしておられる。
それでもお久しぶりです、と会話した。
「お伝えしなければと思っておりました、私の使用人たちは、全て新しい寮に移りましたわ」
とスミレ様。
「ありがとうございます」
「そうだ。キャラさんが生まれた町の神殿で聖女として花を捧げたって話題だよ。さっそく活動してるんだね」
とポニー様。
「ありがとうございます」
ポニー様とスミレ様が私を励ますように笑みかけてくださる。
わぁ、嬉しいな・・・。私も笑顔になれる。
スミレ様とこんな雰囲気になれるなんて。
あれ。そういえば、クロロ・ブラック様の呪いの事、どうなったのかな・・・。
でも教室、大勢がいるところで聞く事じゃないよね。
「誠に失礼いたします。ご容赦くださいませ」
急にルティアさんが話に割り込んでこられた。
私もだけど、ポニー様とスミレ様も驚いていた。
ルティアさんが私の腕をグッと掴んだ。
「急いで、ついて来てくださいませ」
「はい」
「え、大丈夫? 僕たちの助けは?」
とポニー様が確認してくださる。
「いえ、時間が勝負なのです・・・」
とルティアさんが眉を下げる。
「分かった。トラン様を信じる」
とポニー様。
腕を掴まれて、走るように急かされる。
「ど、どうしたんですか!?」
「説明は後です! お急ぎを!」
「トラン様に何か!?」
「いえ、とにかくお急ぎください!」
棟を出ると、馬車が正面に待っていた。
扉が開いている。
「乗ります! 主も参ります!」
「は、はい!」
勢いのまま乗り込む。
乗った途端、ルティアさんが降りる。
え、ルティアさん!? ルティアさん!
「大丈夫ですわ、荷物を出すだけですわ!」
外からルティアさんの声が聞こえる。
それから大きな丸い箱を持ち込んでこられた。
「時間がありません。車内で着替えます」
「え!? トラン様も来られるのですよね!?」
「別の方が良いかもしれません。何分、女性の着替えは時間がかかりますもの。まだ簡単なドレスで良かった」
「何があったんですか?」
「主が遅いので私が・・・あ、参りましたわ!」
見ればトラン様も走って来られた。
「申し上げます、移動中に着替えられた方が宜しいかと!」
「説明はしたか!?」
「いいえ、まだ!」
「分かった、では先に行け。着替え終わったら教えろ、途中から同乗する。追いかける」
「はい!」
「任せたぞ」
「はい、お任せを」
な、なんだ、何があったの!?
ルティアさんに急かされるまま、馬車の中でドレスに着替える事になった。
前に、トラン様に町で買ってもらった中の一つだ。古典的なエレガントなタイプ、というシルバーに金茶の刺繍がたくさん施してあるもの。
ルティアさんが、私を整えながら説明もしてくださる。
「キャラ・パール様を支援している貴族に、主が会う機会を求めました。それについて返事が来ておりましたの。開封が遅れ、今このように急ぐ事態になりました!」
あ、私の家に行ってたせいだ。4日間も。
「王家からの返事でした。日時が指定してあり、今日の午後!」
「えっ! 今日の午後!」
「はい! 手を尽くします!」
「お、お願いします! ・・・えっ、王家!?」
「名前は無く、シンボルマークのみだったようで、どなたかは分からないそうです。とにかく間に合わないといけません」
「午後って何時ですか!?」
「13時ですわ!」
「ええっ!」
今、12時半すぎてる!
「間に合わなかったらどうなるんでしょうか・・・!?」
「考えたくございませんわ! 間に合わせましょう!」
移動する馬車で着替えしにくいなぁ、とか言っている場合では無い。
「礼儀とかどうすれば良いでしょうか!?」
「キャラ・パール様は平民です。多少は許していただくほかありません。真剣な態度で、けれど表情は硬くなりすぎませんように。どなたとどんな話になるか分かりません。主の様子から判断くださいませ」
「はい」
うぅううう! なんだ、緊張する・・・!
「え、待って、父の支援をって、王家の方が・・・!?」
「分かりませんが、少なくても関わっておられるのではないでしょうか。お話をよく聞いてきてくださいませ」
「はい」
***
トラン様が同じ馬車に乗り込んでこられたのは、王宮に着くというかなりギリギリのところだった。
なぜなら、私は軽く化粧もされて髪型も整えられたから。
乗り込んできたトラン様も、着替えておられる。
「とんでもなく時間がもうないが、これが俺宛てに来た手紙だ」
封筒を取り出してくださって、中を取り出してくださった。
平民でも知っている、王家のマークがある。
「良いか。俺は、生涯きみと一緒になりたい。支援している貴族に理解を求めたいと考え、接触を図ろうとした。その結果が今だ」
「は、い」
わぁ、真剣な説明の中で物凄い事を言って下さった。ドキドキした。
馬車が速度を落とす。
「時間には間に合いそうだ。良かった」
トラン様が息を吐いている。




