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110/143

110.影響と翌日

・・・あれ?

と、私は現れたその人を見て思った。

普通、と。


「まさかそんなにあなたを悩ませていたなんて。ごめん」

「・・・構いません。私が醜いのは本当の事ですもの」


「僕たちは良い理解者になれると思っていたよ。だけど、スミレ・ヴァイオレット嬢への呪いは酷い。・・・またいつか会って話そう」


クロロ様は、無言で俯いた。


隣のイケメンが首を傾げた。

『おい、約束どうすんだ。返事してやらねぇと』

「・・・」


『ほら今だぜ』

「おせっかい・・・」

呟いたクロロ様は顔を上げて、返事を待ったままの男性を見た。


「また、いつか・・・。オジカ・コジカ様」


あの人が。オジカ・コジカ様だったんだ。


なんていうか、普通の中で整っている方って言うか。

クロロ・ブラック様は明らかに他と違うのに。オジカ・コジカ様は攻略対象者っぽい雰囲気じゃない。

イケメンレベルでいうなら、ヴァルティリアの方が・・・? ん? そういうこと?


うーん。

まぁ、気にしないで良いか・・・。


こうして、クロロ様とイケメンは退出していかれた。

この場も解散していった。


***


なお、この時から、周囲の人が、私に一目置いた態度を取り始めた気がする。

解散の時とか、スッと軽い礼まで取ってきた人もいてものすごく驚いたから。

隣におられたトラン様には先にきちんとした礼を取ったので、多分私への礼で間違いない。


「メーメ様の話の効果が高かったんだろう、恐らくそれも計算しての発言だ」

とはトラン様。


ケンカについては、私は少しだけ発言した以外はほぼ蚊帳の外、聖女という称号だけは持っている、という状態だったのだけど、思わない形で影響が出ているみたいだ。


「トラン様。クロロ・ブラック様はどうなるのでしょうか・・・」

「どのレベルの処罰ですむか、だな・・・。ヴァイオレット家の怒りがどのレベルで済むかだ」


クロロ様は、悪役令嬢だった気がする。


「あの、私の、誰からか分からない嫌がらせって・・・」

「いや、恐らくクロロ・ブラック様よりも、容疑者は別にいる。クロロ・ブラック様の可能性は限りなく低い」


そうでしたか・・・。


それにしても。

サファイア・ブルー様って物凄く怖い。

初めは魔法使いで、頼れる方なのかなと思ったけど、何か一方的な怖さを感じる。


トラン様は、サファイア・ブルー様は色んな栄光を一人で集めすぎてる印象はある、と呟いておられる。


でもそれが実力なのでは。

ズルしてたら問題だ。けど、実力だったらそんなことを言われるのは単なるやっかみ。


修羅場しゅらばだったが、結果的に大勢がきみを聖女と認めたのは良かった」

「はい・・・」


ただ、もうあまり、色々巻き込まれませんように・・・。


「ところで、明日なんだが」

今日も私が泊る部屋まで送って下さって、自分の寮に戻られるまで談笑中のトラン様が話題を切り替えて来られた。


「はい」

「今日のことは気になるが、正直、直接の関係者から外れている。つまり、明日は予定通りにきみの家のある町に向かおうと思うが、良いか?」


「はい! 良いです!」

答えて、私はニコニコ笑顔になった。家に帰れる。嬉しい!


「明日は一日移動になるから、案外体力が減るぞ。今日はゆっくり休んだ方が良い」

「はい!」


私の返事に、トラン様が面白そうに笑われた。


***



翌日。我が家へ出発!


馬車の中は、トラン様とジェイさんとルティアさんと私。

途中でメンバーチェンジもするそうだ。

途中に通る町の話をしたり、ジェイさんやルティアさんの話を聞いたり。


途中の町でお昼をいただいて、その後馬車に揺られていたら眠気に襲われた。

すると、親切過ぎることに、ルティアさんと私だけになって昼寝させてくださった。

気遣いされすぎではと恐縮したけど、昼寝も交代制と言っておられた。

本当かな? でもお言葉に甘えて昼寝しました。


そして、夜、町に到着!


ただ、もう暗い時間なのと、大勢いるので、今日は宿に泊まる。

家に帰るのは明日の朝だ。わー、ドキドキする。


今日は宿でおやすみなさい・・・。


***


翌日。

朝早くから目が覚めた!

いつでも我が家へ帰れます!


なお、トラン様の使用人の人たちは先にこの町で色々聞き込みしてくださっているので、私が家に帰る事は先に連絡してくださっているそうだ。


朝食は宿でいただいて、すぐに家に行く。

全員は無理だから、トラン様とジェイさんとルティアさんと護衛のグレンさんとセドさんとあと3人の方。残りの方たちは宿で待機と、途中まで一緒であとは別行動? きっと護衛なんだろう。


「ただいま!」

「お姉ちゃんー!!」

「お姉ちゃん!!」

扉を開けると、待ち構えていたらしい、弟のビスと妹のティナが飛びついてきた。

久しぶりー! 元気そう!


「お母さんは?」

「寝てるよ」


両方の手を引かれて部屋に進む。

「お姉ちゃん、あれ誰?」

歩きつつも、妹は後ろをチラチラ振り返っている。


トラン様が少し動揺された様子ながら挨拶してくださった。ニッコリと。

「おはよう。初めまして」


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