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105/143

105.学院に戻る。翌日を過ごす。

文章をどう書くか悩んで、緊張して書き上げてみれば、結構な時間が経っていた。

戻ると、トラン様が私を見てホッとされた。


お待たせしてすみません。


管理人さんとお別れし、廊下や寮の外で待ってくださっていたルティアさんやジェイさん、グレンさんたちと合流して、学院に戻る。


少しの距離なのだけど、馬車で移動。トラン様と2人だ。

「きみからの手紙は、いつ届けてもらえるんだろうな」

「分かりません。お任せしてしまいましたから・・・」


「きみはあの管理人たちを信用しているのか?」

「はい。親切に私の事を考えてくださっていると思います」


トラン様は困ったように私を見た。

「だと良いんだが。きみが別室で手紙を書いている間、俺はさんざん値踏みされたぞ」

「おじさんにですか?」


「間違いなく、俺がきみを愛人にするんじゃないかと疑っている。失礼だ」

トラン様が機嫌を損ねている。


「すみません、私を心配してくださってるんだと思います」

「確かにな」

トラン様がため息をついた。

ご様子から見ると、余程おじさんから質問攻めにあったのかな・・・?


***


学院、私の泊めてもらっている部屋。

「送ってくださって、いつもありがとうございます」

「これぐらい何てことない」

笑ってくださるトラン様がものすごく素敵に見える。私も笑った。


「傍にいてくださるの、とても嬉しいです」

「・・・俺も傍にいれて嬉しい」

恥ずかしくなりつつ正直に打ち明けたら、トラン様も照れつつ、そう返してくださる。


「なぁ、一度、きみの実家に一緒に行こうか」

「え? あ、様子を使用人の方が見に行ってくださってるって・・・」


「あぁ。まだ向こうで状況確認中だが、ご家族は元気に過ごされている。母上はご病気ではあるが・・・。支援金も定期的に届いているようだ」

「良かった・・・! 有難うございます! あの、是非家に帰りたいです」


「移動に1日かかる。向こうで1日と考えて合計3日間。その間学院を休む事になるが、いつが良い?」

「私よりもトラン様はいつが良いのですか? トラン様の方がお忙しいと思うので・・・」


「いつでも良い。2日後とかどうだ」

「私は大丈夫です!」


「なら、明日の放課後に、きみのご家族に土産などを買いに行こう」


そこまで考えてくださるなんて・・・!

感激する。


「ありがとうございます、あ、できれば呪いのアイテムのお店にも行きたいです。顔を見せなきゃと思うので」

「そうだな、分かった」


***


それにしても・・・。トラン様。

こんなに私に付きっきりでいてくださって大丈夫だろうか。


遅い時間まで部屋におられて、それから自分の寮に戻って行かれた。

いてくださるのは嬉しいしとても安心できるけれど、とてもお忙しいはずだ。


「大丈夫ですわ、最優先事項がキャラ・パール様なのですから」

とは、ルティアさん。


***


翌日は色々忙しい日になった。


朝に声をかけてきて下さったポニー様とスミレ様に、寮についてご相談。


昼休みはトラン様とランチ。

そして一緒にミルキィ様のところに行って、寮についてご相談。


結果、スミレ様もミルキィ様も、すぐに了承してくださった。引っ越し先の建物はトラン様が手配し、学院に寄付することに。それが済んだら、使用人の方に引っ越しさせてくださるそうだ。


その後、本当に久しぶりにレオ・ライオン様に廊下で遭遇。

テニス部員なのだからテニス部にも顔を出すべきだ、とトラン様とまとめて怒られたので、落ち着いたら必ず、と約束する。


そういえばモモ・ピンクー様はどうされているんだろう。


レオ様とお別れした後で聞いてみると、どうやら他校に転校された後だそうだ。

恐らく、そちらの学校に通われているご令息と婚約の話が出るだろう、という事。


レオ様はどうされるのだろう、とそちらも心配になったけれど、レオ様の場合、これから婚約者を決める年下のご令嬢もおられるから大丈夫だろう、というトラン様のお話だ。

なるほど。


放課後。

すぐにトラン様と合流して、まず呪いのアイテムのお店に。


カレンさんに、神殿で起こったことや、私が聖女になったという事をお話する。

カレンさんは、私が聖女になったという話にものすごく驚いておられた。やっぱり平民がなれるものではないのだそうだ。

「幸運アップの呪いが効いたかもしれないね」

と得意そうに笑っておられた。


カレンさんには、家に帰るから少し来れない事もお伝えした。

すると、まだ受け取っていなかった2週間分の給料を下さった。

本当は1ヶ月分まとめて、という話だったけど、買い物に行くという話をしたから特別に先に分けてくださったのだ。嬉しい。


呪いのアイテムのお店を出た後は、母と弟と妹、それからお世話になっている近所の方にと、お菓子などを買うことに。

日持ちのするものを選ぶ。みんな喜んでくれるかな。渡すのが楽しみ!

お土産は購入完了。


さて、のんびりお茶でも、という話になった時だ。

トラン様に連絡が入った。


「学院で騒ぎが起こっているらしい。聖女はきみではない、サファイア・ブルー様が自分が相応しい、とおっしゃっている。急いで戻ろう」


馬車で分かっている状況を教えてもらう。


まだお会いした事のない、クロロ・ブラック様。発端は、その方が、サファイア・ブルー様に文句の手紙を送りつけたことらしい。

なんでも、様々なものを一人で持ちすぎている、強欲な魔女だ、とかそんな感じの悪口みたい。


その結果、現在クロロ・ブラック様とサファイア・ブルー様が大勢の前でケンカしている。


サファイア・ブルー様は、全て自分の努力と実力の結果で妬まれることはない、それに本当は聖女は自分こそ相応しいのに、などと主張を始めた。


騒ぎを聞いて現場に来たらしいミルキィ様が、この発言に大変怒っていて、ミルキィ様までケンカに加わっているそうだ。


うわあ・・・。

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