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復讐8話


 「声が止んだ………俺は、復讐する………ああ、そうだ。そのためには、まずここから出ないといけない………でも、まだすることはある」



 俺は自分の能力を意識した。



 「《復讐者》、か。敵対する者の能力の弱点となる能力………」



 ユイトは記憶に焼きついた能力を意識した。


 

 「師匠………!」



 熱い。

 内側から燃え上がるような感情が渦巻き始めた。

 憎い。

 あれだけ尊敬していたのに、今はただただひたすらに憎い………!




 そして、膨れ上がった憎悪は、やがて形を変えて、ユイトの中に刻まれた。



 「! これは………何かを得たのか? 感じる………これは………?」



 ステータスを見ても変化はない

 だが、確実に何かを得た。



 「使ってみよう」



 使い方は不思議とわかっていた。

 イメージをして放つ。

 USと同じだ。

 


 「………だめだ。今は使えない。敵がいないと、これが使えない」




 わかったのは、これが物理攻撃に非常に有効だということ。

 そして、グレイブの《消シ去リ壊ス者》に有効だということ。

 


 「とりあえず次だ。今度は………」



 今度イメージしたのはユージンだ。

 ユイトは、特にユージンは許せなかった。

 恋人を奪い、自分を裏切り、殺そうとしたユージンに激しい憎悪を抱いていた。




 「………来た」



 ユージンのUSは《雷撃ヲ穿ツ者(エレクトロブレイカー)

 電気を操る能力。

 世界にわずかしかいない、五大属性の一角を司るUSの持ち主だ。

 範囲内ならどこでも発生可能。

 そしてユイトは、その弱点となり得る能力を得た。



 「やってみるか………」



 イメージする。

 ユージンの雷。

 そしてそれらを封じる自分の姿を。



 ブゥ——————ン………



 「………ん? うおっ! なんじゃこりゃ!」



 手に大量の砂鉄がくっついていた。

 俺はUSを使う感覚でそれを操った。



 「成る程、これは磁力で電撃を乱すUSってことか」



 AUS(アンチユニークスキル)・《雷撃ヲ(エレクトロ)乱ス者(ジャミンガー)


 磁力を操作し、電撃を乱す。

 攻撃の瞬間に強弱を操れば、操作が乱れ、暴走させることも可能。

 つまり雷属性の弱点は雷属性である。



 「こうか」



 ゆっくりと手を動かし、磁力を操る。

 すると、砂鉄が自由に動かせるようになった。



 「おおお?」



 しばらく変形させたり、繋げる量を調節したりして実験をした。



 「磁力のUSか。磁力を使った魔法は存在しないから、これは今までになく雷属性にとっての弱点になりうるな。敵の電撃をこっちの磁力に変換させればさらに強力になりそうだ………さて」



 ユイトは、この洞穴の奥を見た。

 登って来たのとは逆方向に穴が見える。



 「あそこに行かないと………だが、この体でモンスターに遭遇しようものならタダでは済まないだろう」



 今のユイトに必要なのは、何よりも休息だった。

 片足が使えず、片腕はくっついてもいない。

 しかし、動くことは可能だ。



 「砂鉄………来いッ!」



 磁力で砂鉄を引っ張って両足をコーティングする。

 失った左腕は、砂鉄で義手を作った。


 試しにジャンプしたり、手を握ったり開いたりして動かしてみる。

 無事に動かせるようだ。



 「くくく………無様な格好だな。これが勇者だった奴の姿か?………行くか」


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