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復讐5話


 「貴様ら………奴はどうした!」


 「ゆ、勇者は………」


 「あいつはもう勇者じゃねぇよ。言い直せ」



 ユージンにそう言われて慌てて言い直す兵士。



 「も、申し訳ございません! 反逆者ユイトは逃してしまいました………」


 「貴様らァ………!」



 国王は怒りを露わにして兵士に詰め寄ろうとした。

 すると、



 「お父様、もう放っておけば良いのでは? 国民はもう奴の言うことを聞かないでしょうし、何より今頃スキルを全て失いレベル1に戻っている事でしょう。国民たちに見つかって袋叩きに遭ってるに違いありませんわ」


 「む………確かにそうだな。もう良い下がれ」



 兵士達はそそくさと玉座を去っていった。











———————————————————————————












 「うっ………く、腕が………」



 ユイトはスキルが失われう前に、回復魔法で腕を止血し、傷を塞いだ。

 しかし、失った腕は帰ってこない。

 そして、他の場所を回復しようとしたら、異変に気がついた。



 「す、スキルが、回復ができない………」



 みるみる顔色が悪くなっていくユイト。

 ユイトはステータスを確認した。



 「………ぁ、あ………ちくしょう………俺の、俺の力が………!!」

 


 レベルは目に見えて下がっていく。

 パラメータは軒並み低下。

 スキルは全て消えていた。


 もちろん《終無キ者(イモータル)》も。



 途方にくれていたユイトが歩いていると、子供達が遊んでいた。

 いつかユイトが助けた子供だった。

 話かけまいと思っていたが見つかってしまったらしい。

 声をかけようと思った次の瞬間、更なる絶望がユイトを襲った。



 「ば、バケモンだ! 裏切り者だ!」


 「あっち行けよ!」



 「え………………」



 子供はユイトに向かって石を投げた。

 かつて助けてもらった恩など忘れたかのように石をぶつけ、拒絶した。



 「見ろ、裏切りモンだぞ」


 「通報しましょう!」

 


 さっきまで声援を送っていた町民ももう味方ではない。

 もう誰1人自分の味方はいないのだと悟った時、ユイトを更なる絶望感が襲った。



 「っ………なんだよっ………何なんだよッッ!!」



 ユイトは耐えきれずに逃げ出した。



 「あ、逃げたぞ! 急いで衛兵を呼べ! 冒険者でもいい!」










———————————————————————————











 走る、走る、走る、走る。



 城を出て、城下町を抜けた時、 もう完全にかつての力を失っていた。

 異世界に来る前のただの人間、黒神 結人に成り下がっていた。



 「へっ、へへ、へへへへへへへ。何にもない。からっぽだ。恋人も、親友も、仲間も、師も、応援してくれる民も、力も、名声も、ぜーんぶ消えた………ふふ、ふはは、あははは、はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」



 ユイトは虚ろな目でただただ歩き続けた。

 こうなって仕舞えばただの死人だ。

 もう生きてはない。


 不死の勇者は今ここで死んだのだ。

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