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復讐4話


 そこからは、ひたすらに地獄だった。









 「ああああああああああああ!!!!」



 ユイトは王族やかつての仲間達の遊び道具として、地下で暴虐の限りを尽くされていた。



 「う、ぐぃいぃいいいいあああああああ!!!!!」



 《不死者》のUSは簡単にユイトを死なせてはくれない。

 今ユイトは、グレイブのスキルで延命されながら、常人にはまず出来ないような拷問を受けている。



 「あはははははは!!!! スッゲェ!!! これでも死なないのか!? マジでバケモノだなァア!!」


 神経を内側から焼き続ける。

 意識を保たせたまま水の中に数時間閉じ込める。

 つま先からゆっくりと削いでいき、再生を繰り返させる。


 殴った、斬った、刺した、焼いた裂いた沈めた千切った抉った潰した剥いだかき混ぜた埋め込んだ締めた痛めつけた痛めつけた痛めつけた痛めつけた痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛。



 これらは、未だ残った《不死者》としてのUSを利用する事でようやく可能になる。




 「あ、狂った」



 それでも、精神はいつか壊れる。

 だから、直す。


 ゴシックな服を着た少女は、ユイトの前に立ち、USを発動した。



 「《精神ヲ(マインド)蝕ム者(コントローラー)》」



 ユイトは再び正気に戻る。

 そして、さっきまでの記憶が蘇る。



 「うわああああああああ!!!!! やめろッッ!! やめろォォォオオオ!!!!」


 「あ、元に戻った!!」



 少女はにっこり微笑む。



 「セ、セルファ、もう嫌だ………こッ、ころ、殺してくれ………ぇ………!!」



 「えー、嫌だよぉ。せっかくのおもちゃだもん。もっともっとぐっちゃぐちゃのところ見たいよぉ」


 




 違う、こんな事を言う子じゃなかった。

 セルファは、俺に懐いていた。

 わがままだったが、それでも俺は大事な仲間として守ろうとした。


 違う。

 違うという事が、そもそも違う。


 そう、だ。

 あいつらは初めから()()だったんだ。

 最初から、俺を騙していたんだ。





 プツン、と、何かが切れた。



 「ぅ、ふ………ッッ、ふざけるなアアアアァアアァアア!!!! どいつもこいつも俺を裏切りやがって!! 俺が何かしたか!? してねぇだろ!! 俺はこの国を救っただろ!? それなのに………恩を仇で返しやがって!!! このゴミクズどもが!!!!」



 セルファは無表情になり、無残にもこう告げた。

 


 「じゃあ、ずっと狂えない体に変えてあげるよ。バケモノさん。そこでずーっと痛めつけられるといいよ。おにーちゃんたち、あとはよろしく」


 「いいぜェ」


 「いやぁ、この拷問試してみたかったんだよな」



 





 いくら憤っても無駄だった。

 彼は無力。

 されるがままにされ、ただ目の前にある理不尽を黙って受け入れるしかない弱者なのだから。












———————————————————————————









 抵抗は出来ず、意識があるまま、拷問を繰り返す。


 慣れ。

 それすらない。

 慣れを感じていると思われた瞬間、USで全て消され、リセットされる。

 絶望と憎悪だけが残されて、溜まっていく。


 妄言を言うことも、現実から逃避することも叶わなず、ただ激しい痛みと終わらない絶望をぶつけられる日々は、彼をどんどん黒く染め上げた。

 そして——————








 6日目。

 あと半日もすれば、全ての力を失う。

 そうすれば終われるのだ。

 この地獄から。




 だが、終わらない。


 これは、完全な誤算だった。

 たび重ねる拷問は、拘束具を摩耗させ、壊せる段階まで弱らせていた。

 そして、これもまた連中の誤算である。

 ユイトは未だ正気を保っている。




 つまり、意思があるという事だ。





 「ァ、あああ………ぁあああああ!!」




 苦しめるだけの意味のない拷問。

 そして、気が狂うまでの痛みを、狂ってもなお意識を戻して何度も行った。

 それ故に、今感じる痛み程度で、ユイトが絶望することなどなかった。





 「お、れ………は………生き、のびる………!!!!」



 それから数分後、

 叛逆者ユイトが脱走したという情報が城中を駆け巡った。

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